パスワードを忘れた方はこちら
※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。
メールアドレスをご入力ください。 入力されたメールアドレス宛にパスワードの再設定のお知らせメールが送信されます。
パスワードを再設定いただくためのお知らせメールをお送りしております。
メールをご覧いただきましてパスワードの再設定を行ってください。 本設定は72時間以内にお願い致します。
戻る
公開年:
現在の文字数:0文字
氏名(任意)
俳優の芝居がきちんと魅力的に撮られているのが美点のひとつで、繊細極まりないA・ガーフィールドはもちろんのこと、微笑ましい求婚シーンでT・パーマーが見せる表情もよく、上官二人がしまいには何だか猛烈にかっこいい。正直、この撮り方と演出は凡庸すぎるのではないかと思う部分もちょくちょくあるのだが、日米両軍兵士が死にものぐるいで戦う戦場のカオス状態は、主人公の行為の英雄性を観る者に生理的レベルでわからせる凄まじさで、これだけ描写されたらさすがに頭が下がる。
ファーストショットを見て何やらぱっとしない予感がしたものの、話が動き出したところでミステリーとして面白くなりそうだと期待させられる。ところがじきに要素過剰になりはじめ、こりゃTVの連続ドラマにしたほうが落ち着いて面白く観られたのではないかと思う。はたして観終わったとき、腑に落ちないところがいっぱい残ってしまった。話が訳わからなくても面白い映画というのが世の中にはあるが、残念ながらこれはその種の映画ではないだろう。アクションの見せ方も印象が弱い。
「Mr.タスク」に続く、ケヴィン・スミスのポッドキャストをもとにした3部作(予定)の2作目だが、前作を観てなくても支障はない。とてつもなくくだらないのだけど、やりたいことがはっきりしているのは清々しい。歌も歌い、フランス語も披露するリリー・ローズはルックスも声も魅力的。撮影は「ムーンライト」も手がけたJ・ラクストン(「Mr.タスク」もそうだった)だが、あの種の映像美は期待しないでください。ちなみにオスメントが演じたエイドリアン・アルカンは実在の人物。
渋いつくりと主人公の「やり過ぎ感」が魅力だった前作を超えるべく、今回は映画自体が「やり過ぎ感」を出しまくっている感じ。やたら車にはねられるわ、まるでNY住民の3割が殺し屋であるかのようだわである。一方、闇社会のルールの作りこみの面白さや、一般人を決して巻きこまないダンディズムも加速。しかし撮り方が悪いのか、キアヌの動きが時々鈍重に見えるのが気になるし、恐れ多くもウェルズの「上海から来た女」を踏まえたらしきシーンは、もっと面白くできたと思うのだが。
メル・ギブソンが「ブラッド・ファーザー」主演に続き、今度は監督として頑張る。衛生兵とはいえ銃にさわらないと主張する軍人が実在し、その素材を長い時間と予算をかけて映画化している。アメリカの将来に希望がもてる話だが、地獄の舞台は沖縄戦で、日本軍の上官が型どおりに切腹自決する展開になると、日本人観客には辛いシーンの連続。最後に優しい顔をした晩年の本人と妻の映像が登場したとき、ほっとした。主人公を支えるテリーサ・パーマーはハリウッド黄金期のヒロイン像。
ブルース・ウィルス出演のジャンル映画とくれば、低予算でも面白さは保証されたようなもので、このフィルム・ノワールもクリストファー・メローニを相手に快調。両者の対決場面はラヴクラフトの小説『狂気の山脈』まで手にしてセリフがいい。上官が裏切る激しい戦闘を体験した者たちが戦後にその復讐もからんだ銀行強盗をする物語で、クセのある俳優が勢ぞろい。シンシナティの古い街並みに銃声が響くと、懐かしいギャング映画の味がして、S・C・ミラー監督はシネフィルぶりを発揮。
コンビニでアルバイトする女子高生コンビがミニナチ軍団と戦闘する話と聞くだけで、ハチャメチャ映画好きの期待は高まる。やる気満々のリリー=ローズ・メロディ・デップとハーレイ・クイン・スミスも可愛い。ヨガの先生ジャスティン・ロングがとぼけた味を出していておかしいのだが、ジョニー・デップなど、巧さを誇示するみたいな演技で、笑いのセンスにずれが生じる。ミニナチ軍団もティム・バートン監督には、と比較しはじめた途端、「批評家を殺せ!」というせりふが飛び出した。
前作よりパワーアップをはかり、見せ場の連続。キアヌ・リーヴスも車、銃撃、ナイフとめいっぱいのアクションを演じている。脇役もフランコ・ネロやローレンス・フィシュバーンをはじめ、新旧の絵になる顔をそろえて楽しい。ニューヨークとローマを舞台にホテル、ファッション、銃器と気配りもよく、鏡の間の戦闘も派手でいい。惜しむらくは、悪役が狙う実姉と手話で意志を伝える女ボディーガードのキャラクターが男性陣に比べて描き足りず、殺しの人数が多すぎるのもかえって単調。
アル中でDV全開の父、どう見ても狂信的カトリック信者だが多くの命を救った英雄でもある息子。メルギブが主人公親子に自身の〝闇と光〟を重ね合わせ、さらに彼ならではのブルータルな残酷趣味をこれでもかと詰め込んでいる。メルギブの宗教観に寄ったドラマ部分はピンとこないが、戦闘&人体破損描写は素晴らしい。下半身が消失して筋肉繊維がブラブラしている死体を「よっこらせ」と盾代わりに持ち上げてブローニングM1918をぶっ放す、L・ブレイシーの姿にしばし見惚れた。
スマートウォッチ、それにリンクした無線スピーカーと人工音声を使い、行員や客に指示出しする銀行襲撃は新味あり。「リベンジ・リスト」も良かったC・メローニが醸す豪胆と悲哀の同居する佇まい、筋肉を一切見せず眼鏡姿でベテラン捜査官を演じるD・バウティスタの渋みなど、演者も魅力を発しているし、雨の風景にこだわった映像も魅せる。ただ、事件やその裏にあった陰謀などがキャラたちの背景と絡む内容なのだが、それぞれの繋がりが下手すぎて物語にのめり込めず。ちょい惜しい一本。
「Mr.タスク」のスピンオフだが、ノリやギャグのテイストは同じケヴィン・スミスの「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲」まんまといったところ。ナチス、クリーチャー、ソーセージ、サタニズム、ヨガといった要素をバカスカ放り込み、しっかり収束させるスミスの手堅い手腕はやっぱりたいしたもの。といいつつも、とことん下世話ながらも最後まで観られるのはリリー=ローズ・デップの可愛さに負うところが大きいのかもしれない。父ジョニー・デップの変装演技は、相変わらず寒い。
ハイパワーで車同士がどつき合うオープニング、さらに尺が延びて敵の数も増量した銃撃戦+殺陣〝ガンフー〟、「上海から来た女」or「燃えよドラゴン」しているクライマックスと、アクションは前作よりもド派手かつ練られてもいて文句なし。また、ただ登場させて使い捨てにすることなく、きっちりシリーズ継続の〝鍵〟にも昇華させている新規サブ・キャラクターたちの活かし方も悪くない。ただ、彼らのアクの強さが、ジョン・ウィックの個性を弱めてしまっている気がしないでもない。