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徹頭徹尾どうでもいい話が、特に前半は校内や図書館の代わり映えのしない室内のシチュエーションで、成り行きまかせのように進行していく学園ものなのだが、不思議な中毒性がある。原作は小説投稿サイトで連載された4つの短篇WEB小説とのことだが、結果的にヌーヴェルヴァーグ期の連作短篇映画のような趣も。主人公の女子高生の男言葉に象徴される物語のナラティブから、ポスターのビジュアルデザインまで、明確に既存のティーンムービーのオルタナティブであろうとしている。
作中の「最近の若者像」が古くさく感じられるのは、原作が書かれた時期の反映だろうか? だとしたら、もっと大胆な脚色を施す必要があったように思う。また、幼少期に受けた理不尽な暴力、ネグレクト、DVなど、本作が扱っている問題は日本の社会でもさらにアクチュアリティを増しているものばかりだが、それらの多くはエピソードとして台詞で回収されるのみで、主軸はあくまでも現在を生きる主人公の成長物語であるという構造に、今作られる映画としての必然性を感じられなかった。
主人公に作品外のイメージが流れ込んでいることを是とするかどうかが、スター映画の評価の分かれ目になるわけだが、木村拓哉ファンの自分でも本作にはまったくノレなかった。初参入キャストには木村が近年ドラマで共演してきた役者が目立ち、前作に続いての数々のテレビタレントのカメオ的起用にもシラけるばかり。リスク回避最優先なサラリーマン的思考が隅々にまで侵食していて、昭和的な滅私奉公を体現し続けるだけの本シリーズのヒロインのように、作品全体が鈍重で退屈だ。
公共の場で不愉快な騒音を垂れ流しても平然と生きていられるストリートミュージシャンがクズ野郎なのはわかるとして、主人公の設定が牧師である理由が最後までわからなかった。鈍感なお人好しと、キリスト教の慈愛の精神は異なる。また、新しい才能を発掘するのが目的のコンペティション(過去の受賞作には野心作もあった)で、大手映画会社がこれまで散々粗製濫造してきた難病ものをわざわざ選ぶ必要があったのだろうか? 若手俳優たちの好演に★一つオマケして。
タイトルを見てR指定系の作品を想像したら、何のことはない、女子上位の青春ミステリーで、可愛げもある。雨の日に傘を貸してくれた下級生男子が気になった高三女子が、その男子につきまとう過程で、次々と謎めいた事件に出会い、二人でその謎を解くという話。場面ごとに別の映像を入れたり、黒画面を使ったりの映像演出はいささか鼻につくが、若い俳優たちの媚びない演技は好ましい。保健室の先生の存在が小気味よく、シンプルな小品だが、神谷監督、楽しみました。
いまさら言うのも何だが、近年、凄く気になるのは、いじめや家庭内暴力、自殺、レイプなどを描いた作品が目立って多いこと。むろん扱い方は作品ごとに異なるし、現実社会の反映だと言われれば納得したりするのだが。一見、他愛ない大学生たちの群像劇ふうにスタートする本作も、主人公の周辺でそういった悲劇がいくつも起こる。けれども主人公の素直な感受性が映画を引っ張り、そのリアクションも説得力がある。作品のタイトルにもなっている台詞が、ズシンと胸にくる。
大晦日のホテルの仮面舞踏会――。まるで正月映画の繰り上げ公開かと勘繰りたくなるような、華やかで浮き足だっている別世界にいきなり引きずり込まれ、その誘導力、まずは上々だ。で前作同様、ゲスト役の俳優陣の賑やかし的エピソードと、立場の違う主役コンビの些細な衝突、及びホテルに張り込んだ警察の動きが三つ巴的に描かれていくが、ド派手な仮面舞踏会を経て判明する事件の真相よりも、作品自体の別世界ぶりの方が印象的で、結構楽しめる。主役コンビのサービス演技も。
日本映画には牧師が滅多に登場しないからだろうが、ムロツヨシの牧師姿、彼なりに役を演じているのはわかるが、どうも長めのコントでも観ているよう。シングルファーザーでもある牧師は、ガソリンスタンドでバイトをしていて、こちらは自然。そんな主人公の娘が白血病になったことから、ある事実を知るのだが、別に主人公を牧師にしなくても成立する親子愛の話だけに、違和感が残る。やたらにムロツヨシのアップが多いのも気になり、彼が口にする神様の教えも、空念仏に聞こえたり。
邦画秋のミステリ祭り。新本格ミステリの姪っ子甥っ子のような学園探偵もの。謎が人物らの日常に合って無理なく楽しい。いや無理無理だらけの大風呂敷の過激さも楽しいし、映画はそういうことをやるべきだとも思うが、本作主人公らの佇まいや律儀な口調には魅了された。山形の風土も良い。ただし五月蝿いことを言うようだが最終話だけはいただけない。相手の失敗を望むこと、男女逆ならどうか、などが。地方映画の設定の真の難しさは自己実現と上京に関する部分だと気づく。
フォーエバー・ヤングという語で鮮やかに「ラスト・ワルツ」のディランを思い出す。本来そのフレーズのどこにもないはずの死のイメージがやってくる。学生の頃、自分も含めて若い者ほど死にやすい感じは強く漂っていた。そういうのをよく表した原作、本作。魂の殺された部分と死者の側から永遠の若さを宣言する。純金のごとき哀切による負け惜しみに撃たれた。終盤、主人公のベランダぶら下がりと就職後の業務は活劇に接続する。遍在する謎と秘密に抗して。秋ミステリ番外篇。
秋のミステリ祭り。もはや近年は木村拓哉氏のあの物腰を相米慎二が若い頃から誰に対しても敬語を使わなかったとか左翼やアナーキストには意識的に敬語や慇懃さを拒否する人がいることと同列に捉えたい気もするが、あの強気と無縁に生きる私は木村氏の物腰が苦手。あれが最も合わないのがサービス業。ヤンキーがキレる瞬間を予感させつつ給仕する牛丼屋の不穏もマスカレード。警察は性悪説、ホテル側は性善説で世界認識対決。それらが本作の根本。真犯人役俳優の力量に唸る。
ムロツヨシ氏の顔の美しさ。流行イケメンとは違う高橋貞二やリシ・カプール的な若干ふっくらの旧世代美男の系列。演じるキャラの柔和さ優しさを保証。その泣き顔だけでも勝負できるのに加え、時制を感情に準じて混交させる仕掛けがある。ムロと共に泣け。毎熊克哉の最低男ぶり最高。宗教者と生さぬ仲の子、で「極楽坊主 女悦説法」(72年/監督林功)を連想。軽い艶笑喜劇だが主役平凡太郎が拾った子を、わしゃ生臭坊主これは隠し子、と周囲に語って育てたのに結構感動した記憶が。