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こちらにも、女子高生が出てくるが、「私たちのハァハァ」と違って、初老の映画監督が、ストーカーまがいに後をつけ、彼女の秘密を覗き見て、妄想を膨らませる対象だ。彼は大学で学生の映画製作を指導し、助手の女性と同棲して、充実した(!?)セックスライフを送っているが、それだけでは、シナリオに行き詰まる。そこで件の女子高生をシナリオに登場させるのだが……いざ、彼女と対面すると、不能に陥る。妄想と現実の狭間に、老境に入りつつある一人の男の孤影が浮かび上がる。
原発の真上に、無人のヘリコプターをホバリングさせ、時間制限で墜落という原作からの着想はいい。それに子どもが乗っていたというのも、サスペンス要因を増すはず。だが、そんな卓抜な設定なのに、ハラハラドキドキにならないのは何故? 要は、喋り過ぎなのだ。息子を巡っての江口洋介と妻のやりとり以下、全員が意味明瞭! な科白を喋る喋る。子ども救出劇も、饒舌な実況放送のお陰でサスペンスは失調。全体の科白を15%ほどカットすれば、数倍面白くなったのに、惜しいね。
女子高生というのは、依然として商品価値があるんだね。バンドのライブを観に、北九州から東京までチャリで行くというのを、男子高校生がやるって設定にしたら、ボツになっていたろうから。ほとんど演技経験のない現役女子高生、というのがミソなのだ。旅の間に、彼女たちの素の部分が現れるのを、作り手と観客双方が期待するわけだが、その点は、それなりに成功している。ただ、何処でチャリを捨てたのかとか、宿泊代や長距離バスに乗る金の出所が外されているのが、弱いけれど。
失格なのは、ヒロインだけかね?自分じゃ面白いと思っている(だろうな?)ネタでヒロインをはしゃぎ回らせても、シラケるだけ。これじゃ、いくらアタマの軽いヒロインだって、可哀相だが、それ以上に可哀そーなのは、××じゃない? イヤ、それでも、一筋に男を想っている彼女は、可哀相ではなく、可愛いと見てくれるお方がいたら、それこそ三波春夫ではないが、「神様」というしかないだろう。神ならぬ凡人の我が身は、そっと頭(こうべ)を垂れて出ていくしかない。ご愁傷さま!
共感した。映画づくりが飲み食いや性と同じところから発する、と言いたげな高橋伴明、奥田瑛二の域には達さないが、当方も映画づくりが学科化されてなかった頃の世代に属するので、パトスより知識が先行している映画学生さんなんかを見ると違和感がある。学内制作の現場での、役者を見ずモニターだけ見る監督や出演女優の乳首死守などは実在する問題。それらを声高にならぬくらいにたしなめつつ、それどころじゃねえ、と本作は危険な領域に踏み込む。男の性の滑稽を活写した傑作だ。
(ややネタバレしております)原作の発想が優れているし、いまこの企画が実現したのも良いと思う。この夏公開されていた日本敗戦時事情映画では天皇陛下を演じて少なくとも演じた彼自身への悪評はなかったという本木雅弘が、今度は原発の技術者で、原発テロにも分があるということをやっていることも面白いと思った。映画用に付け加わったラストは、例えば三菱重工のような企業が防衛産業も原発も手がけ、そこには利潤追求しかない、というようなことをぼかしてしまった気がする。
新しい酒は新しい革袋に入れろと言うが、主人公の女の子らの、現在に生きる者らしい感性や振る舞いが、やはり今のツールであり彼女ら同様我々のライフスタイルを規定する、デジタル映像やツイッターやLINEを通じて形成され表現されるところに見事に今現在の映画を感じた。しかし主人公らはちょっと無計画すぎ。彼女らも映画自体もクリープハイプの存在を超えていたのが良い。四人のなかで、タレントらしくなく、しかし目立つ娘、あれは誰? あ、大関れいか! 優れた起用、発見だ。
主人公を演じた桐谷美玲に関して、観た者に「変顔しても美人は美人」みたいなことを言わせようとしているのか。しかしそれ以前に変顔は単に変な顔、ましてや狙ってやっているのでは物足りぬ。例えばホラー映画にて恐怖し顔を歪めるヒロインがスクリーミング・クイーンと称されて愛でられるのもアンコントロールドなまでに変形する形相が媾合時の痴態を妄想させるゆえだが本作にはそれはない。だが及第点の恋愛映画。脇が良いので、皆がそれぞれヒロイン、という結論が嘘臭くない。
自ら大学で教鞭を取る高橋伴明監督が、自身の思いを吐き出したと思われる一部自嘲的なセリフが興味深い。曰く、「企画を考えているうちはまだ監督」「(試写状を捨てて)映画はタダで観ちゃいかんのだよ」「(学生監督に)モニター命かよ!」「(学生女優に口説かれて)70年代ならいたけどな、そういう女優」……。唐突に繰り広げられる少女のアラビアン(?)ダンスや、「雨に唄えば」の再現シーンなど、全篇に漂うあえての古臭さが、痛々しくも哀しくもおかしくもあり。無論、タイトル含め。
600ページ以上の原作を、もろもろ詰め込んだ上で約2時間半にまとめるのは容易な作業ではなかったはず。ただならぬ気合い漲るエンタテインメント大作だ。とはいえ、主人公の息子が超巨大ヘリに一人取り残されてしまう冒頭から、あれよあれよと展開されてゆく救出劇(テレビの実況つき!)まで、序盤は特に、コントと紙一重の大仰さに思わず笑ってしまった。原発を巡るさまざまな立場が描かれるが、3・11を経て現実が映画を超えてしまった今となっては、複雑な思いばかりが残る。
大好きなバンドを追いかけて、北九州から東京へ。その手段もネットの知恵袋で調べ、ツイッターで逐一状況をアップしては一躍人気者になり、さらにその後やはりネットで叩かれる。喧嘩をしても、ラインでさらっと元通りに会話を交わす彼女たち。これが現代の青春なのか。10代は、JKは無敵なのだな、と妙に感心。この次元から遠く離れてしまったことに改めて気づく、自分にとってのロードムービーでもあり。4人が標準語でなく北九州弁を喋っていたらもう少し、近く感じられたのか。
桐谷美玲が顔面筋肉を酷使しながら大熱演。グサグサと全身に刺さる矢、固まって石となり、ガラガラと木端微塵に砕ける体、唐突につるつるに丸められる頭……と、漫画のギャグをそのまま可視化してゆく、貴重なまでに正しい「漫画の映像化」作品だ。荒唐無稽を極める一方、ひたすら幼なじみに恋心を捧げ続けるヒロインの健気さや、〝六角精児似〟の恋の宿敵とのかけひきなど、訴えるべきポイントはしっかり押さえられている。クライマックスの花火大会の後、失速してしまったのが残念。