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てっきりまたPOVで来るのだとばかり思ってたので、始まってしばらくは、そのしごく真っ当な作りにいささか戸惑ってしまった。ワンアイデアだけで押し切った一作目のようなインパクトはないが、奇妙な監禁ミステリから一転してあの展開になった時のダイナミズムは痛快。でもあれって最初で予想出来るよね。最近は「ネタバレ厳禁」も宣伝の一部だと感じます。メアリー・エリザベス・ウィンステッドは体を張って頑張っている。ジョン・グッドマンの上手さが映画の重石になっている。
EDMミーツ青春映画。DJが主人公のビルドゥングスロマン。こういう話って過去にもいろんなパターンで繰り返されてきたと思うのだが、音楽においても、新しいジャンルが出てくるたびに撮られているのじゃなかろうか。物語の展開も、途中で起きる悲劇も、正直ありきたりとしか言いようがないが、しかしこういう設定でこれ以上どうすればいいのかと問われたら返答に困る。ダンスミュージックの蘊蓄が随所に入ってるのが親切だが、残念ながらニッポンの若者にはあまりウケないだろう。
ほんとうに最近こういう「過去と現在が交錯するミステリ」って多いと思うのだが、やたらとややこしく見えるだけで効果的に思えることはまずない。狡いと思うのは、この語り方だと「隠された真実」を作り手の都合で観客から隠しておくことが自由自在に出来てしまうことだ。この映画も例外ではない。事件の真相は意外なものではあるが、展開が偶然に頼り過ぎているし、サプライズのためのサプライズと言われても仕方がないだろう。シャーリーズ・セロンの顔は生々しくて良いのだが。
申し訳ないのだが、ツール・ド・フランスには興味がない。なのでランス・アームストロングのことも全然知らなかった。そんな自分がこの映画を評するのにふさわしいとは思えないが、ベン・フォスターが非常に好演していることくらいはわかる。実話が元になった映画も最近多いが、映画としてのリアルさが文字通りリアルな話であることによって保証されているのだとしたら、それはアカンのではなかろうか。だが監督フリアーズは、きっちりとした人間ドラマとして丁寧に描いているとは思う。
濃いネイルカラーは少しでも剝げるとすぐバレる。美しさという点では好ましくない状態だが、本作のヒロインは濃いボルドーを塗って登場し、謎のシェルター生活が長引くにつれてそれがだんだんと剝げていく。先の見えない避難生活の厳しさや不安、時間経過をこうしたディテールで見せるとは大したセンスだ。随所で光るその才覚はこれだけでも十分にうかがえる。新人ダン・トラクテンバーグの映画的感覚の的確さに舌を巻く。この監督はきっと何を撮っても面白い。今後への期待も込めて★。
アーティストが発信する楽曲を受け取るものから、オーディエンス自身が主役となって楽しむものへ。音楽のそうした側面を飛躍的に促進させたのがクラブカルチャーとDJという職業だったと思う。アーティストの本領が自分の世界を表現することならば、DJは聴衆を沸かせることも重要。EDMがアンダーグラウンドから表舞台での人気を得た背景には音楽そのものの楽しみ方とニーズに大きな変化があったはずだが、ドラマ自体は従来のバンドものとそう変わらないのが惜しい。
事件の被害者が寄付金や実録本の売り上げ収益でその後の人生を生きているというシチュエイションは、ノンフィクションがなかなか踏み込めない領域であるだけに、フィクションの強みを生かした説得力が非常にある。事件そのものの構造は「デビルズ・ノット」(13)でも描かれていたものと通じる。ただ、原作者が「ゴーン・ガール」(14)と同じであるだけに情報や時制の処理でフィンチャーのスマートさと比べられることは否めないし、原作のブラックな持ち味も薄まっている。
史実のスキャンダルを過不足なく紹介したという感じ。それ以上でもそれ以下でもなく、ある意味ドキュメンタリーよりドキュメンタリーらしい。ドーピングは本質的にスキャンダラスな要素を含む行為だが、体内に注入するという形や隠匿するべきものという性質から、あまりビジュアル化に向いているとは言い難い。ゆえに一番のハイライトは、抜き打ちチェックに際して規定の数値をクリアすべく、まさにチームが「一丸となって」、体に入れた禁止薬物を「出す」ところなのである。
B級映画の傑作と言ったら失礼だろうか。人気スター出演の鳴り物入り大作ばかりで、アイディア勝負の面白い映画が少ないとお嘆きの方々はきっと快哉を叫ぶだろう。ヒロインの監禁で始まるディストピアものと言った説明も不要だろう。なにしろ先が全く読めないから固唾を呑まざるを得ない。登場人物はほとんど三人だけ、場所はシェルターに限定されているが、背景には世界の終末が重く広がっている。M・E・ウィンステッドの身体演技はエロティック、J・グッドマンはひたすら怖い。
L・Aの先端的風俗を背景にDJのトップを目ざす主人公のサクセス・ストーリーにあまり共感を覚えないのは、その職業が持つ作曲家とも演奏家ともつかぬある種のいかがわしさに由来する。彼らの野望は一発当てて大金を狙うもので、芸術家の苦悩とは違うようだ。カリスマDJである先輩の愛人に恋するストーリーは意外に古風だし、奇矯な風体を装っている彼の仲間たちも一様にステレオタイプで個性に欠ける。クラブに行って最新の音楽やファッションを楽しむ、そんな映画だ。
28年前の一家惨殺事件の証人であった少女が28年後に事件を解明するという上出来のサスペンス映画だ。三人の登場人物の視点から現在と28年目がせわしなくカットバックで描かれていくという叙述トリック的な構成は原作に従ったもので、ミステリーの雰囲気を盛り上げる。シャーリーズ・セロンの心情に添って観ていこうとすると感情が分断されるが、トラウマを抱えたヒロインは今まで何度も演じているから、今回行動派でいったのは理解できる。アクションも決まっている。
ツール・ド・フランスのチャンピオンのドーピング疑惑を描いたドラマだが、フリアーズ監督は登場人物の心理描写を徹底的に排除し行動と科白を中心に外面描写で描いていくというかなり実験的な方法をとっている。彼が薬物に手を染めた動機も彼の倫理感も描かれないし、新聞記者の目的も社会正義か功名心か判然としない。従って、感情移入する人物はいないが、監督が選んだこの手法はまさにハードボイルド。ダシール・ハメットの小説を読むようなストイックな緊張感を感じさせる。