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「ポリスストーリー/レジェンド」でスタイリッシュな映像美を見せたディン・シェン監督だが、今回は編集をがんばりすぎておかしなことになっていて、登場人物も多すぎだし、特に前半1時間はどうなることかと思った。しかし長いクライマックスにあたる列車襲撃シークエンスで劇的に挽回。ギャグはおおむねスベり気味で、全体的には高く評価できる映画ではないと思うが、機関車がガシガシ走る映画はやはりいいよねということと、ジャッキーと池内博之に敬意を表して、★ひとつプラス。
時代考証など期待してはならない完全な無国籍・無歴史映画。でも何にもましてこれはガイ・リッチー映画であり、しかもどのガイ・リッチー映画にもましてガチャガチャと落ち着きがない。これをかっこいいと評する見方もあるのだろうが、アクションをきちんと見せる意志はないようだし、サスペンスが演出されているわけでもないので、正直、何をどう面白がればいいのかわからず。カメオ出演のベッカムもあれだが、そもそもアーサー役の俳優は、ほんとうにこの人で正しかったのだろうか。
死体を上まで持っていったはいいが、途端にゴミ溜めに落っこちて、おまけに血糊に足を取られてずるずる滑るというシーンがまさに象徴的なクライムドラマ。モチーフの反復やロングショット主体の画面の連鎖も端正で気持ちよく、美しくも奇妙なラストシーンも素晴らしい。さりげない引用に満ちた「作家の映画」だけれど、オフビートに見えながら意外にテンポがよくて、普通に娯楽作として楽しめる。手を替え品を替えテイラー・スウィフトに言及されるのも、意味は判らないけど可笑しい。
ビリヤードの球がぶつかってグラスが粉々になるシーンに「んなあほな!」と思い、「まーでもそのぐらいのホラはいいか」と思い直したのだが、どうもこういう細部のでたらめさが、この映画のすべてであるような気がしてきた。元ギャングとかならともかく、元特殊部隊工作員にしてはやり方にスマートさが足りないし、ボスも黒幕もどっしり構えていればいいのに、とっとと銃を持って前線に出てくるから吃驚。毎回絶妙のタイミングで登場し、かいがいしく働くC・メローニが萌えポイント。
中国のクラシック鉄道が楽しめる映画だと思っているいとまもなく、ジャッキー・チェンが鉄道運搬係の地味な扮装で登場し、あとはいつものように途方もないエネルギーを見せつける。笑いのサービスも充分で、息子のジェイシー・チェンとの共演もご愛嬌。1941年、日本軍と八路軍入り乱れて、思いつきのままに話が展開し、日本の憲兵隊長を演じる池内博之がサディスティックな男で、不死身の、極端にしつこい性格の持ち主を熱演。クライマックスのジャッキーとの対決で見せ場を作る。
シャーロック・ホームズものに続き、ガイ・リッチー監督らしいタッチで、イギリスの古い物語を映画化。現在に比べ、アーサー王の時代には人間と魔術師の付き合いが、もっと濃密だったという視点で描き切っていて、大蛇を這わせている巨体の女や大鷲を操る魔女の妖しい眼が怪奇で、映像として引き立つ。アーサー王が育つ貧しい路地裏と高い塔をもつ城の美術がみごとで、音響効果とともに想像をかきたてる。悪役の王ジュード・ロウもさすがだが、周辺の登場人物だけは描き足りない。
P・シュレーダー演出は冒頭からコカイン中毒のマッド・ドッグことウィレム・デフォーが太った同居人の女をヘンタイ的に惨殺する場面をサイケデリックに映像化。どうなることかと思わせる。このハイテンションはさすがに維持できず、刑務所で知り合ったニコラス・ケイジと巨体のクリストファー・マシュー・クックの三人組が金儲けのために悪事を働くメインの物語になると、だれる。それよりも原作者エド・バンカーの人生を反映した主人公ケイジの人物像や育ち方を描いてほしかった。
ロジャー・コーマン系のB級感のあるギャング映画が健在であることがまず嬉しかった。愛妻を眼のまえで殺されて怒りを暴発させるジョン・トラヴォルタと彼を援護する特殊工作員の元同僚クリストファー・メローニのコンビも図式的ながら見ていて安心。オハイオが舞台であるのも味があり、敵役がアルメニア人という指定までされた男を筆頭に名前も知らない俳優たちばかりだが、ひどく怖い顔が揃う。そんななかでトラボルタはやはりスターの貫祿。出てくると、画面が引き締まる。
ジャッキー・チェンとのコンビ前2作がどれも痛々しかったディン・シェンだが、今回も同様の結果に。わずらわしいだけの異常に細かいカット割り、時に引きすぎ、時に寄りすぎて結局なにが起きているのか掴めないアクション場面、無理に個性を強調&数多く引っ張り出してみたものの捌き切れずに終わっているキャラたちといった具合で大惨事。まさに〝ジャッキーの無駄遣い〟としかいいようがない。ひとまず、大麻でパクられたジャッキーJr.の順調な復帰を確認できて一安心ではある。
アーサー王をストリート育ちのワル風キャラにしたり、カンフーを盛り込んでみたりと、これまでと違った〝アーサー王伝説〟にしようとするガイ・リッチーの気骨は買いたい。だが、アーサーはオラオラ系にしか見えず、肉弾戦も剣戟もユルく、結局のところ見せ場はVFXに頼ったスペクタクルでファンタスティックなものになっており、いたく中途半端なノリに。こうなると、お馴染みにして肝心の聖剣エクスカリバーを引き抜く場面もスルゥ~と簡単に抜けてしまっているように見える。
原作のヒリついた雰囲気、三度目の有罪判決で無期懲役になる〝三振法〟に対して抱く前科者の不安みたいなものは薄味に。だが、裏社会でのたうち回るしかなく、あがくたびにドツボにはまる小悪党どもの哀れみといった妙味はしっかりと抽出。それを濃縮還元した悲喜劇に仕上げている。常時ハイ・テンションなうえに随所で遊んでいるP・シュレイダーの演出も快調。笑っていたかと思えば急に笑い出すor怒リ出す、まさにジャンキーなワルに扮したW・デフォーがなにかとさらっていく。
ニヤケ感の増した顔、肥大化する一方の体軀のおかげで、アウトロー役が似合わなくなったトラヴォルタ。にもかかわらず、彼主演のソレ系アクション群が楽しめるのは手練れの監督たちのおかげ。本作も職人チャック・ラッセルが手掛けているだけに、深みも重みもないが最後までツルッとイケてしまう。ただ、ドンパチよりも相棒となるクリストファー・メロニーとトラヴォルタの掛け合いが一番面白かったりする。いまはなき、銀座シネパトスや新宿ジョイシネマ3あたりで観たい作品。