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自身の「正義」を疑うことなく、漁師を人殺し呼ばわりするシーシェパードなどクソと思っているので、現地の人が、彼らの正義の根拠を問い詰めないのが歯がゆかったが、映画を撮る側としては、そうもいかないのだろう。結局、中立ということになるが、それを体現していたのがジェイ・アラバスターというジャーナリストだ。長年、努力を重ねて太地町を見てきた彼の、本当の絶滅の危機に瀕しているのは、クジラやイルカではなく、太地町のような小さな町だ、という言葉こそ真実だ。
初め、妻夫木聡が奥田民生になりたいボーイとして出てきたのには、ゲッ、ボーイというには老けすぎじゃないと思ったが、一所懸命ウブなボーイを演じようとしているのを見るうちに、あまり気にならなくなった。対して水原希子の狂わせるガールは填まっていた。整った美人じゃないのが良かったのかも(失礼!)。あと、リリー・フランキーを始め、マンガチックなキャラを次々と繰り出して話を引っ張るあたりは手慣れたものだが、妻夫木と新井浩文と松尾スズキ三者の対決は迫力を欠く。
2012年に1980年のナミヤ雑貨店にタイムスリップした3人の若者は19歳、ということは1993年生まれか。それにしては生まれる前の時代の変化をよくご存じで、なんて余計なことは考えない方がいいだろう。なにしろ、これは、ナミヤ雑貨店と丸光園という養護施設に関わった者との間で交わされる手紙によって、どれほど人が幸せになったかという人情話なのだから。下手な詮索などしちゃいけません。ただ、そのわりには、あまり泣けなかったけれど、これは見る側の問題かね。
小池栄子がキレイだった。リリー・フランキーも、「そして父になる」なんかより合っていた。いや、清野菜名も、難しい役を頑張っていましたよ。初めのうちは、どうなるのかと思っていたけれど、法事のシーンから面白くなった。親戚縁者がみんな陰険そうで良い。ま、彼らがいまの障害者に対する世間的常識を代表しているわけだが。ホテルでの別れのダンスが、いい感じだったので、あそこで終わってもいいと思ったが、それではタイトルに沿わないと、あのラストにしたんだろうな。
この欄でまとめられる問題じゃなく頭を抱える。私はイルカを食べたことがないし。ただし日本の漁師がイルカを食べることは正しい、と声を大にして言っておく。ナショナリズムの問題だと書いている人がいるがピントはずれの対応だと思う。明白な偏見に基づいて作られた映画「ザ・コーヴ」が賞を取っちゃうのを見るだけでアカデミー賞なるものがろくなもんじゃないと分かる。監督の撮影努力には敬意を表したいが、捕鯨文化の伝統に力点を置いた映画を見てみたいというのが正直な感想。
純情なエリート編集者、妻夫木。高嶺の花と憧れていた希子さまと出来ちゃって疾風怒濤の日々が始まる。希子は妻夫木の、というより実は編集者の守護神なんだね。この人のおかげで世界が回っている。ウディ・アレン映画的なディーヴァを演ずるのに彼女のトンガリ具合は最適だ。ハイソなネタを扱う雑誌でも最先端的な編集技術が投入されるのじゃなく、写真植字を切り貼りしているのがまた笑わせてくれるというか、泣かせてくれる。地味な職業映画という切り口に未知の可能性を感じた。
複雑な原作をまとめる物語が秀逸。ただ手紙のやり取りの頻度で理解できない部分があった。閉じたシャッターの内と外で時間の流れ方が違うからだろうが、無駄な感じがしちゃうのだ。伊坂幸太郎原作のあの映画っぽく、ある歌が生まれて育ち流通していくコンセプトも加味。こればっかりは山下達郎さんに頑張っていただくしかない。新たな代表作と呼べる出来で感涙ものである。この奇蹟は世界全体でなく、あくまである施設の迷える子羊たちを救うところに味がある。ささやかなのがいい。
オチをつけようとして道に迷った、という仕上がりではあるが良く出来ている。人格障害という言葉自体は良くないそうだが、とにかくそういった系の性風俗嬢に扮する清野の振れ幅の大きさが魅力的。主人公は脳性麻痺の中年リリー、しかし彼につきまとう清野の「革命家」ぶりが水際立っている。だが革命というのは成就しないから革命なんだろう。主に彼女の自縄自縛のせいで事態が徐々に悪い方向に動いていくシチュエーションが上手い。だからかえってファンタジー風なオチが肩透かし。
一人のアメリカ人ジャーナリストが捕鯨の町に住んで交流し理解しようとする姿を軸にすることで、地元住民と捕鯨反対外国人の軽蔑して遠ざけ合う平行線の関係が際立つ。「A2」にもあったが、顔の見えない市民よりも右翼の方が話が分かるという皮肉。松山千春に似た右翼がシーシェパードと隣り合い、笑顔で互いの主張を尊重する場面が良い。話し合いの場を作った千春がマスコミを恫喝しつつ張り切る姿が微笑ましい。それぞれのその後が明かされるエンドロールも味わい深い。
「モテキ」よりも小ぶりな話だけにメジャー用の無謀な拡張を危惧したが、そこは大根仁だけに嗅覚と均衡感覚に狂いなし。原作の魅力を最大限抽出して小品としての完成度を高めて100分で描き切る手練の技を味わう。昨今のサブカル退潮期の流れも踏まえ、ギミックよりも普遍的な語り口を重視し、現代日本映画としては屈指のファムファタールものに。脇に回ると狂気の飛び道具と化す面々も揃い、妻夫木の困惑顔がおかしくも哀しい。希子ちゃんだけを眺めるためにもう一度観てきます。
原作未読だが手紙が軸になるだけに小説なら成立しそうな話に思えるが、台詞で設定を説明してばかりいるので段々勝手にせいという気分に。奇蹟と言ってしまえばご都合主義を連発できるのか。3つの時制を往復させ、それらが全て過去に因縁があって繋がっているという設定を消化することのみに腐心し、挙句に特定の個人の未来を変えたり、雑貨店の店主が恩着せがましく人々から礼状を求めるのも不快感が積もる。廣木隆一だけに安易な催涙シーンや死を直接描かないのは安心できるが。
主人公のモデルとなった熊篠さんも出演した「マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画」の上映後トークに現れたリリーさんの彼らへのフラットな向き合い方が印象的だったが、演じる側に回っても変わらない。健常者を演じる時より生き生きとしているようだ。媚びず、泣かせず、淡々としつつも欲望に忠実に生きる姿が実に人間らしい。「最強のふたり」の亜流だが、人格障害を持つミツ役は誰が演じても難易度が高い。後半は「いこかもどろか」的なシンプルさが欲しかった。