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小さな警察署の取り調べ室で、容疑者と取り調べ官二人とのやりとりが続く。話にひきこまれて思わず記録の手を止める担当官など、三人を逆光で撮ったり寄ったり引いたり、二台のカメラの位置を工夫、窓の外の雨の風景を時にインサートしながら90分を一気に見せてしまう。回想場面など一切ないのがいい。取り調べが終ると雨もあがっていて、光線が変る。警察をちょっと理想化しているかも。佐藤B作の容疑者は、山田洋次の寅さんの印刷所のまじめな社長みたいだ。二日で撮ったとはね。
この種の映画は好きな人はきっとおいでだと思いますが、私は見ていてつらい。すべてが潜水艦のなかのような閉鎖空間で起きている印象で息苦しい。賑やかな女性たちも男性たちも、要するに互いにいじめあっている世界のように見えてしまう。派手な衣裳も逆に豊かさからほど遠く哀しい。正反対なのがアメリカの子ども向けの単純TVアニメ『パワーパフガールズ』なのでは。目の大きな女の子たちが青空を元気に飛び、自己主張しながら戦うばかばかしくも向日性の作品を私は買う。
私が高く評価する「扉をたたく人」のT・マッカーシー監督が、こうしたユーモラスで新感覚のニューヨーク映画を撮るとは嬉しい驚きだ。変身テーマの映画(これまでどんな作品があったっけ?)の歴史にまったく新しいアイデアを持ち込んだのではないか。しかし彼は日本人に変身できるかしら。日本人の足は横はばが大きいから靴が合うかなと、余計なことを考えた。監督のニューヨークの街への愛着を感じさせるユダヤ人コミュニティの人情劇でもある。変身後も本人とわかるしるしあり。
この映画には一九六六年に65歳で亡くなったW・ディズニーの夢が反映されているという。確かに50年代以降のSF映画のロボットたちのモデルがちらっと見えて楽しい。だが「未来は怖いかもしれない」とG・クルーニーが冒頭で語る世界は、ディズニーの想像を超えたであろうAI(人工知能)の進化を描いている点で、新作「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」につながる気がする。未来案内役の謎の少女を演じるR・キャシディの魅力は圧倒的で、彼女が映画を作っている。
妻と息子の殺害容疑で連行された初老の男と、その取り調べをするベテラン刑事の緊迫したやりとりの中から浮かび上がる、ひとつの家庭のやりきれない事情。佐藤B作、脚本も手掛けた中西良太、そして部下役の斉藤陽一郎、3人だけによる芝居、取り調べ室のみの場面ながら、90分を見せ切る。役者の芝居ありきなのは舞台劇さながらだが、屋外の雨を生かすなど、映像的な工夫が巧みに散りばめられている。回想シーンの全カットは効いていた。地味だが、人の体温がじわじわと伝わる作品だ。
『けいおん!』など、アニメ脚本を長年務めてきた吉田玲子が実写映画に込めたオリジナルストーリーの壮大かつ魅惑的なこと。ファンタジーの括りの中で、乙女の不可思議な内面と存在理由を深く深く掘り下げていく。アニメ界に加え、坂本浩一=特撮アクション界、でんぱ組.inc=個性派アイドルがタッグを組むと、こんなミラクルなものが出来上がるのかと驚き。全体的なヴィジュアルの野暮さには抵抗あるが(主演の最上もがはスタイリッシュ)、いや、その野暮さすらもいつしか愛おしい。
ニューヨークで靴の修理店を営む男。先祖伝来の旧式ミシンで仕上げた靴を履くや、その靴の持ち主に変身してしまうことを発見。いたずら心で刺激的な日々を満喫するうち、事件に巻き込まれてしまう。奇抜なアイデアで始まるわりには、物語は意外と広がらず、中盤たるむのが残念。でも、靴というアイテムから、ニューヨークの生活感や空気感、ローカルなぬくもりを体感させてくれる魅力がここにはある。時代の流れを刻む街の映画なのだなぁ。ダスティン・ホフマンがおいしいとこ取り。
この本気な感じはいいの?と少々面喰ってしまう非常に謎めいた映画。本作の中で何度か使われる〝スペシャル〟という言葉になぜかむずむずと引っかかるものがあるのだが、またその他のあらゆる違和感も、ブラッド・バードの圧倒的な描写力の洪水に呑まれるうちに、究極のミステリー・エンタテインメントのピースとして納得させられてしまう。この天才は何か仕掛けてるよね、絶対。なんて妄想させてくれる辺りも含めて楽しめた。クルーニーの年齢不詳度高いキャラも相当不思議であった。
たいへん奇妙な映画であるというか、話も演技も撮影もほとんど二時間ドラマのようで、退屈を通過してかえって興味をもったのだが、映画としての野心を感じさせるのは、ほぼ全篇を取り調べ室のみで描き切り、事件を再現する回想場面を禁じている一点だろうか。いや、それはむしろ演劇の方法だ。憔悴する佐藤B作の「えっ?」というリアクションを二度切り返す中盤に唯一動揺させられたが、人物像も事件背景も平板にすぎて、善悪の彼岸を描くどころかその二元論を強化してさえいないか。
東映×テレ朝版「エンジェル ウォーズ」第二弾! などと書いたら双方のファンから叱られるかもしれないけど、ラノベ的世界をアメコミや特撮というそれぞれの素地に接ぎ木している点では十分比較できる。かつ本シリーズでは、少女たちの闘いがアイドルとしてのサバイブに重ねられており、なかばドキュメンタリー化するアイドルコンテンツの現在を照らしていて興味ぶかい。坂本浩一監督のアクション演出も定評どおり(高良光莉のハイキック!)。いまのアイドルはほんとよくやるなあ。
チャーリー・カウフマンを柔軟剤でやさしくていねいに洗いあげたような映画。アレルギー以外のひとはほっこり安心して見られる。「マルコヴィッチの穴」みたいなアイデアがちゃんと活かされているし、何より主人公が変身した体の俳優がちゃんとアダム・サンドラーを醸し出しているのがみごとで楽しい。エピソードが細ぎれの数珠つなぎで、だんだんとっちらかって最後はよくわからない感じになるけど、ダスティン・ホフマンがあいかわらず渋いのでよしとしよう。ブシェミもいるよ!
ディズニーランドが実は「明日の世界」をかくすための巨大な装置だったという設定がおもしろい。ドキュフィル(造語です)としては、ウォルトの未完のプロジェクトを追う「コリン・マッケンジー」みたいな偽証言ドキュメンタリーとして見たかったが、ブラッド・バードは「MI:Ⅲ」で見せてくれた垂直のアクションがここでもうまい。近年のディズニー映画はあきらかに急変容しており、「アナ雪」も「イントゥ・ザ・ウッズ」も、そしてこの映画も、その見かけ以上に政治的である。