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この物語のなかでジェーンの存在は「解かれるべき謎」なのだから、ダンの行動と感情で映画を駆動させていくほうが理にかなっているのに、なぜかジェーンを主役然とさせることに汲々としているため、映画を豊かにする可能性のあった要素があらかじめ全部つぶされてしまう。どうしてもジェーンを主役にしたいなら、プロットの構造を根本的に見直すべきかと。とはいえ西部劇のアイコニックな風景は目に楽しく、家に立てこもって闘う大詰めの場面は、闇と火、音響の工夫がなかなか面白い。
今回のラングドン教授は事件の謎だけでなく「なぜ自分が事件に巻きこまれているのか」という謎も解かねばならず、理由もわからぬまま複数の組織に追われまくる「北北西に進路を取れ」状態。だから張り切ったというわけでもないだろうけど、このグリーングラスみたいな編集はどうなのかしら。頭脳派007映画みたいな趣もあって(詳述は避けるが、D・クレイグ主演の某作品がずっと思い出された)イルファン・カーン演じる役に、最良のボンド映画悪役のようなユーモラスな魅力あり。
ラブコメとしては安定の面白さ。しかしブリジットも今やニュース番組のプロデューサー、恋愛はへっぽこでも仕事はキレッキレなのだろうと思いきや、このプロデューサーでよくこれまで番組が回っていたものだと思わざるをえないシーンしか出てこなくて、イカレたボスがやって来るまでもなく、これじゃ現場から外されるのも無理ないわと思ってしまう。で、ラストの時点で、彼女のキャリアはどうなっているの? 定石だと復職する流れだと思うが、作り手はそういうことに関心ないようで。
pkかと思ったらETか、とか言ってる間に舞台はまさかのベルギーへ。「きっと、うまくいく」もそうだったが、この監督の画面は切り取り方が気持ちいい。宗教ビジネスの暗黒面に切りこむ勇気にびっくり。いくら何でも長すぎるだろというくだりも中盤あるが、その印象を払拭してお釣りが来るほど見事に演出された展開がその後待ち受ける。インド映画女優のイメージを塗り替えてしまいそうなアヌシュカ・シャルマには世界的活躍を期待。A・カーンとのダンスシーンももちろん最高。
ナタリー・ポートマンがみずから製作・主演した西部劇。ガンさばき、砂塵をあげて走る馬、南北戦争後の街の荒れ具合など、古いファンも満足する仕上がり。ジェーンといえばドリス・デイが演じた「カラミティ・ジェーン」を思い出すけれど、母になってから1作目のポートマンも、家族のために生きる西部の強い女を汗と泥にまみれて力演。軍隊帰りでアルコール依存症の元恋人を演じるジョエル・エドガートンのしぶい雰囲気に対して、ユアン・マクレガーが冷酷な悪役を楽しそうに怪演した。
歴史ミステリーと先端科学を巧みに扱うダン・ブラウン原作の力だが、シリーズ新作も面白い。今回はダンテの『地獄篇』にちなんで、フィレンツェにはじまり、ヴェネチア、イスタンブールと、観光名所の撮影が丁寧で、贅沢な仕上がりだ。トム・ハンクス力演のラングドン教授は麻薬を打たれてしまい、その脳内幻覚の映像もシュールでいい。それだけに人類の半分を滅亡させ、人口過剰の問題を解決しようとする、大富豪の天才生化学者、ベン・フォスターの偏執的な人間像が描き足りない。
シリーズに影響を与えた「高慢と偏見」のガーソンとオリヴィエ共演版でも英国人の偏屈さが笑えたが、今回はゼルウィガーのブリジットがテレビ局に勤務。脇役のおかしさと、二人の男性と同時に関係して誰の子か分からない妊娠をしてしまうドタバタ騒ぎにより、ブリジットは深刻でも観客は爆笑。ダーシー役コリン・ファースとアメリカの金持ちパトリック・デンプシーの相手役もいい。脚本と産婦人科医の役を兼ねるエマ・トンプソンが印象に残り、ロンドンっ子の新しい面を見せてくれた。
筋骨隆々で瞬きを絶対にしない、へんな宇宙人アーミル・カーンが地球を研究するためにインドに到来。異文化による嚙み合わない者どうしの喜劇が始まる。一方、ベルギーの留学先で知り合った恋人がパキスタン人であるために失恋したアヌシュカ・シャルマはテレビ局に勤め、奇妙な人間アーミルを素材にして番組を作ろうとする。とたんに話はシリアスになり、インドの複雑な宗教問題に移る。博物館的オブジェが映し出されているうちはいいが、突然、爆破テロが起き、長すぎる映画に。
女性が主人公の西部劇というと「華麗なる対決」や「バンディダス」みたいな艶っぽいタイプが多い。それはそれで良いのだが、こうしたストイックなタイプが出てくるとやはり嬉しいもの。しかも、なにかと耐えて逃げるしかなかったであろう当時の女たちの憤怒も描いていて◎。それでもかなりメロドラマしているし、予定調和な展開でもあるが、男がヒロイックに活躍してきた従来の西部劇もそうだったのだから問題なし。ドンパチは地味だが、釘入り火炎瓶を使った大殺戮絵図は素晴らしい。
ジェイソン・ボーンよろしく、頭からラングドンが記憶喪失。というわけで、なにやら事件に巻き込まれ、何者かに追われるうえ、波状するフラッシュバックについても自身で解き明かさねばならないプロットが巧い。そこへロン・ハワードの緩急自在な手腕も乗っかってアガる。ただし、そちらに注力しすぎて、ダンテのあれこれをめぐるミステリーみたいなノリは薄味に。しかし、なんだってウイルスを拡散させるのにこんなまわりくどい方法が取るのか理解できぬが、それを言ったら負け。
狙った獲物を逃した猛禽類みたいな険しい顔付きになった、R・ゼルウィガー。あのままでブリジットですと現れて日記を綴られても……と震えていたが、柔和な感じに戻していて一安心。誰にも迷惑をかけずに生きていても年齢次第で〝イタい〟とされる風潮を筆頭に、40代あたりがギクリとするあれこれをチラリと盛り込んだ手堅いノリは相変わらずでキッチリ楽しませてもらったし、P・デンプシーの全方位イケメンぶりも◎。しかし、写真だけの登場でさらっていくH・グラントには感服。
誰もが抱いているものの声を大にしては言いにくい、宗教に対する矛盾、不満、疑念。地球に降り立った宇宙人の視点を借りてそれらに突っ込んではブチまけるとはいえ、ひときわ信仰心の厚そうなインドでこれをやってのけるのには感嘆にして痛快である。といって妙にヘビーにするわけでなく、笑いと涙と歌たっぷりのマサラ・ムービーの枠を外さないあたりも流石だ。「チェイス!」でもピュアネスな役柄を力演していたアーミル・カーンだが、本作での宇宙人役もドンピシャのドハマリ。