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サメと一緒に泳ぐ女の人に驚いた。サメは所構わず人間を襲ったりしないんだ。初めて知った。「ジョーズ」(75)とか見て育った世代には、衝撃の事実でした。あとサーフィンでこんなに人が死んでいるっていうのも驚きでした。確かにあんなデカい波から落ちたら危ないよな。知らないことをたくさん知れてよかったのだが、9人も描くと浅いというか、人物を紹介してるだけの印象があって、残念だった。でも出てくる女の人がみんな、力強くて明るくて、見ていて気持ち良かった。
ナイーブで頑固な人なんだろうと思う。ドキュメンタリーに出演することはオッケーなのに、顔を映すなっていうのは相当ひねくれている。本人がめっちゃ喋ってるし、服を作っている手とかは写っているので、顔が見えないことへのストレスはあんまりない。ファッションショーの描写がたくさんあって、モデルたちやスタッフの誰もが、彼のことを好ましく思ってるのが、よくわかる。本人ではなく、その周りを描くことによって、より本人を描けてるって、面白いと思った。
主人公の体がめっちゃ痩せてるけど、あれはどうやったんだろう。こちらの気づかないところでいろんな工夫がされている映画と思う。主人公がどこにでもいるセールスマンっていう設定がいい。家族を愛してる普通のおっさんが政治に翻弄される。相手のロシア人もまた家族の前では普通のおっさんだ。おっさん二人の奇妙な形の友情が、少しずつ育まれていく様が微笑ましい。それに比べて周りの政治家たちが、みんな一様に薄っぺらなのは何だろう。話がでかすぎて、嘘っぽかった。
菌類学者のおっさんが、胡散臭い。舞台にお母さんを呼んで、ガンが治ったのはキノコのお陰と言って抱き合う。このシーンを見て、この人大丈夫か? と思った。彼は自画自賛しながら、きのこの素晴らしさをまくしたてる。喋りが上手いので引き込まれてしまう。胡散臭いけど、それが微笑ましく思えてしまうのは何なのだろう。彼のキノコへの情熱に嘘がないからだろう。本気のアホは面白い。あと、出てくるきのこの美しいこと。見終わってマジックマッシュルームが食べたくなった。
この映画に登場する海を愛する9人の女性たちは、サーファー、サメの保護活動家、ダンサー、海洋生物学者など役割は違うものの、意識を高く持ち、挑み続ける。サメとの共存や海中ダンス、ビッグウェーブなど、美しくも驚きのあるシーンも多い。サーフィンで世界チャンピオンにもなったケアラ・ケネリーの言葉は女性として生きることとは何かを問いかけ、フェミニズム映画としての見応えも十分。まさにこの時代に見られるべき作品。強いて言えば登場人物が多すぎるという印象だった。
知的かつエレガントな思想をのせ、マルジェラ自身の声が映画全体を誘引する。プロが読むナレーションでもインタビューでもなく、この語りは同時に見えないままに「匿名でいることで自分を保つ」マルジェラその人を映し出すことに成功している。前作のドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリーも素晴らしかったが、ホルツェマー監督は距離を保ちながらも被写体の中に確実に入り込んでいることが伺える。ファッション史における貴重な記録でありながらそれ以上に未来が映っていた。
英国人のセールスマン、グレヴィル・ウィンを演じたベネディクト・カンバーバッチのすごくない凄みを見せつけられる。60年代米ソの緊張感が高まる中、スパイ経験のないウィンは突然、軍事機密の運び屋として世界を背負わされる。洗練されたプロではないから得られた人間関係のなかで、特にメラーブ・ニニッゼ演じるペンコフスキーとの友情に胸が熱くなる。妻との関係性にも信頼関係が試され、スパイと家庭の物語がリンクする瞬間が面白い。特にラスト15分の臨場感に圧倒された。
魅惑的なきのこの世界が、きのこ目線で、きのこに魅了された人々の言葉で語られる。きのこの生き様や思想がぎゅっと詰まった驚きに満ち溢れた本作。ヒーリング音楽とともに流れるスピリチュアルな雰囲気に引き込まれ、語弊があるかもしれないが、きのこ教勧誘映像のようでもある。マジックマッシュルームは幻覚作用があるとして日本では禁止されているが、鬱にも効くとされる成分シロシビンの医学的なアプローチも興味深い。自分と向き合うことは何か、きのこ哲学は語りかけてくる。
たまにタガが外れたように音楽ガンガンのモンタージュ・シークエンスが始まるが、だからなんだというのだ。いや、全篇通してそうだとして、何が悪いのだ。スポーツ・バー(行ったことないけど)のモニターでも見ているようだが、海に魅せられ、海を愛し、海と交流を持つ女たちは誰もが素晴らしく強くて誠実で、そういう通俗すべてを吹き飛ばすのだ。サーフィンも飛び込みも、サメもダイビングも海洋生物学も自分からはあまりに遠いのが悔やまれる。彼女たちに心からの敬意を。
背景音楽が鳴り止まないのが気になるし、なんでも足せばいいと思っているふうで、どうも好きになれない。情けないBGMの流れるなか、マルジェラが「父が美容師で…」と語り始めるくだり。美容院の様子を映したモノクロのフッテージが挿入されると、プロジェクターの動作音を真似たカタカタ音がさらに重ねられる。一事が万事この調子である。ラストの眼鏡も失笑もの。むろん被写体に非はない。声も手もよかった。作業を担い、他人と関係を持つ、媒介となる手。あとは幼年期のこと。
「なんでそんなにモスクワに行くの? 誰か他に女の人が?」スパイ活動をしていると、妻に浮気を疑われる。「違うんだ、でも僕がスパイなのは秘密なんだ」心の中で叫ぶウィン。夫婦の間に亀裂が走り、世界を救う大作戦はやはり家族を犠牲にしてしまう。表向けはそう見せつつ、これは結局ほんとに浮気でしたっていう、そういう話。牢獄でのやっと会えたね。妻とも握らぬ手を握る二人。ついに解放されて帰国したウィンは、ソ連側の諜報員ペンコフスキーの笑顔を思い出すわけで。
やたらと豪華な教育番組かと思いきや、途中から幻覚剤と精神医療の話になって、怪しい勧誘ビデオの趣きとなる。きのこってこういうことか。少し身構えてしまう人もいるはずだが、監督がタイムラプス撮影を得意とする専門家だけあって、科学映画に特有の視覚的な快楽には満ちている。超低速撮影や電子顕微鏡を駆使し、実写とアニメーションの区別のつかないハイパーリアリズムの世界に誘われる。当然、幻覚も映像化されるが、それはあたかもホイットニー兄弟への目配せか。ご愛敬。