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「ドローン・オブ・ウォー」が告発していた劇的な不均衡が背景にあることを思うと非常に割り切れない思いがするし、考えているうちにだんだん積極的に不愉快な気持ちになってきてしまうのだが、そもそもこの映画は考えることなど要求してはいないのだから、モーガン・フリーマンがイイ声で説明台詞をしゃべっているのも含め、そういうものだと思って(あきらめて?)画面を眺めていれば、スペクタクルとして楽しい。テロリストのアジトへ主人公が侵入する直前の、市街戦の撮影がいい。
必ず訪れる死を意識しながら生きるとは、生を濃密に経験することにほかならず、そうやって主人公が人生に目覚める物語なのだなと思っていたら、それだけにとどまらず後半怒濤の展開に。伏線が行き届いていて語りもスムーズ、とても可愛くて魅力的な映画。ところでオランダは、深刻な苦痛を抱える患者が死を望んでいる場合、末期症状になくとも医師による自殺幇助が合法となる国なので、オランダ国内においてこの映画は、われわれが思うよりもずっと切実に受け止められているのかも。
久しぶりのケヴィン・レイノルズだがどうもぱっとしない。忽然と消えたイエスの遺体をローマの軍人が捜索するというアイディアはなかなかいいのに、捜索過程に冴えたエピソードが一個も入ってないのが痛い。さらに、復活したイエスを彼が目撃したあとの展開は、誰もが知っているエピソードを、さしたる工夫もなしに画にしただけ。主人公が、まるで非キリスト教徒を代表してイエスにインタビューしているかのようである終盤のシーンも、やり方によっては相当面白くなったはずなのだが。
ステレオタイプな人物配置をからかうようなオープニングクレジットが可笑しい。どんなお下劣ネタが連投されるのかと思っていたがそこまでではなかった(わたしの予想が極端すぎ?)。台詞に小ネタが満載なので、どこをどう字幕に生かすか、翻訳はさぞや苦渋の選択の連続だったろうと思われる。主人公の友人や、同居人となる老女など、脇のキャラクターに魅力があるのがよい。アクションシーンに、できるかぎり生身の人間のアクションを活かそうとする姿勢が見えるのも好感が持てる。
英国首相が急逝し、葬儀のために世界の要人がロンドンに集結。厳戒態勢にもかかわらず、爆発テロが起きてしまう。日本なら劇画でしか出来ないことをハリウッド映画はやるから怖い。膨大な火薬量の消費で、レプリカとはいえ、セントポール大聖堂を中心とした市街地や鉄橋が破壊されていく。絵空事とはいえ、ゴジラの都市破壊とは違い、インターネットの使い方など妙にリアリティがあり、伊勢志摩サミットを控えた日本人の目には無気味。悪趣味映画として日本篇もできるのだろうか。
自殺に失敗ばかりしている男の話では筒井康隆の『俗物図鑑』があり、拙作映画では大林宣彦監督が予想外の怪演をしてくれたけれど、この北欧作品でも主人公ヤーコブをコーニンスブルッヘが演じ、奇妙な論理とブラック・ユーモアで笑わせる。ヒロイン役のジョルジナ・フェルバーンは、平凡な女の子として登場しながら、見ているうちに車の知識や運転の巧さといった特技を隠し味にして魅力的になっていくのがみごと。脇役陣も適格だし、ロケーション地もよく、マイナーポエットの佳作。
聖書を素材にした映画は、数多くあるが、この作品がユニークなのはイエスを処刑にした百人隊長クラヴィアスという架空の人物を設定し、その視点から復活の奇跡を描いていることだ。彼は部下たちに命じて、死後三日にして復活すると予言して死んだイエスの墓を厳重に見張らせる。しかし、遺体は消えてしまい、クラヴィアスは茫然自失。信じがたい謎を探るべく、彼はイエスとその使徒たちの追跡を始める。聖書の内容とフィクション部分がカットバックされる構成が新鮮で興味深い。
新人監督を中心にスタッフ、キャストが楽しそうに撮影している気分が伝わってくる。マーベル・コミックが原作で、笑いをとるためなら、楽屋落ちだろうと下品なジョークだろうと、何でもやるというスタイルながら、ガンに侵された主人公(ライアン・レイノルズ)がミュータントとして延命をはかる手術の場面などは、時間をかけて丁寧に撮影。娼婦あがりの恋人を演じるモリーナ・バッカリンと格闘技を活かし、悪役として登場するジーナ・カラーノたち女優陣がタフでチャーミングだ。
大統領夫人を救えなかった苦悩などを抱えていたJ・バトラーだが、それも前作内で解消済み。スッキリしたところで、前作以上に殺りまくる。ヘタな悶々を排除し、より派手な見せ場を繰り出してくれるのは大歓迎だが、ホワイトハウスという閉鎖空間からロンドンに舞台を移したのにその広がりを活かせず。名所が映り、壊されるだけといった感じ。とはいえ、路地から敵のアジトへ銃撃しながら乗り込んでいくのを追うワンカット、後ろ向きでジョギングするバトラーには目を剝いた。
可愛らしくて意外と深い「ゲーム」といったところか。大富豪が主人公ゆえに随所に充満するラグジュアリーな雰囲気、高いプロ意識を持つわりにはなんだか間の抜けたところのある自殺請負会社メンバーのキャラ造形、生、死、愛、幸福といったものをまるっと含め、しっかと見つめた人生観をめぐる物語が、絶妙な匙加減によって心地よく絡み合っている。ヒロインの存在が主人公のみならず、どんでん返しともいうべき作劇上のサプライズにもなっていくのも巧みだ。で、その彼女がこれまた美しい。
興行的にはパッとしなかったものもあるが、手掛けた作品すべてがハイクオリティ。そんな名手ケヴィン・レイノルズが監督と脚本を務めているだけに期待は募った。実際にキリストの復活を彼の死体消失ミステリーとして描いていくのは確かに巧いし、合戦シーンなんかも用意してグイッと引き込んでくれるわけだが、それも中盤まで。結局は聖書通りらしき話になっていく。信じる者しか救わないのは勝手だが、信じる者しか楽しめない作品が劇場公開されるのはなんだかなぁという感じだ。
とめどなく下品で、正義を貫くよりも私怨を貫くほうが大事。おまけに、敵はどんな雑魚も〝完殺〟をモットー。それでいて、異形としての哀しみも抱えている。そんなデッドプールのキャラがやっぱり魅力なわけだが、喜々として彼を演じるライアン・レイノルズが輪をかけて素晴らしい。劇中でもネタにされている「グリーン・ランタン」のあれこれが彼のなかで葬られたのをこちらも感じる。新生版「トランスポーター」では冴えなかったエド・スクラインだが、本作では相当な存在感を照射。