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こういう『飛び出せ!青春』みたいな話は手放しで好き。殺せんせーが村野武範クラスの包容力で生徒の心を包みこむ。ひねったシチュエーションだけどひねり過ぎないのがありがたく、基本、小ネタの連続ではあるが一本ちゃんと芯が通っている。ただし、せっかくアクションに凝っているのに決めが未消化だったりするのは問題で、落っこちる前後があるのに落下そのものが描かれなかったり銃撃戦が単調だったり。黒沢清を見習いたい。むしろ素手による生徒同士のバトルの方が出来は良いかと。
良い話ではあるが、ハーレクイン・ロマンス路線であり、そういうのを許容できる観客にのみ通じる設定であろう。とりわけ主人公の元カレに魅力がなく、山岳救助の専門家なのに自身の判断ミスで二次遭難を引き起こしたりしちゃ同情のしようがないでしょ。そうした物語の手抜かりが多い。冒頭の山本圭に主人公の体調を気づかうセリフを言わせるだけでクライマックスの、あまりと言えばあんまりな唐突感は防げたはずだが。現在と過去を交互に語る説話はすっきりとしていて混乱はないな。
色んな意味でショッキングな性愛描写たっぷり。璃子ちゃんまで全裸になるのだからうれしい。これはゴダール風味のエロなのか。ただし乳首露出はない。もう片方の女の子は見せてるけど。要するに着たり脱いだりする映画、しかも七十年当時のスタイリングのセンスが皆はまっている。私の兄の世代の話だが、こういう造反有理の人達にはあこがれたものだった。それと茶室で逢い引きなんて川島雄三みたいでいいね。原作がそうなのかな。だがミステリーっぽい細部がぼやけて納得せず。
映画愛映画というのはありがちだが、出るのが下衆野郎ばかりというのが新機軸。ばかりと言っても後から考えると、主人公の映画監督渋川と彼にあこがれて失望する女優志願者岡野、この二人が下衆なので、他はそうでもない。要は戯画化の度が過ぎ、かえってヘンになっていると思う。むしろ渋川の子分に甘んじる細田善彦の、親分に寄せるピュアな恋心が愛おしく星を足した。受ける渋川も「いっぺんだけな」とキスするのが大人である。こういうのがバディ・ムーヴィーの醍醐味。見どころだ。
いやぁ、殺せんせー、もう好きにならずにはいられない。生徒をわざと挑発し、やる気を起こさせるというのはよくある手法だが、設定もキャラクターも限りなく突拍子もないのに、殺せんせーの言動、説得力がある。アソビやムダ口、そのリアクションも楽しい。E組の生徒たちの変わりようも大したもので、反面教師・殺せんせーは間違っていなかった。今回、殺せんせーの謎も描かれていて、この辺り、ちょっと重苦しいが、ラストはワルくない。ドラマを引っ張るVFX技術も絶好調。
夕張の美しい雪景色。上海のお洒落な街並みと夜景。2つの風景を結ぶのはひたむきで一途な恋と、手造りのほろ苦いチョコレート。とまァ、日中合作のこのラブストーリー、どちら側にも思いっきり気を使い、恋も風景もいいとこ取りの上澄み合戦、当然、誰1人、偏見も悪意もない。そしてのべつ幕無しに流れてくる久石譲の、ヒロイン以上に感傷的な音楽。しかも彼女と福地祐介の命を巡る因縁が台詞だけで説明されるに至っては、もうアゼン!! 星二つの内一つは日中双方の気配り合戦に。
時代はひと回りほど違うし、設定も異なるが、成海璃子が演じる仙台の名門女子高生に、「海を感じる時」の市川由衣と同じ自我を感じ、いささか居心地がワルくなった。私はみんなと違うのよ、という危なっかしいプライド。相手役が池松壮亮なのも同工異曲の印象を強くする。1970年代前後という時代の高揚感が、女子高生をちょっとニヒルな池松に向かわせるのだが、学園紛争や路上詩人、クラシック喫茶もただの光景、性愛に溺れた女子がいるだけ。斎藤工もヘンな役ばかりでご苦労様。
いくら独立プロ系の映画業界に辛うじて身を置く撮れない監督と、その周辺の人々の楽屋裏だといっても、いまどき、カネはともかく、コネ、カラダで人が動くはずもなく(ひょっとして動いたりして)、いったいいつの時代の話よ、と突っ込みを入れたくなる。けれども、下品で猥雑、限りなく無責任な彼らの世界の真ん中に映画があることだけは痛いほど伝わってきて、下衆の愛でも愛は愛、逆に純情すぎてテレくさい。役者もみなピッタリ。逆説的な意味で、映画を志す人、必見!!
殺意も殺気も殺す痛みも微塵もないような映画など殺してしまえと思うほど苦痛。浦沢義雄が脚色して清順テイストなナンセンス暗殺劇にでもしてくれたら面白くなりそうな話だが、説明台詞だけで強引に話を進めて感動話にしようとするのだから無理がある。レクターとクラリスを二宮と桐谷でやるのは例の拘束服も含めて失笑しかなかったが、桐谷が白痴にしか見えないのは如何なものか。今さらながら「BR」の深作は漫画ゲーム的な設定を活かしつつ殺す痛みを残していたのを思う。
〈お蔵出し映画祭2014グランプリ〉が醸し出す不穏感が凄いが、篠原哲雄で撮影が上野彰吾ならば安っぽい話でも技術で見せきっているので安心して観ることはできる。まるで今までの久石譲の全曲集のような音楽も無駄に豪華に聴こえてくることだし。しかし、無理矢理不慮の死を設定して催涙攻撃を行わねばならないだけに、雪山に慣れているはずのレスキュー隊員が遭難した恋人を発見すると何故か単独で強行下山して自業自得みたいな目に遭うのをまともに付き合って観るのは辛い。
成海璃子の表情がいい。あの時代に生きる不機嫌な少女の顔だ。「恋人たちの失われた革命」になるかと思ったが三角関係の描写は茶室などの室内になると濃密になるが外が弱い。役者も池松はどれも同じ芝居なので男側が弱くなる。露骨な胸隠しは、本作に限ったことではないが、本人・事務所・演出が互いにソッポを向いてそのまま撮ってしまったような違和感。見せないならそれで構わないが、それに沿った演出があるはず。最近は吹替えもダメなのだろうか? その分、遠藤新菜が出色。
かつての園子温映画のプロデューサーによる「地獄でなぜ悪い」への返歌にも思えるが、地に足がついたインディーズ映画らしい混沌を描いている点は好感が持てるが、愚かさが足りない。主人公のクズっぷりを渋川清彦が好演しているとは言え、映画監督なんてもっと人非人で愛想をつかされつつ、時として才気ほとばしる言葉を発して才能の片鱗を覗かせるのが鬼才系監督ではないのか。演出している姿もただカラッポで偉そうにしてる奴にしか見えず、孤独や自分の才能を疑う姿が欲しい。