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ペットの犬が人間の声でセリフを喋るのがどうにも頂けない。そこでためしに頭の中でその声を消しながら見てみた。私はどんな映画を見たと思う? もの言わぬわが犬が、もしかしたらあの犬の、そしてあの犬の生まれ変わりではないか、と最後に人間が(観客と共に)発見する、それはそれは感動的な映画であった。ヒロインのCJが小学生から高校生へ一瞬で成長しているギターを結び目にした演出が素晴らしい。犬が喋らなければ、彼女の弾き語りをもっと聞けたのに。
自転車に乗れない、という秘密を抱えて生きた男の、本人的には重い十字架を背負った、ハタから見たら滑稽でしかない人生を、絵本のようなタッチで描き、よく出来た脚本を読了した感じがする。と思わせてしまうのがこの映画の残念なところで、つまり映画化(身体化)される前に頭の中で完成されすぎてしまっている。タチの「のんき大将」やトリュフォーの「あこがれ」に横溢していた、自転車に乗れる、という気持ち良さ、風を切った記憶がもっともっと欲しい。
人形、鏡、鍵盤、ブラウン管といったホラー・マニア垂涎の小道具がひしめく「死霊博物館」を地下に備えた一軒家で、親が留守の一夜、人物は大人未満の男女4人のみ、という構成は古典的な美しさをたたえ、まさにホラーの教科書というべき一篇だ。ただし、因縁話や精神分析といった怖さの理由の説きおこしを一切取っ払って、怖がらせる仕掛けだけがタガの外れた機械のように暴走している面はあって、それを退廃と見るか、テーマパークみたいに楽しんでしまうかは、あなた次第。
男の子を夢中にする映画で、2時間だけ男の子に戻れるならめっぽう面白い。戻れない人はヘヴィメタを子守り歌に気持ちよく眠れ。「美女と野獣」を逆転して、女にもてない醜い怪物のヘルボーイに、あろうことか美しい魔女のミラ・ジョヴォヴィッチが惚れて男根の象徴に発情してしまうが、ヘルボーイはさっさと無視して父親の元へ走っていくという、アメリカ映画に底流するミソジニー(女性嫌悪)の興味深いサンプルとして見れる。一人だけ健全な女子のサッシャ・レインがいい。
4匹の犬それぞれにかわいいが、最初に登場するベイリー(おでこの白いハート模様がかわいい!)の芸達者ぶりには舌を巻いた。イーサンに合わせて伸びをするなど、ナチュラルな魅力で、犬が喋るというファンタジックな作品世界に観客を誘う。しかしながら「人を愛するのが(犬生の)究極の目的」とし、飼い主との約束を守るべく、輪廻転生を繰り返す健気な犬たちに比べて、人間の身勝手さには哀しくなってしまう。安楽死や交通事故など、人間の都合で、犬たちが死を迎える展開は酷い。
本作の主人公ラウル・タビュランの深刻な秘密は、ラウル以外の人にはサンペが描くパステル調の淡さにしか見えない。作家・荻野アンナ氏は、サンペの魅力を「読んだ後は心がしんと静まって、ものの翳が深く見えます」と評したが、苦悩とはひとりで引き受けるものであるというほろ苦いリアルを、南仏ヴァントロルの桃源郷のような大自然を背景に、甘やかに描いた本作は、サンペの真髄を見事に捉えている。脚本は「アメリ」や(01)「天才スピヴェット」(13)などのギヨーム・ローラン。
「アナベル」「IT/イット」の人気ホラーシリーズの脚本を手がけてきたゲイリー・ドーベルマンがメガホンをとったシリーズ第3弾。音やスモークで恐怖を煽る古典的な演出は、呪われた人形・アナベルの物語にふさわしいが、カメラワークにもう少し工夫があれば、おどろおどろしさが増しただろうにと思う。アナベルに恐怖の世界へ引きずり込まれるウォーレン夫妻の娘ジュディをはじめ、メアリー、ダニエラはみな、ホラーの似合う美少女だが、善良なボブ少年も、意外とホラーキャラで面白い。
地獄生まれ地球育ちの悪魔ヘルボーイのさわやかさとは何か? とふしぎに思いながら観ていると、ジャガーに変身する(!)ベン・ダイミョウ少佐の闘い方に、相手の目をしっかり見て闘う彼らには、姑息さがないのだと思い至った。それはヘルボーイ率いる超常現象調査防衛局だけでなく、対する最強の魔女ニムエ率いるモンスター軍然り。バーバ・ヤーガは少し怖いが、愉快犯に比べれば、さすがアメコミ! 子供のトラウマも心配ご無用。ミラ・ジョヴォヴィッチの魔女並みの美貌も堪能。
同じ主人に尽くすため、生まれ変わって何度も「犬生」をやり直す健気な犬の冒険。前作を観ておらず、いわゆる動物映画にもほとんど興味がないのだが、最後まで楽しく観られたのは、とにかく語り部を“演じる”犬たちが魅力的だからだろう。彼ら(?)の脚本に沿った動きと自由な行動に合わせて作ったであろうシーンを無理なく混在させた演出、構成が秀逸だった。人間たちのドラマはかなりベタだったが、犬目線で語られると気持ち良くハマる、という発見もあった。
村の名物自転車修理屋は、実は自転車が乗れなかった、というマジで「小さな秘密」をどうやって物語として展開していくのかと思ったが、これがなかなか愉快だった。ちょっとしたコンプレックスが自意識によって己の中で肥大していく様は他者から見たら滑稽だ。その滑稽な葛藤をめぐるドタバタ悲喜劇を、三段階の回想を交えて丁寧に紡いでいる。原作の絵本が持つ温かみと実写で描くことで浮き彫りになる人生の非情さのバランスが絶妙で、自分の苦い記憶を思い出したりもした。
ひたすら怖かった。満席の試写室で観たのだが、中盤からずっと右隣の若い女性が「ひゃっ」左隣の初老の紳士が「おぅ」と声を漏らす。そういう私も声が出ないように口を開けっぱなしにしていて、その場内の一体感たるやハンパなかった。展開はありきたりなのだが、音の緩急、余白を絶妙に残すカット割りの巧さで「体感させる」ことに成功している。やや間の抜けたラストシークエンスの最終カット、その「真実」(シリーズのファンにはおなじみなのかもしれないが)にとどめを刺された。
デル・トロ&パールマン版が2作とも傑作だったのでそのイメージを覆すのは至難の業だ。アーサー王とエクスカリバー、バラバラにされた魔女の身体を集めて復活させる、など古典的展開は既視感があり、原作のエピソードを色々詰め込みすぎて尺を調整するためか会話説明と細かい回想が多く、どうしても物語への集中力が続かない。とはいえ、クリーチャーの造形は精良で、グロテスク度は抜群。立体的なアクションシーンは世界観を反映しているし、ヴィジュアル的にはかなり満足。