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面白い映画であると同時に興味深いのは、CIAとテロリストとロシアが奪い合うハッカーがどこかスノーデンっぽいことと、途中までCIAの描き方が否定的なこと。O・ストーンは自分で言うほど孤軍奮闘ではないのかも。でもその線で考えるとこのラストは日和ったとも言える。K・コスナーが「パーフェクト・ワールド」を彷彿とさせる味わいを時折にじませ、「氷の処刑人」で渋い演出を見せたA・ヴロメンが今回は華やかさも獲得。しかしこの監督、変な車を走らせるのが好きですね。
時系列を複雑化させ、いくつかの謎の探究へと観客を駆り立てる。こういう構成は、下手にやると謎が解けた途端に観客が興味を失ってしまう危険性があるが、一つ一つの画面の切り取り方が尋常ではない素晴らしさで、視線演出もきっちりやっていて、クライマックスの盛り上がりはもはや力業。独創的で魅力的な色彩設計の意味も、謎解きの過程でわかってくる。シャイア・ラブーフが、彼の力量と持ち味を完璧に活かした当たり役で必見。カウンセラー的役割を果たすG・オールドマンもいい。
こないだの「マクベス」の監督だというので嫌な予感がしていたら、やっぱりイメージ映像的なものにひたすら耽溺しておられるので、これはもう、この監督はこういうリズムを生理的に快適だと思っているのだとあきらめるしかない。現代パートが、どうしてこんな描き方にしたのかと小一時間問い詰めたいくらい設定が飲みこめず、長い長いエンドロールが終わるころには話も忘れてしまっている。でも15世紀末パートのアクションシーンは、地形や建物、小道具を活かした工夫があって面白い。
パリの屋根の上を駆け回る序盤の追跡シーンの素晴らしさには大興奮で、これだけで満点をつけたくなった。格闘シーンも面白いし、バディになる二人も魅力的で、話のちょっとした運びも気が利いている。パリのリアルな現在を切り取ったかのような物語である一方で、敵の最終目的があまりにしょうもなくてびっくりしたけれど、現実世界でも案外そんなものかもしれない。単身乗りこんだイドリス・エルバを、武器も腕力もない男女二人が援護するシーンのアイディアには、何やら猛烈に感動。
ヴェテラン勢揃いで、まずCIAのロンドン支局長ゲイリー・オールドマンがとんでもない計画を立てる。トミー・リー・ジョーンズの脳外科医に依頼して、死んだ仲間の記憶を生きた男の脳に移植、記憶の内容を知ろうとする。残酷な手術を受ける男が極悪囚人のケヴィンで、優しい男と暴力的人間の二重人格を熱演。頭脳の手術により、人間が容易に変わるものなら、犯罪者すべてに手術をすればいいのにと思っているうちに娯楽的アクションが始まり、核爆発阻止の物語は吹っ飛んでしまった。
アメリカ人の生活に憧れた時代も過ぎ去り、とりわけ9・11以後はテロとの闘いという正義の名のもと、イラクやアフガニスタンへ兵士として送りだされる者の周辺が辛い。イーストウッド「アメリカン・スナイパー」のヒーローは戦地から帰還し、PTSDを発症した男に殺されたのだが、シャイア・ラブーフが演じるこの映画の主人公も帰国後、ホームレスとなり、かつて愛したものにも妄想を描く。その描写が哀しく切ない。彼のカウンセリングをするゲイリー・オールドマンの対応がリアル。
アサシン教団とテンプル騎士団の闘いを15世紀と現代を行き来して描く壮大なドラマだが、ストーリーが粗っぽい。アサシンのマイケル・ファスベンダーの体技はみごとだけれど、彼がどんな犯罪により死刑を宣告されているのか分からない。ジェレミー・アイアンズが支配し、娘のマリオン・コティヤールが研究者を務めるテンプル騎士団の組織も今の時代に存在するという話ゆえ、アクションだけですませず、説明が必要だ。ジャスティン・カーゼル監督の画面は「マクベス」同様に暗い。
パリのアメリカ人の物語で、わが世代など、20年代アメリカ人の目を通してパリに憧れたものだけれど、現代では、冒頭からモンマルトルのサクレ・クール寺院の階段の人込みのなかを全裸の女の子が歩いてくるし、すぐさま始まるチェイス・シーンでは、屋根から屋根へと法治国家とは思えない乱暴さで主人公たちが駆け回る。さらには移民問題、テロ、右翼の台頭、それに対するデモ行進の描き方など、パリ市民がどう思うか気になるほどだが、結局、面白いものは何でも取り入れる演出なのだ。
〝記憶移植もの〟を〝ジェイソン・ボーン〟シリーズ風味で仕上げてみました。そんなノリだが、亡き敏腕工作員の記憶を移植されるK・コスナーが前頭葉の損傷が原因で善悪の判断ができぬ死刑囚というのが妙味。コイツの向こう見ずぶりと工作員が培ってきた経験と能力が融合されて、無双感はなはだしくなっていくのが痛快だ。延髄にある記憶移植の手術跡から血をタラタラと垂らしながら、出会う人間にいちいち毒づき、殴りかかり、銃をぶっ放すブルータルなコスナーに新たな可能性を感じた。
その設定、展開、雰囲気から傑作「ジェイコブス・ラダー」やアン・ハサウェイの方の「パッセンジャーズ」みたいな〝実は死んでいました〟系のオチかと予想しつつ鑑賞。と思ったら、かなり意外な方向へと突き進み、イラク、アフガンからの米帰還兵が置かれた深刻な窮状をガツンと突きつけて幕を閉じる。その姿勢も実力派たちが繰り出す力演には魅せられるものの、主人公が目の当たりにする廃墟と化した故郷の町の造形がDVDスルーのチープなディストピアSFっぽくて少し萎えてしまった。
原作のゲームはプレイしたことがなく、その存在も本作を機に初めて知った。そんな自分だが、特殊な装置で主人公が遺伝子レベルの記憶を追体験する設定はスルッと受け入れられたし面白い。加えて、走って、跳んで、落下しまくるパルクール的アクションもふんだんに用意されているのだが、これがどうにも〝重厚感第一〟なビジュアルで撮っているものだから、そのまんま鈍いものに感じ取ってしまって乗れず。特殊装置にブンブン振り回されている半裸のファスベンダーが、なんだか滑稽。
雰囲気としては、ヨーロッパコープあたりが製作しそうな快活アクション。実際にそうしたテイストを目指していたのだろうが、監督は「バイオレンス・レイク」「ウーマン・イン・ブラック~」でジト~とした恐怖演出をブチかましたJ・ワトキンス。だから、どうしたって湿気たノリになってしまっている。とはいえ、スリである主人公がその技を駆使するクライマックスは楽しませるし、次期007候補なのも納得できるイドリス・エルバのクールでワイルドな魅力を堪能できるのは◎である。