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「殺人の追憶」を参考にしたという警察の描写は、韓国映画おきまりの無能な警察像に、いかにも外国人として韓国ロケで映画を撮る監督が考えそうな捻りを加えたものだろうが、「有害な男性性」を回避すればOKと言わんばかりの主人公の人物造型は安直。不必要に物語を水増しせず、伏線を生かしつつ短い時間のなかで事件解決と主人公二人の関係の進展を描いている点は悪くないが、あまりにもサクサクと捜査が進むせいで、最も肝心な遺体をめぐるサスペンスはほぼ機能していない。
結成から解散、ソロ活動を経て再結成へと至る35年超の軌跡を素直に追った構成に目新しさはないものの、MTV時代の申し子としてビジュアル重視で売り出されて成功したバンドが次第に音楽性を変化させながら長い年月をサヴァイブしていく様子は、ファン以外にとってもそれなりに興味深いものだろう。なかでも、コールドプレイやウィークエンドといった後進への影響が指摘された後で現在のバンドによって演奏される、〈テイク・オン・ミー〉のアンプラグドバージョンが思いのほか良い。
ハリウッド特殊効果の歴史を振り返る本作は、コマ撮りやアニマトロニクスなどの現在では衰退しつつあるかつての職人的技術への愛と敬意に満ちている一方で、自らの経験を還元し近年のCGIを取り込んだ制作体制に適応しようとする関係者たちの姿をも同時に描くことで、単純なデジタルとアナログの対立図式には陥っていない。なによりも、自らの用いた技術についてイキイキと語る職人たちの、怪物が大好きな少年の心を持ち続けていることが一見してわかる表情に魅了される小品。
設定上仕方ない側面もあるとはいえ、主人公たちが反戦ビラを配る青年を軽くあしらう場面には違和感を覚えた。しかし、ユーモアで愛する家族の死を乗り越えようとする物語を中核に据えることで、全体としては題材の特殊性をうまくカバーできている。また、ツボを押さえた演出によって合唱団のメンバーそれぞれから血の通った魅力を引き出している点も見逃せない。彼女たちが少しずつトラブルや軋轢を乗り越えていく様子を丁寧に捉えた、老若男女誰が観ても元気の出る一本だ。
事件の真相に近づくストーリーテリングとしての妙や、決定的なことが起こる際のサスペンス描写、そして巨悪組織による臓器売買と移植といった社会的かつ倫理的なテーマなどが、どれも中途半端な出来になってしまっているという印象。刑事役のユ・ヨンソクと法医学者役のオルガ・キュリレンコの国籍も性別も職業も違うコンビも多少の新鮮味はありつつ、新しいコンビ像を打ち立てるまではいかず、コンビの見せ場である銃撃と手術が同時進行するクライマックスの盛り上がらなさも残念。
有名になり自分らしさを見失い、関係が悪化していくという顚末は、ショービズ界に限ったことではなく、普遍的な事柄だろうし、語られる意義もあるだろう。映画はa-haの音楽的な評価よりも、メンバー同士の関係性にドラマを見出す。しかし、描き出されるのは例えばメンバーたちは一緒に写真を撮りたがらないといったようなエピソードで、具体的な凄みに欠けるのが、この映画の弱さのように思える。ただ、良き物語を拒むように最後までメンバー同士が静かに不仲なのが印象的。
ジョルジュ・メリエスやウィリス・オブライエンにまで遡り、コマ撮りや特殊メイク、アニマトロニクスからCG、そしてモーション・キャプチャーへと至る特殊撮影の“進歩”が語られる。しかしアナログな創造力とデジタル技術の組み合わせ方の大切さを説くこの映画は、現在はどうせCGなのだからと誰も驚かなくなってしまったと、進歩の逆説を憂いもする。また、デジタル技術の発展に伴い、特撮デザイナーの仕事や尊厳が喪失していったという働くことに関しての指摘も興味深い。
イギリス軍基地での日常生活から合唱団を結成する経緯、結束するための気づきを得る瞬間など、映画を支える様々な描写が過不足なくウェルメイドに語られ、素直にハートフルな気持ちにさせられる。「誰かを想うとき」というのが根幹をなすテーマだが、想う相手を安易にカットで繋がず、不在のものに対してのリアクションを中心に据える演出も手堅い。特にハイライトである戦没者追悼イベントでの合唱は、小細工なしに女性たちの声と表情だけで描き切るところにはとても共感した。
韓国映画の力を世界に、と国境を越え実現したグローバルプロジェクト。それはわかるが、スリルを重要視したというフランス人監督の狙いや作品の目指すところは最後まで見えず、映画自体が未解決。参考にしたというナ・ホンジンやポン・ジュノに通じる妙味も残念ながら感じ取れなかった(リドリー・スコットへのオマージュと思しき片鱗はいくつか!?)。原作未読ながら、やはり一番の問題は脚本の弱さか。主要なキャラたちの顔や人物像が終始曖昧な点が何より大きな瑕疵に思えた。
イントロとファルセットの効いたサビの声、繊細な線画が生き生きと動き出す、あのMV……。名曲〈テイク・オン・ミー〉の何もかもが、深夜ラジオを毎日聴いていた浪人時代を思い出させて懐かしいことこの上なし。当時、確かにアイドル売りされているようにも思えた彼らの名声の裏でひしめく才能や野心、共同作業と自我の境の葛藤などを結成から40年近い歳月を経て切り取るドキュメンタリー。普遍のテーマも汲みつつ、人間としての一面により深く踏み込んでほしかった感も。
フィル・ティペットやリック・ベイカーを筆頭に、錚々たる面々が振り返る特撮や特殊メイクの黄金期。時代を彩る映画たちの記憶と、画期的なクリーチャーの試行錯誤の末の誕生秘話は、スクリーンで初めて遭遇したときの驚きと興奮を蘇らせてくれて、ワクワクが止まらない。一方、「ジュラシック・パーク」が告げたCG時代の到来と、それにより行き場を失う特撮マンの悲哀もストレートに語られ、胸つまる思いが。特に「遊星からの物体X」のロブ・ボッティンが業界を去った話には、涙。
原題を直訳すると、「軍人の妻たち」。「フル・モンティ」のピーター・カッタネオ監督が、今度は実話を基に苦境の中でも逞しく歌い、生きる女たちを活写。いわゆる「銃後の」人々の物語だが、「ひなげしではなくヒマワリに」の台詞のとおり、ただ待つばかりでない存在として一人一人の個性を絶妙に際立たせた脚本が見事。息子を亡くした痛みを隠し、通販番組の沼にハマりながら生きる大佐の妻を筆頭に、秘めた思いを抱える者たちが心の澱を歌にして吐き出す過程。その丹念な描写に唸った。