パスワードを忘れた方はこちら
※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。
メールアドレスをご入力ください。 入力されたメールアドレス宛にパスワードの再設定のお知らせメールが送信されます。
パスワードを再設定いただくためのお知らせメールをお送りしております。
メールをご覧いただきましてパスワードの再設定を行ってください。 本設定は72時間以内にお願い致します。
戻る
公開年:
現在の文字数:0文字
氏名(任意)
シリーズ1作目「エイリアン」が公開された70年代は、エイリアンが地球外生命体としてSFジャンルに属していたし、まさに未知との遭遇だった。時を超え、今やエイリアンは近くに存在する可能性が高まり、世間的にも目撃の噂が後を絶たない。外惑星ジャクソン採掘植民地という舞台設定には説得力を感じたし、人々の生活模様は想像できた。エイリアンは不気味だということに変わりはないが、驚きのインパクトは弱まった。つまり、時代の先を見据えたリドリー・スコットには敵わない。
2013年、フィリピンの地で実際に被害を受けた台風ハイエン災害後をドキュメンタリータッチではなく、創造力の高い予想外な物語に描き直した。物凄くいい。主人公の二人は被災した街中を歩き続け、景色を交わしながら、未来への意を決していく。気弱な男子の隣で恋人役ランス・リフォルが銃を構えるショットは「バッファロー’66」のクリスティーナ・リッチを想起した。気概のある、力強い女性像で、最高。彼女が肝だ。焦点の合わせ方が独特な撮影も、メロウな音楽も、絶妙。
ランティモスがいよいよ映画界の問題児にモデルチェンジしている! 悪趣味を乱発し、次にどんな球が投げられるのか分かりゃしない。そして、見手は大打撃を受ける。原題「Kinds of Kindness」のブラックジョークを超えた意地悪さよ……。3章共通テーマを「親切味」として捉えるならば、どう考えたって狂っているし、許容しづらい。しかし、一周回れば意外とメルヘンなお話かも、とも思えてしまう。映画の矛盾を思い知らされ、結果、この策士の才能に翻弄されている私。
‘70年代に活躍した8人組のロックバンド(ジョニー・キャッシュの曲名からそのまま拝借した、バンド名とのこと。知らなかった……)。時系列を示す多くの写真と映像、そして関係者のインタビューを含む模範的なアーティストの音楽史。膨大な資料を背景にすると、BS&Tの歌詞と曲調に理解が増してくるのだけれど、ヴェトナム戦争も、アメリカの政治事情も詳しくないので、アーティストよりも歴史的背景のほうが興味深い。その印象が強く残ってしまって、少し残念。
構造だけ取り出せば、ゾンビだらけの呪われた廃墟にうっかり高校生たちが足を踏み入れてしまったみたいなストーリーだが、シリーズにオマージュを捧げたちょっと古風なメカニックデザインと、こけおどしのない演出が、作品全体を引き上げる。第1作に顕著だった「母体恐怖」のモチーフが再度押し出され、リブートと銘打ってはいないがリブートの趣あり。けれども最も魅力的な要素はアンディの設定、およびアンディとレインの関係。彼らを演じる若い俳優ふたりが相当達者で、今後の活躍にも期待大。
災害後の荒廃を生き抜くサバイバルドラマか、夢のマニラへ渡ろうともがきつつもたどり着けない若者たちの苦い青春映画かと思って観ていたら、不条理劇かマジックリアリズムかという展開に。こんな映画観たことないとうっかり口走りそうになるけれど、どこか懐かしさを感じるセンスでもある。終盤ややメロドラマ的になるのをどう評価するかが難しいのだが、それまでの、若者ふたりが旅を続けるパートは、最近亡くなったせいもあるのか、個人的には、なぜか佐々木昭一郎の作品を重ねつつ観てしまった。
何かにとり憑かれた人物や、支配と従属、共依存のさまが、3つのエピソードで共通して描かれる。共感できる人物がほぼ出てこないのだけれど、「嫌映画」というよりは、突き放したブラックコメディという印象(特に最終話の幕切れ)。第1・第2エピソードで、人物の顔を意図的に見せないようにしているショットが頻出するが、これは、俳優たちが次々役を乗り換えていくのと同様、誰もが交換可能な存在だということだろうか。ランティモスは「足」と「人の歩き方」にフェチがあるのかもなあと今回発見。
ヴェトナム反戦運動の時代に、ロックバンドが、国務省主導で東欧ツアーを行うことが持ってしまう意味。バンドをスターダムに押し上げた強力な二代目ヴォーカルが、政府につけこまれるウィークポイントになったという皮肉。未発表映像と機密資料で驚愕の事実が次々明らかに。「東側の国が全部同じだったわけではない」ことが具体的にわかるのも面白いが、何よりも、毀誉褒貶に遭った偉大な音楽家たちの再評価であり、破壊され失われたと思われていた映画(東欧ツアーの記録映画)の、感動的な救済。
「エイリアン」フランチャイズ最新作は1作目と2作目の間の物語。漂流する宇宙ステーションにたどり着いた若者たちがエイリアンと遭遇し壮絶な体験をする。「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスによる1&2作目のエッセンス満載の原点回帰な仕上がり。若手監督らしからぬ熟練の技のような活劇力を見せるが、かつてキャメロン、フィンチャーが自らの作家性をこのフランチャイズで示したような映画作家性はナシ。「エイリアン」フランチャイズは、怪物だけでなく大企業とも抗わないといけないのだ。
2013年にフィリピンを襲った巨大台風を題材に、壊滅的な被害を受けた街を舞台にしたドキュメンタリーのようなドラマ。新たな嵐の到来の噂が流れ、主人公は恋人と母を探して街から脱出しようとする。この世の終わりのような背景の中、フィクションとノンフィクションの境界が溶け合った世界で、話はラテンアメリカ文学のマジック・リアリズムのように徐々に神話的な色彩を帯びてくる。「探すこと/逃げること」という矛盾する行為にもっとダイナミズムを与えていれば映画はもっとドライブしただろう。
「哀れなるものたち」で世界の映画祭を席巻したヨルゴス・ランティモスの新作。前作にも出演したストーン、デフォー、クアリーが引き続き出演し、3つの章でそれぞれ異なる役を演じる三部作構成。3つともアメリカ郊外を舞台にした奇妙な筋書きで不穏なムードに満ちている。原作モノの映画化で大ヒットした反動か、新作でランティモスは彼の初期作と同じ脚本家と組み、現代の不条理劇を描かんとするが、最後まで映画的カタルシスのないままに終わる。登場人物の生死を極めて軽く扱う世界観も肯定し難い。
60年代後半~70年代初頭の米人気ロックバンド「ブラッド・スウェット&ティアーズ」が米国務省主催による東欧諸国を回る「鉄のカーテンツアー」を実施した様子を捉えた映像と現在の関係者の証言からなるドキュメンタリー。東西冷戦の中で「音楽の政治的利用」を巡る興味深い内容で、ニュース素材や当時の時代感を伝える映像もうまく織り交ぜた構成だが、いかんせんバンドそのものに強い魅力がなく、驚くような発言があるわけでもないので、映画として観客をグリップする力に欠ける。