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楽しめたけど、わざわざ褒める理由がない、というタイプの映画。番組の大ファンならご祝儀で当然劇場に足を運ぶだろう。それで十分。カット割りはきちんとしているし、テレビでよく見る顔がそこかしこに出没するし、アドリブをまじえて時々笑えるギャグもある。だがテレビで見る顔を映画で見られたり、たまには笑えたりというのを見どころと言って良いものか。コントでつないでるけど一つの物語、という構成が冗長だが、陰からじっと観察してる子どものキャラだけバカに可笑しいね。
ナマ臭い性的シチュエーションもあり、ちょっとアレだがそれ以外は万全。疎外されてる女の子たち五人組がダンスで弾ける物語。地域のお祭りでパフォーマンスを披露して、失敗したのに大好評、すっかり意気投合してしまった彼女たち一人一人の性格もしっかり練られ、元花形ダンサーのコーチぶりも上々。ダンス場面ももちろんだが、皆、演技自体を楽しんだんじゃないだろうか。パシリ、ガリ勉、ヤンキー、オトコ依存症など、自分のキャラにぞっこん惚れこんでいる様子がうかがえる。
ロケの魅力というのは映画には確かにあって、小津監督ゆかりの旅館茅ヶ崎館、なんて登場人物に言われるとそれだけで付加価値あり。監督ゆかりの火鉢を皆さまもしっかりご鑑賞ください。恋心のすれ違いというありがちなネタが、終局、犬猿の仲の同僚二人を何となく仲直りさせる思いがけない方向に持っていく。この趣向に一芸ありと認めたいものの、それだけじゃ話が小さい。ただしこの手の恋愛スクランブル話はだいたい汚らしくなっちゃうものだが、これは至極清潔なのでほっとした。
★は少ないが十分面白い。ただし終わりに向けてまとめていかないといけない後篇は、謎の提出で気を持たせる前篇に比べて世界観自体が小さくなった印象だ。ポップス『この世の果てまで』が流れるジュークボックスという細部が効いているし、真の敵は壁の外じゃなく壁そのもの、あるいは内部にいるというのが脚本の批評性を提示する。銃器マニア石原さとみは今回もノリノリ。どうせなら他の連中も彼女を見習ってほしかった。個人的には希子のお腹の嚙まれ傷をもっと見たかったかも。
アララァ、これエーガ? 深夜、足を投げ出しダランと観ている分には適度にマが持つテレビコント集。茶の間がよく似合う善良そうな内村光良ほか、レギュラー陣もさして毒はなく、演じられるコントも基本は人情、どこで観るのをヤメても未練なし。むろん、そんなことは百も承知でムービー版を作ったのだろうが、これで一般並の入場料を取るつもりなら、ちょっと待て、数カ月後にはレンタルビデオが……。おっと、全員が黒いスーツで決めてカメラに向かって歩くシーンはカッコいいデス。
「くちびるに歌を」「幕が上がる」、そして本作もそうだが、〝部活〟の顧問やコーチ役たちが、まだ若いのにその分野の挫折者という設定になっている。で部活に関わる過程で初心に戻り、再出発するために部員たちと別れるという段取り。教える相手に教わってということだが、挫折も再起も軽いのね。それはともかくダンス部の少女5人、キャラ分けも面白く、それなりの達成感も。2部作「ソロモンの偽証」の偽証少女役の石井杏奈が今回もお騒がせ役で、振り回したり、振り回されたり。
日常を離れて陽光きらめく茅ヶ崎にやってきた女2人の気まぐれな行動と、どこか嚙み合わない会話に、フト、エリック・ロメール作品の女たちを連想したりして、脚本、監督の三澤拓哉、かなりいいセンス。他の人物の動かし方やキャラの造型も短篇小説の中のささやかなスケッチふうで、重くない。でも結果としてそのセンスに頼り過ぎていて、観終っても茅ヶ崎の海と陽光以外はほとんど何も残らない。せめて〝2泊3日〟の話にまとめれば。ラストのフラ・ショーは洒落たつもり!?
うーん、この2部作、やはり一気に観たかった。前作で鳥肌が立つほど興奮した巨人映像も今回はすでに観慣れた気分に。とは言え、更にパワーアップした超巨人の表情やアクションは、感動級の迫力で、正直、この超巨人の存在だけで、あらゆる謎やカラクリなどどうでもいいと思ったりも。そういえば主人公は、天国の奴隷より地獄の自由を選ぶ、と言い放っていたが、果たして地獄に自由は……。ただこの終わり方でいいのかも。実際、現代人は、地獄で奴隷的に生きるのがせいぜいだし。
映画版「テラスハウス」が意外な上出来ぶりを見せたようにバラエティーの映画化でも油断できない。だが、本作は映画を意識した設定がつまらない。大まかな状況だけでアドリブに任せれば化ける可能性もあったが、作りこまれた物語の進行と芸人の大量顔出しに尺を取られ、結局、番組にあった魅力は映画のための大筋を邪魔しない細部にしか発揮されない。テレビ的と思えるものほど逆に映画を栄えさせる可能性を秘めているのがデジタル撮影とシネコン時代の〈THE MOVIE〉なのに!
体育教師に無理強いされて単位と引き換えに地域の催しでダンスを披露する主人公たちは義理の声援に高揚を覚えたから以降も続ける気になるだけなので、ダンスの必然はない。作り手もそれで良い様で、初歩的な練習を映す程度で上達の過程や、肉体の躍動を描こうともしない。幼なじみへの片思い、仲間の妊娠、海岸で個々の心情を絶叫したりと形骸化した描写を工夫もなく垂れ流すのみ。対立するチア部をヒールに仕立てようともしないので、終盤のダンス選手権が盛り上がるわけもない。
モロにジャック・ロジエ+ホン・サンスなヴァカンス映画なのだが雰囲気だけではなく、上野彰吾の撮影が夏の涼風を画面に吹きこませる。小篠と杉野が互いを苛つかせるあたりが実に巧みに演じられるが、それぞれの思惑がアケスケに出過ぎていて感情に裏がない。画面の心地良さと対照的な嫉妬と不倫が巻き起こすジメジメした修羅場を軽やかに見せられる映画のはずなのだが。小津ゆかりの宿が舞台だが、小津映画の登場人物には複雑な感情が胸中に渦巻いてると想像させる奥行きがあった。
巨人による大殺戮を前面に出した前篇は特撮映画の快楽が漲っていて思わず3回観たが、後篇は本篇パートに比重がかかるだけに弱点が露呈。壁修復に向けた不発弾移送と並走して複数の人物を捌き、伏線回収も行う作劇は着眼大局、着手小局を地で行く緻密な演出が求められる。どこにカメラを向けて撮るかも覚束ない下手糞な演出と、役者の力量に左右される芝居が中心に来ては終盤の特撮絡みの場面以外が総じて凡庸に映る。圧倒的な人と巨人の超接近戦と、外の世界を見せた意欲は買う。