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ホテルを舞台にすると多彩な人間関係が描けるので、作り手も楽しいし、演じるほうも張り合える。前作がよかったので、続篇を期待するわけだけれど、今回はホテルの新館を作ろうとする主人公のデヴ・パテルがあまりに常識的で、分別くさく、話がはずまない。それが演技力豊かな老人俳優にも伝染して、湿っぽい作品になった。そこでゲストスターの謎の男、リチャード・ギアの登場となるのだが、ミステリアスとはいかず、キャスト全員で踊るボリウッドダンスの場面が一番よかった。
日本のオリンピック競技場の設計では予算の都合とかで女性建築家がダメになったけれど、ローマでも女性建築家が優秀なのに男性社会の壁にぶち当たり、それを突破するために大騒動。ナンニ・モレッティの助監督を勤めたというミラーニ監督が巨大公営住宅コルヴィアーレに目をつけたのはさすがで、テンポのいいイタリア喜劇の伝統が流れている。主演の監督夫人パオラ・コルテッレージをはじめ、ゲイ役のラウル・ボヴァなど、街の不良少年にいたるまで配役がキメ細かいのに感心した。
コロンビアの麻薬王エスコバルはマーロン・ブランドの「ゴッドファーザー」の生き方に憧れていたそうで、贅沢な生活スタイルもそれを模倣。ベニシオ・デル・トロが熱演しているのだが、ブランドほど感情移入できない。家族愛を描き、姪のマリアを可愛がりながら、物語の核心部分で、その恋人ニックをファミリーにふさわしい人物かどうか験す真似をするからだ。配下のアウトローたちもパターンになりすぎで、実在する人物と事件なら、年代順にドキュメンタリータッチで見たかった。
ニューヨークの街並みを正装して歩く中高年の画家と音楽教師の同性カップル、ジョン・リスゴーとアルフレッドはいかにも幸せそうで絵になる。二人を取り巻く風景が実にいい。だが、新しい法律に従い、祝福もされて、結婚したばかりに、職を失い、マンションのローンも払えなくなる二人。そのドタバタ騒ぎが喜劇というよりは私小説風にリアルにしんみりと描かれていく。ただ演出の視点がバラバラで落ち着かない。最後をしめくくる少年のクールな目で語ってゆけばよいのにと思った。