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スターリンの周辺であればどんな不条理なことが起きても不思議ではないとこちらが思ってしまうため、困ったことに、何をされてもコメディには見えず、実話の忠実な映画化に見えてしまう。この題材を喜劇に見せるには、映画そのものを狂わせるしかないのかもしれない。モンティ・パイソンの国で活躍する監督なのだから、そのぐらいやってほしかったと思ってしまうのだが。腹黒いけど愛嬌のあるフルシチョフ(なんとS・ブシェミ!)と、善良だけど小心者で愚かなマレンコフが魅力的。
創意工夫にあふれたトイレ格闘シーンがある。パリの市街を車とバイクが縦横無尽に駆けめぐり、街並みの個性と魅力とスピード感(凱旋門のロータリー!)が横溢する、手のこんだ長いチェイスシーンがある。このふたつだけでも充分お腹いっぱいなのに、この映画は最後まで、ストーリーのひねりを交えつつ、素晴らしい追いかけっこがえんえん続くのだ。「普通死ぬだろう!」と言いたくなるトムのスタントはもちろん必見だが、ひたすら横移動でとらえられる走り姿の美しさも劣らず必見。
そもそもいかがわしい店だし、店の人間の誰ひとりとして映画ファンではなさそうなのに、個室DVD店がハリウッド超古典映画のポスターだらけなのは監督の趣味だろうか。実際この映画の設定は、映画青年が考える定番中の定番だと思えるし、だからこそもっとスカしたりトンガったりしている映画にしてほしかった気がするが、真面目にがっちり撮っていること自体は悪いことではない。設定から想像されるとおりコメディ色も強く、思慮の浅い店長役のシン・ハギュンが映画全体を支える。
女性チームにしたからといって、何か革命的なことが映画に起きたわけではないけれど、プロフェッショナルな女たちがきびきびと役割を果たすさまをスクリーンで見るのはそれだけで感動的だ。メトロポリタン美術館やメットガラの様子が見られるのも楽しく、豪華なカメオ出演も多数。大詰めで女優たちが身にまとうドレスの美しさにも陶然とする(それぞれ違うトップ・デザイナーがデザインしている!)。もっとコンパクトにできればと思う部分もあるが、終盤のサプライズがおおいに愉快。
独裁的政治家スターリンが後継者を指名せずに死んだことから起こる椅子取りゲームを、ご存じの有名政治家の実名を使い、歴史的事実を踏まえながら、喜劇的に描いた爆笑もの。原作はフランスのグラフィックノベルだから、テンポも快調。ソックリさんというわけではないが、達者な俳優たちは英語でしゃべり、予想通りロシアでは上映禁止だというから、どうしても見たくなる。期待通りの仕上がりで、フルシチョフやマレンコフの立ち位置、スターリンの子どもたちの話も面白かった。
トム・クルーズとマッカリー監督がシリーズ2回目の顔合わせということで、息の合ったアクションが続く。とりわけパリを舞台にする一連のシークェンスは観光名所から狭い路地にいたるまで、車とオートバイを使ってよく撮影したものだと驚く。今回は総集編の雰囲気があり、プルトニウムの爆発を防ぐシステム・アナリスト役のサイモン・ペッグと同僚のヴィング・レイムスがコミカルでいい味を出していた。ヘリコプターを使ったクライマックス場面は、スタントマンと撮影技術が光った。
シン・ハギュンは儲かると思って始めた、男女が個室で楽しむDVD店の営業不良で、苦しんでいる。その日常が実にリアル。よくできた喜劇だが、ギョーカイ的に身につまされ、爆笑とはいかない。アルバイト店員のD.O.にも月給が払えず、店を売ろうとする。そこで登場する不動産屋との会話も損得中心で、おかしい。脚本監督のイ・ヨンスンはさらに死体隠しのサスペンスや警官たちの朝鮮族差別、ヤクザとの麻薬取引も入れてくるので、サービス精神は伝わるけれど、物語が分散した。
どんな痛快な犯罪のアイデアを展開するのかということに期待するシリーズだけれど、今回はソダーバーグ製作、ゲイリー・ロス監督で、サンドラ・ブロックの新指揮のもと、ケイト・ブランシェット以下、元気のいい女たちばかりが集結し、カルティエの警備員をはじめ、男たちを徹底的にコケにするという趣向。タ―ゲットはアン・ハサウェイがNYメトロポリタン美術館のイベントで身につける宝石だから、そこに集うセレブたちのファッションや豪華なパーティの流れと贅沢さも楽しめる。
正直、スターリンもフルシチョフもベリヤも似ていない。劇中ではスターリンの国葬から日を置かずにベリヤが処刑されているが、実際はもう少し経ってから執行されたのでは? などと思いつつも、史実と想像をゴッチャにして冷ややかな笑いをまぶした語り口に乗っかってしまえばツルッといけるし、S・ブシェミやM・ペイリンら芸達者が織りなすアンサンブルにも魅せられる。ただ、独裁政治のおぞましさみたいなものはそれほど伝わらない。まぁ、風刺劇なのでしかたないと思うが。
イルサへの想いや元妻ジュリアとの再会を通じてイーサンの内面を掘り下げてドラマも前面に押し出した仕上がり。シリーズ初の連作という点も含めて従来とは違った作品にしたかったのだろうが、そこにこだわり過ぎて話がちっとも転がらない。バンバンと舞台が移り変わって、ガンガンと危機が迫るノリがシリーズの持ち味だと考える身には少し辛い。妙に新味を出してダメになった「007」の二の舞にはなってほしくない。眼をキラキラさせながら超危険スタントをこなすトムは今回も最高。
そのシチェーションから物語があちこちと動き回るハラハラを極めた作品なのかと思っていたが違った。日々の生活に喘ぐ社会的弱者が道を切り拓こうとすればするほどもがく羽目になる姿を少々サスペンスフルに描いた感じ。物語のきっかけとなる死体すら、なにかと辛い目に遭っていることで知られる中国朝鮮族の青年だったりするのだ。というわけで拍子抜けしたが、勝手な期待を抱いたこちらが悪い。佇んでいるだけでなんともいえぬ可笑しみと切なさを放つシン・ハギュンは素晴らしい。
してやられた感はまったくないし、難関らしきものが登場しても次の瞬間にはいとも簡単に解決してしまう。これまでのシリーズ3作のノリをきっちりと受け継いではいるのだが、そんなケイパー・ムービーに魅力を感じられない向きには退屈なだけだろう。ただし、メンバーを全員女性にしたことで醸される華やかさ、カルティエやらプラダやらジバンシィやらのアイテムがひしめくさまには自分のような汚ッサンもときめきはする。良くも悪くもフランチャイズ・ムービーの鑑といったところか。