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武林の天下第一は誰か? さながら武蔵と小次郎の対決だ。ドニー・イェンは貫禄十分だが、対する犯人のワン・バオチャンは武道の達人とは云え、肉体的ハンディを持つ小柄で風采が上がらない男なので、つい判官贔屓してしまう。最後の見どころ、十数分にわたる高速道路上の勝負は二人の身体を掠めて疾走する車の怖さが今ひとつ出ていない。二人の身体能力をじっくり見せるなら、黒澤明「三四郎」の芒原の決闘のように何もない原っぱで戦っても十二分に面白かっただろう。
シニア・インターンと言われる高齢者の再雇用制度と若い女性がネットで始め大企業まで成長したファッション通販会社、どちらも未知で興味深い世界が軽妙に描かれているので面白く観た。誰しも歳を取ると貧相で意固地で切れやすくなるものだが、このロバート・デ・ニーロの完璧なナイス・オールド・ガイぶりには恐れ入る。ピンで出るといささか鼻につくアン・ハサウェイも適役を好演。悪人の出てこないのも後味を良くしている。肩の凝らないロマンティック(?)・コメディ。
アトム・エゴヤン監督は、ミステリ風の題材をいくつか手がけているが、その種の映画の常道的な撮り方は決してしない。犯人も動機も最初から判っているが、コロンボ風の「倒叙ミステリ」ではない。サスペンス映画的な「ギミック」を排し、人物を正面から掘下げることによって、サスペンスを醸造してゆく。かつて映画に登場したことのないタイプの犯人像は極めて新鮮。児童虐待がテーマだが、陰惨なシーンを一切見せないのも良い。見応えあるサスペンス映画になっている。
女性客目当ての大甘ファンタジーかなという先入観に反して、なかなか面白かった。シナリオがいい。特にウィットの効いた洒落た科白がいい。時代背景を綿密に再現しようとする演出も、荒唐無稽なストーリーにリアリティを与えている。突然、レッドパージの証人喚問のショットが入ったりするが、ヒロインの記憶の中のアメリカ現代史がもっと前面に現れると、一層面白いものになったと思う。ハリソン・フォードの老けも味がある。特製親子丼、美味しゅうございました。
このまま行くと単調な話運びになりそうだと危惧していたら、賢明にもちゃんとひねりが入り、おかげで水辺の街のシークエンスは手に汗握るスリル。クライマックスの13分に及ぶ格闘が意外な場所で展開するのもいい。武術家が現代芸術家や映画スターに転身しているのも面白く、そのため美術装置やロケ地も魅力たっぷり、画面内の要素があらゆる意味で充実。いろいろな種類の武術が見られるのも、変な言い方だが勉強になる。以上のことだけでもすごいのに、さらにエンドロールが胸熱!
一児の母でもあるIT会社社長のアン・ハサウェイの元へ、守護天使のようなインターンがやって来る。デ・ニーロがキュートなスーパー執事みたいだという点も含め、女子の萌えポイントが満載だが、観る者はファッション産業やハサウェイの家庭を、デ・ニーロとともに目撃していく仕掛けなので、性別や世代を超えて幅広い観客が楽しめそう。画面が目に楽しく、テーマ曲も素敵。ところでこの映画、まるで『映画系女子がゆく!』の「プラダを着た悪魔」評を踏まえているかのようだ!
時系列が交錯し、意表を突く場面から映画は始まる。そこから徐々にストーリーがつながっていくのがこの上ない快感。でも後半、もっぱら現在時制で順に話が語られるようになると、普通というか、むしろ凡庸なスリラーに。カーチェイス(これ自体はよく撮れている)を引き起こす行動を主人公が取る理由もよくわからず(犯人につながる証拠をより多く確保したかったのだろうか?)、単に派手な見せ場をつくろうとしただけのように見えてしまう。主人公の妻のキャスティングと演技が秀逸。
クリスマスシーズンに観たいロマンチックさ。最大の魅力はブレイク・ライヴリーの衣裳とヘアメイクで、あまりに着こなしが見事だから、彼女のファッションショーのようだとさえ思えてくる。もちろん衣裳は各時代のものを再現しているし、サンフランシスコの地下に埋まる船(実話です)に非常なイメージ喚起力があって、「歴史の層を掘り起こす」展開を期待したくなるが、「フォレスト・ガンプ」等とは異なり「ヒロインが駆け抜けた20世紀の物語」にはならず、あくまでも焦点は現在。
カンフーにジャングルという題名の語呂も素晴らしいが、カンフーにサイコ・サスペンス(=○違いに武術)という発想がさらに素晴らしい。これならばカンフー連続殺人事件なんてものが突飛なものに思えなくなるし、殺らねば殺られる逼迫感も増す。それゆえに個々のバトルは超絶至極で、もはやラストは狂気の域に達している。標的になる達人たちが、ひとりをのぞいてカンフーを活かしていない仕事で喰っている姿が、現在の時流に乗れなかった香港活劇映画人らと重なるようでシンミリ。
広いオフィス内を自転車で移動、吊ってあるベルを鳴らしてスタッフの注目を促す。なにかと小突きたくなるA・ハサウェイだが、デ・ニーロはそんなことはしない。常に笑顔で彼女を見守り、励まし、迫る危険まで予見&回避する。その常軌を逸した忠義ぶりに、彼の正体は試運転中の法人用アンドロイドでしたみたいなオチかと思ったがそうはならず。若年と高年、両世代の融和を願う毒にも薬にもならぬファンタジー。でも、そんな大味が持ち味のN・マイヤーズだから美味しく頂ける。
アッサリ系の語り口なようで、本質はネットリ系のエゴヤン。こちらも寒々しい風景のなかで物語が淡々と進むが、熱々で濃厚な担々麺を喰わされている気分に。それをつかさどる存在といえるのが、変態犯罪者。誘拐した少女の所持品を母親の前にコッソリと置き、それを見て困惑するのを眺めてはアヘ顔をキメる姿に吐き気と殺意はMAX。こいつがいるからこそ、カー・チェイスをはじめとする終盤の追撃戦は総じてこぢんまりしているのに燃える。「プリズナー」と並ぶ誘拐映画の秀作。
アデラインが〝永遠の29歳〟になるメカニズムが、「13日の金曜日」第6作目におけるジェイソン復活シーンと同様なことに驚く。また、それを事細かく解説しているようでまったくもってデタラメなナレーションに呆れる。そして、結局は父子が穴兄弟になる話じゃないかとハタと気づいて笑いそうになる。だが、クラッシーな衣裳、なにやら重厚で美麗な映像に酔わされて、そんなものはどこかへ。すっかり楽しむ自分がいました。ちなみにアデラインは、淡谷のり子や小森和子と同世代。