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風が吹きすさび、シンプルな音楽が流れて、冒頭から期待は高まるのだが、マカロニ・ウェスタンに比べ、デンマーク製の画調は暗い。「ドグマ95」出身で、自然光を使う監督のせいか。主演のマッツ・ミケルセンはシブいが、イーストウッドなら、妻に手を出す奴は瞬間、射殺されている。いきなり子どもが殺されるという物語も異常だが、ヒロインのエヴァ・グリーンは野性的な色気を発散しながらも、先住民に舌を切断されたという、おそろしい設定。だが、娯楽西部劇の幅は確実に広がった。
人間は記憶で成り立つ動物である。職業柄、イメージの記憶には自信がある私も大学の講義の時には固有名詞や年号をしっかりとノートに書いていく。思い出せなくて立ちつくすのが怖いからだ。ジュリアン・ムーアがリアルに演じる大学の言語学教師は遺伝による、若年性アルツハイマーで、治療が不可能だと診断される。学生たちの評価もきびしく、まるで恐怖映画のタッチ。救いは、彼女を取り巻く人たちが小津映画の登場人物のように優しいことで、心なごむホームドラマになっている。
夜のハイウェイを時間に追われて車を走らせるトム・ハーディと電話の声の出演者だけで作った実験的な映画だが、期待したサスペンス感は薄い。円満な家庭を営んでいた建築現場監督のハーディが、愛もなく、旅先で一度だけ浮気した女が妊娠し、その出産に立ち会うために、翌日の大事な仕事も放棄して、ハンドルを握っているという設定が弱い。出産時間に間に合うことなどより、ハーディには人間としてやるべきことがあるのではないか。いやな話の連続パンチで、陰鬱な86分だった。
アカデミー男優賞をもつニコラス・ケイジくらいになると、いろいろな脚本が提示されるはずだけれど、D・リンチと組んだ「ワイルド・アット・ハート」の昔から、なぜか「常識はずれ」な作品ばかり選んで、出演しているように見え、ときには肩すかしをくう。この映画でも、宗教にのめりこむ妻から逃げるかのように、仕事に打ちこむ民間航空パイロットを熱演しているのだが、ストーリーは同時多発的に世界中から人間が消えていくという荒唐無稽なもの。ただ、登場人物は多彩で面白い。