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主人公の動きに伴って、いろいろ賑やかに出てくるのだが、隔靴掻痒という感じで、肝腎のところが見えてこない。なぜAVなのか、その体験が彼女にとって何だったのか。劇中にAV女優へのインタビューのようなものも出てくるが、そこで語られるのも、こちらの想像を超えるものではない。となると、AV女優であったことも新聞社に勤めていたことも、ホスト遊びをすることも、なべてフラットに映ってしまう。挙句、惚れたミュージシャンの二股を知って、我に返る? では弱すぎる。
往年の大映の「忍びの者」シリーズは、漆黒の闇の中から市川雷蔵の頭巾に隠れた白い顔が浮かび上がるさまにしびれたが、こちらは、フラットに明るい光に照らされた中でのアクション中心だから、そんな瞬間はない。それも時代のせいだろうが、忍者の解釈が、前者の村山知義原作とは違って、主従関係よりは金で動くコマとした点が、面白かった。これは原作の功だろう。ただ、アクションが賑やかに派手になった分、そこに踏み切るためがないので、いまひとつ、インパクトに欠ける。
66分という時間は悪くない。とはいえ、幾つかのエピソードを黒みで繋いで、この時間というのは、かかり過ぎともいえる。実際、一つ一つは他愛ないエピソードなのに、無駄に引き延ばしているところが随所にある。たとえば、教室に夜まで居た高杉真宙を葵わかなが迎えに行って、警備員から隠れて階段を上がり降りするシーン。間が空き過ぎるのに、動きの位置関係が定かでない。高杉が金子大地と喧嘩するシーンにしても前後が無駄に長い。京都観光映画としてなら、通用するけどね。
かなりいい線いってる。器量よしの猫の出番は少ないけどね。窪塚洋介と降谷健志が、いつの間にかコンビを組んで、ストーカーに悩まされている市川由衣をガードしているうちに、どんどんヤバイ羽目に落ち込んでいくという話が、緩さと、それを破る唐突さでメリハリ良く展開する。窪塚に突っ込む降谷がいい味を出しているし、次第に怪物めいていく品川祐も悪くない。ただ、議員と死闘の末、逃げる窪塚と市川が、階段途中でゴチャゴチャ言い合うショットが長すぎる。もっと締めて!
インテリAV嬢ネタというのはコンセプトとしてありだと思うが、実話というのがかえって足カセとなり今一歩突き抜けられなかったのが残念。一見の価値はあり、主演女優の熱演も評価したい。それが褒められる全て。自分の肉体を実験動物とみなして、その自身の観察記録を様々な形で残す、という構成は十分に面白い。ただ結局求めているのは幸福です、というのでは赤の他人を納得させられないだろう。不幸と快楽を求めて地獄に堕ちたい、という人の物語じゃなきゃ映画にゃならんよ。
国を奪ったり護ったり、という戦国時代の話だが要するに織田信長の息子の独断専行をどう解釈するべきか、見終わって納得できず。VFXとワイヤーアクションを組み合わせた合戦や築城シーンは見応えもあるし、私の好きな双焦点レンズ撮影も数カ所で決めてくれて大満足ではある。が物語の核が弱い。どこにでも入り込める主人公「無門」が自分の家にだけは入れない、というのは良い。でももう少し何かないと二時間は辛い。特に最初の忍び同士の殺し合いって本当に意味があるのかな。
客を選ぶ傑作「ぼんとリンちゃん」の監督の新作。今度のは誰にでも受け入れられる仕上がりでほっとした。京都という土地柄を幻想的にも現実的にも二重露出で見ていただく、という趣向が冴えわたる。鴨川にかかる四条大橋がキーだ。最初の挿話と最後の挿話で同じ女子高生が違うスタイリングで橋の上に立つ、それだけで何か幸せな感じを醸し出している。酒を入れた器に大文字焼きが映る場面に示されるように、現実も反映もどちらも人にとっては現実なのであり、逆らう必要はないのだ。
いわゆるバディ(相棒)物、でロードムービー風味もある。物語の始まりは野良猫が取り持つ二人の縁、すこぶる快調。ただ続く話が誇大妄想的に大きくなりすぎて、引っ込みがつかなくなった感じか。ストーカーあり、変態政治家あり、他色々あるけどオチがない、という脚本。何となくありがちかつ不自然なエンディングである。現代日本映画で拳銃発射シチュエーションを自然に作劇するのはちょっと無理なんじゃないかな。なくても話は成立するではないか。コメディっぽい場面も逆効果だ。
東映ビデオが絡んでいるので往年の東映キワモノ映画のノリを期待したくなるが意外性のない真っ当な作り。普段は押し付け企画をこなす監督に任せた方が、ここに自由を見出した可能性あり。主人公のモデルがフィクションみたいな経歴を持つだけに、そのまま撮っても再現にしかならないのを見越してドキュメンタリー部分で補強されているものの本編の賑やかし程度。最近の内田作品に見られた園子温風味は抑え気味だが、「恋の罪」ばりの過剰さを上乗せしないと現実に虚構が負けている。
ドライな銭ゲバ忍者という設定は良いのに、人を殺すことに作り手が悩むと「RED SHADOW 赤影」と同じく根源的な疑問が起きてしまう。主人公が恐妻家でも、やる気がなくてもいいが(演じているのではなく無気力にしか見えないのは問題だが)、原作の残虐描写を外し、大野が演じるに相応しい愛すべきキャラにすると忍者ごっこにしかならない。「怪物くん」コンビらしく「忍者ハットリくん」の実写リブートで良かったのでは? コントのセットみたいな美術にも萎える。
京都を舞台にした高校生の話というので大して期待していなかったが、すっかり魅せられる。居眠りから覚めると夜の帳が下りた校舎が別世界へと変貌し、非常灯や懐中電燈が蠱惑的な明かりとなって主人公を照らす。まるで彼女との逢瀬のための舞台の様で月の光が美しく妖しく輝く。教室で彼女が振り向く時のアップ、鴨川沿いのロングも突出。時折登場する猫のアニメが違和感なく実写と混じり合い、やがて回想場面で効果的に活用される。「夜は短し歩けよ乙女」と並べて観たくなる。
ここ2年ほどでピンク、TVも含めた量産ぶりで職人監督として頭角を現した榊英雄の手腕を堪能。訳あり女をめぐるバディ映画なので新味はないが、窪塚と降谷の主張しすぎないコンビぶりが良い。品川をほとんど喋らせずに不気味に動かし、脇の俳優も見せすぎず、演らせすぎない配分が見事。クライマックスを呆気なく処理するのも小気味いい。後半は主役級の存在感を放つ車を早坂伸の撮影が際立たせる。もう30分短かければという思いもあるが、こういう作品こそ2本立てで観たい。