パスワードを忘れた方はこちら
※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。
メールアドレスをご入力ください。 入力されたメールアドレス宛にパスワードの再設定のお知らせメールが送信されます。
パスワードを再設定いただくためのお知らせメールをお送りしております。
メールをご覧いただきましてパスワードの再設定を行ってください。 本設定は72時間以内にお願い致します。
戻る
公開年:
現在の文字数:0文字
氏名(任意)
劇映画というのは見ればわかるという大前提があるが、こういう時間軸がやたら長いスパンの記録映画は、一度見たくらいでは分からないという曖昧さが必ず残る。それをお客さんには逆に楽しんでいただきたい。一応、物語の始まりは今から五年前の大地震で壊れかかった古民家をつぶさずに再建する小暮さん夫婦のエピソードであり、これは大成功に終わる。だが一方で壊すことになる民家の件も出てくるし、その画面もまた圧巻。幸せに生き幸せに屠られた山羊のエピソードとかに心なごむね。
競技かるたというのは誰でも知っているがやったことはない、というゲームの典型だろう。最大のクライマックス、全国大会は後篇だとして(冒頭描写がそういう感じ)、こちらはそこへ向かう前段階としてとりあえず文句なし。でも星はそっちにとっておく。過去のズルがトラウマとなって、以来ここ一番でのつきに見放された少年という細部も良い。主人公の少女はそういう葛藤とは基本的に無縁だが対戦相手のサド少年が「ソロモンの偽証」の不良で、この俳優の存在感がギャグっぽくていいぞ。
今回のは四本全部いいが、これは物語構築のハードルが高過ぎて多少失敗しており星は減らさざるを得ない。でも見どころは多く必見作。善意の固まりではあるが無能ぞろいの日本人達を一人の韓国人少女が天然のパワーで圧して、全て最後は上手くいくという「いい話」でよかったのに。それを微妙なところで避けたため、和紙職人の息子夫婦ととりわけ孫の極悪ぶりが際立つ結果となっている。笑顔だけが取り柄の無能な日本人、吉岡里帆の意識改革には成功したわけだからそれで十分なのか。
原作者は藤子・F・不二雄の『未来の思い出』のファンかも。過去に意識が戻り何度も同じ時間帯を繰り返しつつ未来を変えるという設定が似ている。でも、こちらは幼女連続殺人が絡んで、人々の必死さの度合いがケタはずれ。現在と小学生時代を行き来して事件を未然に防ぐ主人公のがむしゃらぶりに感動必至である。彼が「リヴァイヴァル」と呼ぶほんの数秒単位での過去の繰り返し、やり直しも面白い。ネタバレ厳禁で多くは語れないが『あさが来た』の少女の妙な色っぽさが抜群。
厳しい環境の中、自然と共存しながら農村生活を送っている人たちは大勢いる。この記録映画は14年前にあえてそういう生活を選んで東京から移り住んだ一組の夫婦と、その集落の人々との日常的交流にカメラを向けているのだが、どうもある種の押しつけがましさを感じないではいられない。夫婦がその地に根を張って生きているのは分かるが、カメラに写し出されたとたん、この集落での生活が別格化され、まるで立派でしょ、と言わんばかり。編集され、音楽が流れて美化される農村生活?
部活を描いた映画には「シコふんじゃった。」「ウォーターボーイズ」「ロボコン」など、良質な娯楽作品がいくつもあり、部活の種目はさまざまでも、始めヘナチョコ、途中で迷走、さいごは本気でぶつかってと、その結果はどうあれ、やることはやったという達成感があった。が本作、まだ前篇ではあるが、どうも競技かるたの百人一首をからめた幼なじみ同士の三角関係がメインのようで、これまでの部活映画とは方向が違う。部員集めのくだりや練習、競技も形式的演出が目立ち、こんなもん?
乱暴でふてくされたキム・コッピの描写からスタートするせいか、彼女を狂言回しにした日本の高齢者介護と越前和紙のアピール映画の印象が。むろん、介護する側にも、される側にもそれぞれの人生があるのだから、頑固な和紙職人の介護をすることになるキム・コッピ側から描いても決して不自然ではないが、一石三鳥狙いとでも言うか、妙に情緒的八方美人映画で終わっているような。ことばが通じないキム・コッピが、ほとんど研修も受けずに介護の現場に就くというのもいささか乱暴。
時間が何度も同じ場面に巻き戻るといえば、桜坂洋の原作を基にしたトム・クルーズ主演のSFアクション「オール・ユー・ニード・イズ・キル」があるが、こちらの主人公は、短い時間逆行を繰り返したあげく、母親が殺されたことがきっかけでドーンと18年前の少年時代に戻ってしまう。しかも当時、子どもが次々と殺されていて、というのだが、事件の気色ワルさと時間の逆行がうっとうしく、時間と事件をお手玉する主人公の唐突さもご都合主義的。独り忙しげな藤原竜也、お疲れサマ。
田舎暮らしを称賛する映画ではないことはスタッフの顔ぶれでも明らかだが、じっくり腰を据えて撮ることで、自然と農業と生活と文化が重なりあう暮らしと、相互の協力が不可欠な場であることを示す。湯気が立ち込める食卓から圧倒的な食の魅力があふれるが、これ見よがしに食物のアップを挟まないのも良い。エエ声で唄う佐藤さんら地元の有名人もいいが、外部からの移住者を受け入れ、新たな文化が根付き、地元の文化を更に盛り上げる土地らしい開かれた空気が映画にも充満している。
人気漫画原作の前後篇ものなので期待していなかったが小泉徳宏が初めて脚本も兼ねたことも幸いしたようで過去作にないリズムと語り口が心地良い青春映画の佳作になっている。ハイテンション演技を血肉化させた広瀬が屈託のない表情で廊下を突進する姿など実に魅力的。カルタ取りの画は工夫が少なくやや単調で、広瀬の研ぎ澄まされた聴力がクライマックスまで放置されているのも不満。能力が使えなくなっていた設定が欲しいところだが前篇だけでも成立する構成と演出の配分は見事。
石倉三郎が絶品。こんな抑制された繊細な演技を見せてくれるとは思わなかったと言えば失礼だが、「岸辺の旅」の小松政夫と同じく、喜劇も悲劇も大仰なものから背中と無表情で語る芝居まで何でも出来る俳優なのだ。つまらなさそうに飯を食い、黙々と作業する顔など石倉の年輪が映画を豊かにさせる。言葉も通じないキム・コッピに与える仕事が問題になりそうなぐらい理不尽なのは置くとして、石倉が安易に和解したり、心を開くようなベタな描写を拒絶した30歳新鋭監督の意気は支持。
SF設定をご都合主義の道具にしか思っていない凡作。主人公の母は洞察力に優れた元報道人という設定なのに誘拐未遂を目撃しても届けないわ、注意されてもアパートの鍵を掛けない。主人公も自分で疑われる方向に仕向けているとしか思えない。大人の視点を持って小学生時代に戻るのに邪な感情を描く気がないなら、せめて昔は何でもないと思っていた同級生が一目置ける奴と気付くぐらいの描写は欲しい。2時間で設定と登場人物を消化することに追われて何も描かれていないに等しい。