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敵はナチスと思いきや実は魔女という無茶な設定や、カート・ラッセルを意識でもしたのかなぜかずっと金色の眼帯をつけている少佐、魔女の色仕掛けについつい引っかかってしまう兵士など、B級映画らしいケレン味に満ちた細部はそれなりに楽しい。しかし、全体的な画面の安っぽさは如何ともしがたく、特に魔女軍団との戦闘が本格化する後半の展開は、予算不足を逆手に取るような工夫もなく、安易にCGを使用した非常に大味なものとなっており、緊張感を保ったまま観続けることは困難。
数多の偉大なバンドが集い名曲群を生み出した激動の時代を関係者たちが振り返るインタビューパートはもちろん、ベックやフィオナ・アップルなど豪華ゲストが集う、当時の名曲群を演奏するライブパートもとにかく楽しい。なんの説明もなく終始画面に映り込む、リンゴ・スターやブライアン・ウィルソンにも気軽に接する、やたらと不遜な態度のインタビュアー兼演奏家が誰なのか最後までわからず大変もやもやするも、エンドロールで名前を見て全てを納得。たしかに雰囲気も似ている。
「アウトレイジ」などを想起させる昔気質のヤクザとより現実的な後続世代の対立という軸は悪くないし、多少は観客への説明があっても良かったようにも思うものの、あくまでも銃を使わずナイフやバットでの打撃にこだわろうとするヤクザたちの美学にも惹かれる。色気とサイコパス要素を兼備したチャン・ヒョクと無骨さや不器用さを全身で体現するユ・オソンの好対照な二人をはじめ、イイ顔のおっさん勢揃いの役者陣は説得力十分だが、展開やアクションはやや盛り上がりに欠ける。
a-haのMVや高畑勲作品を思わせる手書き調のアニメ表現がまず目を引くが、程なくしてアニメが使用されている理由が判明し驚かされる。アフガン難民が甘受することを強いられてきた悲惨な境遇を作品化するにあたり、単純なドキュメンタリーではなくなんらかの想像力を介在させる必要があったという点は「ミッドナイト・トラベラー」とも通じるが、安心できる居場所を求める難民としての悲痛な思いは、同性愛をめぐるアミン個人の不安や逡巡と重ね合わされるからこそ、より痛切に伝わる。
ナチスとの戦争に魔女や生命の木といったオカルト要素を混ぜたお話のトンデモ加減はおくとしても、精彩を欠く銃撃戦をはじめ、カットごとに距離感が狂う追跡、暗くてよくわからないナイトシーンなど、様々な描写がかなり雑な印象。魔女の造形や正気を失っていく兵士たちの様も新鮮味はない。あり得ないことが起きるという場面でもカットを割ってしまえば、それは魔女の力ではなく単なる映画の編集に見えてしまう。それらが強烈なギャグやユーモアになっていればよかったのだけど。
エコーとは「アイデア、感情、スタイルや出来事の類似、または繰り返し」であるという。それはもちろん60〜70年代にかけて、多くのミュージシャンたちが影響を与え合いながら、カリフォルニア・サウンドと呼ばれる音を作り上げたことを指している。しかし本作の美徳は、その時代、その場所で鳴っていた音楽の残響を聞き取り、現代にまた響かせようとすることだ。古き良き時代を懐かしむのでもなく、羨むのでもないその姿勢はカリフォルニアの風景のように開放的で実に爽やか。
リゾート地の利権で争う各組織の幹部たちは人情に厚い者、暴力的な者、欲深い者等々、わかりやすいキャラ付けをされている。しかしその裏には秘めた思いがあり、次第に分かち難く混じり合っていくところに本作の深みがあるはずだが、宙空に目をやりタバコを吹かすなんて定番な演出を多用し、その心情を曖昧に示したり、単に台詞で思いが表現されてしまうのが歯痒い。なにより諍いの中心にあるリゾートホテルの存在感の無さが本作の具体性の無さの大きな原因のように感じる。
壮絶で語りづらい固有の体験をどう映画化するかといった難問に、本作は単なる再現アニメーションではなく、インタビュー風景をもアニメーションで描くという回りくどい手法を用いる。他の誰でもなく「この人が語っている」ことの強度が支えのインタビューがアニメーションとなること、さらには実写からなる当時のニュース映像によって、アフガニスタンやモスクワの日常が巧みに織り込まれていく複雑な構成は、生々しさと抽象さが混じり合う不思議な語りを作り出している。
あらすじを先に読み、もう一つの「ドクター・ストレンジ」最新作と呼びうるのか⁉ と勝手に期待を膨らませてしまった。暗い森の中、墜落した輸送機の捜索に向かう米軍の一行。そこに加わる謎の特務兵。森での異変。妖しい魔女の存在。やがて兵士たちは、次々に狂気を帯び……。設定自体は興味深いのに、思わせぶりなまま登場もしないヒトラー含め、脚本も演出も終始ピンと来ず。恐怖かアクションか、あるいはミッキー・ロークの存在意義か。何か一つでも全うしてくれていたら。
才能と才能が響き合う60年代のローレル・キャニオン。フォークとロックが初めて融合された瞬間や、ザ・ビートルズやザ・バーズなど伝説のバンドが互いに触発し合ってヒットを生み出す過程が、新たな世代の奏でる彼らの名曲と共に再現されてゆく。ジャック・ドゥミの「モデル・ショップ」から着想を得たというジェイコブ・ディラン。彼の歌声や、静かに相手の声に耳を傾ける佇まいがいい。明るく突き抜けているのに刹那的な哀愁も帯びている、この時代だけの輝きが印象的。
ユン・ヨンビン。「工作」のユン・ジョンビンと一文字違いの、新たなる俊英誕生か。海辺の地方都市・江陵を舞台に、裏社会の男たちが仁義なき世代間抗争を繰り広げる。情と秩序を重んじる地元の頭キルソクVS血も涙も礼儀もない狂犬ミンソク。「友へ チング」以来変わらぬユ・オソンの熱のある無骨さと、「火山高」以降一作ごとに研ぎ澄まされてゆくチャン・ヒョクの抑えた凄味。映像や台詞、人物造形に監督独自のこだわりも見えつつ、最後はやっぱり王道の正面対決が見たかった!
鑑賞後、さざ波のように深い余韻が押し寄せる。三、四年で十数回行われたというインタビューを基に、本人の声で綴られる幾層にも積み重ねられた渾身のドキュメンタリー・アニメ。故郷アフガニスタンを追われ、ロシアを経て十代で単身デンマークへ。同性愛者でもあるアミンの想像を絶する半生は、過酷かつ凄惨な場面よりむしろ、淡い恋心や家族と恋人の湛える愛など、それでも差し込む光にこそ胸揺さぶられる。慎重に核心へにじり寄る監督の繊細な視線が、どこまでも真摯で、柔らかい。