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自然災害ものと現金強奪ものを組み合わせるという発想が面白く、犠牲者を出さないよう的確に計画を実行する強奪チームに感情移入してしまうが、暴風雨が強力になるにつれ彼らも暴力的になり、しかも自然は人命に配慮などしてくれないのだった。ショッピングモールからの脱出作戦がスペクタクル性含めて最高。でも、それだけやっておきながら、嵐の目のなかで展開される大事なシーンで、一回嵐が通過した痕跡がまるで周囲に見られないのが気になってしまい、詰めの甘さがとても残念。
アクション映画のダークヒロインにはどうだろうかと思えたクレア・フォイが、燃えたぎる情熱と冷静沈着さを体現して大健闘。さらに素晴らしいのが、この映画がストックホルム市街と森林地帯を駆けめぐり、地理的な広がりの感覚をもって躍動することだ。息つく暇なく事態が変転した先に、どの地点へたどり着くかはたぶん大方の予想どおりだけれど、そこで展開される対決場面の衝撃は、リスベットとミカエルの重い痛みをわたしたちにも感じさせ、ずしりと心に刻みこまずにはおかない。
ライアン・クーグラーが監督じゃなくなったら前作の緻密な味わいがすっかり抜け落ちて、人物造形は大雑把、どうしてそういう行動をするのかわからないご都合主義や、さらには子どものときに誰もが妄想するたぐいの荒唐無稽な展開までも。困るのは、奇天烈な展開はあっても、この手の映画でこちらを乗せていくのに必要な、ケレンやハッタリの利いた「見せ方」がまるでないこと。けれどもクライマックスの決戦はやっぱり否応なしに盛り上がり、父と子のドラマもからんでちょっとほろり。
ロカルノで審査員特別賞を受賞するタイプの監督が、いきなり王道エンタメをまかされたというのも驚くが、おっそろしくクオリティが高くてさらに驚く。日本版で140分あったのがこちらでは108分というだけでもスピード感が知れるけど、場面転換の省略ぶりも、画面内の運動の速度も素晴らしい。コミカルさと青春のまどろみを強調していた日本版に対し、こちらはノワール色が強く、国家権力との対決が前面に押し出される。脚色優秀。カン・ドンウォンもキム・ウィソンもとてもいい。
超巨大ハリケーン上陸を利用して武装集団が財務省の紙幣処理施設を襲撃するという物語はパニック映画の素材としてありきたりかもしれないが、ロブ・コーエンの演出が知的で、なるほどと思わせる場面が随所にあった。たとえば最新の衛星技術とサバイバルグッズを搭載したハリケーン追跡車両「ドミネーター」を見せ場に使ったところなどだ。悪党に立ち向かうトビー・ケベルは気象学者で台風の目を利用して車を走らせ、ヒロイン役のマギー・グレイスも体当たり演技で、盛り沢山な作品。
「ドラゴン・タトゥーの女」の監督デイヴィッド・フィンチャーが製作にまわり、フェデ・アルバレスが脚本監督して北欧の寒々しい舞台背景でシリーズの新しい面を鋭角的に演出している。ヒロインのリスベット役クレア・フォイは黒いシンプルな衣裳を身に、にこりともせず、シルヴィア・フークスがカミラという双子の妹役で赤いスーツを着て、凶々しく登場する。ふたりの家庭の事情が怖く、アクションも激しいので、天才ハッカーたるリスベットが依頼された大きな仕事がかすんでしまう。
「ロッキー4」から歳月は流れて物語は息子たちの世代に闘いの場を移す。シルヴェスター・スタローンがシブイ佇まいで登場してきたとたん、やはりジーンときてしまう。脚本にも参加しているだけあって、新たなヒーロー、クリード(マイケル・B・ジョーダン)の脇にまわっても要所をしめて、見せ場はたっぷりある。クリードが地獄の特訓を受けて頑健な肉体になっていくのが映像的で、みごと。宿敵、イワンの側も凶悪に描かれているので、家族愛の場面のインサートでほっと一息つけた。
伊坂幸太郎の原作だが、韓国では政争に対する熱中度が高いので、日本を舞台にするよりも韓国で大統領候補暗殺容疑者にされて逃げ回る方がリアリティがある。主演のカン・ドンウォンがいかにもお人好しで、素朴に見える演技をしていて、感情移入できた。ノ・ドンソク監督もインディーズのマイナー作品をやってきただけに日常の平凡なやりとりを描くのが巧く、それだけに対照的な国家権力の陰謀による光化門広場の派手なアクション場面が効いていた。青春の回想がパターンすぎると思う。
洪水が題材の「フラッド」をハリケーンにしただけと言ってしまえば終わりだが面白い。竜巻映画「イントゥ・ザ・ストーム」に登場した重装備観測車を堂々とパクり、その機能を対竜巻ではなく対悪党に用いて暴れさせる姿勢がよろしい。さらに暴風に乗せて飛ばしたタイヤ・ホイールを雑魚の肉体に突き入れたりと、その倒し方も創意工夫を凝らしていて感心。前振りの放置があったり、強盗団がマヌケ揃いだったりと粗も目立つが、そのすべてをハリケーンが吹っ飛ばすので特に問題はない。
ノオミ・ラパス、ルーニー・マーラの歴代リスベットに比べると、今回のクレア・フォイはあまりに健康優良女すぎる。アクション寄りの内容ではあるので、危機また危機を乗り越える姿に説得力は生まれているが、明らかにミス・キャストだろう。ただし、ITガジェット、天才的ハッカーとしてのスキル、そうは思えない身体能力をフル動員&連携させた活躍ぶりは痛快ではある。目視できぬ標的を補捉できる対物ライフルが出てくるクライマックスは、SFの域でさすがにないわという感じ。
基本的なプロットはアドニスにおける「ロッキー2」だが、突き詰めると「ロッキー」シリーズにおける「そして父になる」といったところ。二世代にわたる宿敵同士の対峙が軸とはいえ、ドラゴ、ロッキー、アドニスそれぞれのワケありだった父子の理解や赦罪を見つめた物語としてもしっかり機能しており、〝脚本家〟スタローンと新鋭S・ケイプル・Jrの手腕を堪能。ただし、ドラマに寄り過ぎた弊害なのか、トレーニング場面の高揚感や決戦の高揚感に少し物足りなさを感じてしまった。
イヤーマフ装着の永島敏行がショットガンを撃ちまくるという奇妙な画に困惑しただけの日本版に比べると仕方ないかというか、あらゆる面で巧い。アクションは派手ではないものの観る者をアゲるし、韓国映画で国家情報院の恐ろしさを散々見せているのもあって陰謀のアレコレもすんなり受け入れられるし、これまた小気味良い語り口なので見入ってはしまう。だが、中盤から親友云々の話になると泣かせに走りすぎて興醒めなうえ、その友人たちも泣き喚くだけでたいして活躍しないのは×。