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元子役スターの悪党、生き別れの双子の兄弟、娘たちの冒険等、複数のストーリーをからませて、ファミリー層主体の観客に手堅く訴える映画。リゾートのビーチでも昼の市街地でも光の描き方が素晴らしく、キャメラワーク(と言っていいのかな)ともども実写映画とみまごうリアリティで、技術の向上に感動する(いまさら?)のだが、息を呑むようなイメージには出会えなかったのも事実。ミニオンたちがステージで歌うシーンが可愛い。ところでフリードニアの国名の由来はやはりあの映画?
最初こそ「意外にも創業者の理想を守ってるじゃないか!」と驚くが、やがてマクドナルド弟の言葉どおり「ニワトリ小屋にオオカミを入れた」状態になり、モノを何ひとつ生み出さなくても帝国を手に入れられるカラクリに、兄弟の胸の内を慮るとこちらが憤死しそうになるピカレスク映画。クサい演技の一歩手前で踏みとどまるマイケル・キートンもいいが、最も素晴らしいのは、軽やかさのなかに低音が不穏さを響かせ、勇壮さがアイロニーを演出する、カーター・バーウェルの雄弁な音楽。
「流行りの薄っぺらい音楽〝ドキュメンタリー〟」(日本で近年劇場公開されている種類の映画のことではなく、アイドル的シンガーのプロモーション映画のことらしい)を茶化すのが狙いだそうで、実際、錚々たるミュージシャンが大真面目に主人公たちの音楽から受けた影響など語るのが可笑しくて、音楽好きの人なら面白さ百倍の筈。一方、話の構成自体は王道バックステージ物で、クライマックスでは思いがけないカタルシスと高揚感も訪れる。この際、定石を外してほしかった気もするが。
「ライフ」同様、どこからがネタバレかの判断が難しくて紹介しづらいが、P・ウィアーのあの作品を一瞬思い出させる展開があったあと、SFというより王道のラブストーリーになるとだけとりあえず。それは「パッセンジャー」のシチュエーションが許せなかった人たちもたぶん納得の王道ぶり。一方、二人それぞれの日常生活が淡々と描写されるのがじわじわ効いてくるし、逃亡シーンもスリリング。手堅い演出力も個性もある、今後注目すべき監督だと思う。コロンビアの都市風景も効果的。
「SING/シング」につづき、イルミネーションのアニメが快調。ギャグに次ぐギャグで笑う間がないほどだ。筒井康隆コレクションで読み直した『歌と饒舌の戦記』に、全篇ハイテンションなところが似ている。この作品の悪役バルタザールも80年代の音楽とファッションに身をかためて、天才子役だった彼を追放したハリウッドに恨みを抱きながら、ピンクに膨らむガム爆弾を武器に悪事を働くのがユニーク。怪盗グルーとルーシーのコンビに金持ちの弟が加わり、背景も派手になった。
貧富の差別なく、平等に飲食できる「マック」の創設者の裏面史で興味深い。そのゴールデンアーチのチェーン店がミラノの大通りにも出現したというのが当地で一大事となり、私もカメラにおさめた記憶があるが、マイケル・キートン熱演のレイ・クロックがビジネス権を手にしながら名称をマクドナルドとしたのは、呼ぶときの響きのせいだったのだ。レイの人生も波乱万丈だけれど、ジョン・キャロル・リンチとニック・オファーマンのマック兄弟が個性的で、レイの妻ローラ・ダーンも面白い。
仲のいい者たちが集まって作ったよさがにじみ出ている楽しい映画。ポップ音楽をめぐる物語となると、人間関係と金の問題が定番だけれど、それがリアルで笑える。主人公のアンディ・サムバーグが自分たちのバンドの星取表を見て、批評家をコケにするところなど、その愚かしい思い込みが滑稽でもの哀しく、同時にさわやかで、羨ましい性格だと感情移入。アップテンポの演出のなかに、ワルフザケと有名スターのカメオ出演まであって、終始アナキー、かつ軽いノリで統一され、贅沢な感じ。
低予算を逆手にとって制作した、アイデアのいい宇宙SFだ。試写のさい、物語のネタばらしをしないでほしいと注意を受けたので、細かくは書けないが、宇宙をめざすスペースシャトルが故障し、美しい飛行士クララ・ラゴが修理を待っていると、心身ともに健康そうな技術者アレックス・ゴンザレスが登場。密室の中、若い二人は結ばれる。しかし予期に反し、映像はポルノ風には走らず、むしろ哲学的となって、科学が宇宙旅行の目的で飛行士たちをモルモットに使っているのではないかと問う。
なにかと深いテーマを盛り込んだピクサー/ディズニーとは違い、身構えずに観られるイルミネーションの作品。今回もそのテイストをしっかりと守っているうえに、マイケル・ジャクソンやダイアー・ストレイツといった80年代の楽曲を流し、レトロな巨大ロボを暴れさせるなど、自分のような年寄りの琴線に触れるネタも放り込んでいるのは流石だ。とはいえ、伏線のごとく登場させながら回収の適当なキャラやエピソードも目につく。でも、そこがイルミネーションなのだからしかたない。
とにかく貪欲で狡猾なクロックを演じきるM・キートンには、圧倒される。だが、中身のほうは史実を駆け足で追いかけただけになってしまっており、創業者兄弟との確執やフランチャイズオーナーの妻略奪はあっさりで、東欧系ユダヤ人という出自、阿漕な性分になってしまった背景などには触れてないに等しい。そのあたりの有無が毀誉褒貶の激しい人物の伝記映画の出来を左右すると思うが。とりあえず観た後にはマクドナルドのポテトが、いつも以上にしょっぱく感じられたのはたしか。
恥ずかしながら、主演トリオについても、SNLでの活躍についても無知でありました。なのだが、それとなく海外のアーティストを知っていれば笑えるネタがちりばめられていて、ヒストリーものという設定のモキュメント形式でキャラたちを解説する内容なので、前情報なしでも楽しめる。本作以前から三人の間でネタにされ、うち一人によってネットフリックスで主演作も撮られているというマイケル・ボルトン。劇中でもかなりの扱いだが、こうした洒落を理解するあちらの方々には敬服。
始まってから30分間ほど経過し、「これ、どんなふうに進む作品なのよ?」と頭によぎったところで待ち受ける吃驚仰天の展開。だが、そこに気合いを入れすぎてしまったようで、以降はダラッとしたSFラブロマンスのままで終わってしまっている。ただし、エスニックな屋台でメシをつつく主人公男女の姿、なにやら地面から吹き出している蒸気など、監督の「ブレードランナー」への愛を感じられる画、そこはかとなく伝わってくる〝低予算でもやってやる!〟みたいな心意気は愛おしい。