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題名はキリスト教PR映画みたいだが中身は全然そうではなく、また、メインの話はこれ一本で完結するのでそのへんはご心配なく。死んだ消防士が地獄めぐりをするテーマパーク的スペクタクルだけの映画ではと冒頭不安になるかもだけど、彼の弟にまつわるミステリーがほどなく導入され、俄然盛り上がる。スタイリッシュな冥界の使者ハ・ジョンウが、下界で謎解きにアクションにと大活躍。しかも終盤、号泣必至のクライマックスが予想と違うかたちで実現し、もはや涙で画面が見えない。
さまざまな怪獣が登場するせいもあり、演出にヴァリエーションがあって五年前の前作(G・エドワーズ版「ゴジラ」)より華やか。南極や海底遺跡での光のスペクタクル、フェンウェイ・パークに迫る嵐など、イマジネーションを激しく喚起する。怪獣たちの撮り方に、人知の及ばぬものに対する畏敬の念が必ず表われているのも特徴的。しかしジュラシック・パークのシリーズもそうだったが、またしても「猿の惑星」的なものを予感させる展開になるのは、いかなる集合的想像力によるものか。
登場人物の掘り下げがなく、ありきたりのメロドラマの型をなぞる何の味もしないストーリーが進んでいくだけで、映像の華麗さはひたすら空虚さを呼びこんでしまい、これでは誰も後篇を観たくならないのではと心配になる。とはいえ、路上で雪空を見上げるチャン・ツィイーからパーティー会場へとつながる、魔法のような移動ショットは必見レベル。抗日戦争も国共内戦も「敵の顔が見える」描写になっていることと、戦争と階級の問題がからんでいることは、独自の目線が感じられて面白い。
日本公開題名は「バトル・ロワイアル」のもじりだろうか。その名のとおり、父親による息子の敵討ちが、やがて二つの犯罪組織総がかりでの盛大な殺し合いへと発展する(ちょっと黒澤の「用心棒」みたいな事態でもある)。でもアゲアゲのアクションではなく、少しずつずれている感じのオフビートな可笑しさ。利発な男の子を中心に、お前ごときがこの子を息子に持つのはもったいないと言いたくなるそのダメ父と、息子を失った父親二人とが集結する終盤の図式も、女たちの賢明さも面白い。
幼年期にお寺で地獄絵を見て怯えた記憶があり、つい第一章と第二章を一気に見てしまった。プロ野球初のゴリラ選手の物語を描いたキム・ヨンファ監督だけに怖いというよりはスペクタクルで奇想にあふれる地獄だった。消防士のチャ・テヒョンは自分の生命を投げ捨てて少女を救助した善行により七つの地獄の裁判を無事通過すれば現世に生まれ変われるという構成。亡者を支える冥界の使者であるハ・ジョンウ、チュ・ジフン、キム・ヒャンギと閻魔大王役イ・ジョンジェが人間的で笑えた。
「シン・ゴジラ」は原点に帰った単純明快さで好評だったが、このハリウッド大作はまた複雑化している。人類は私利私欲の結果、環境汚染も進み、さらには巨大怪獣が暴れまくり、世界各地の都市は破壊されている。それを救うのはいま眠っているゴジラを目覚めさせてモスラやラドン、キングギドラと戦わせるしかないという途方もない話。その使命を担う芹沢博士が渡辺謙で、伊福部音楽にのってゴジラが登場するのはいいのだけれど、おなじみの巨大怪獣たちがやられていくのは哀しい。
中国国共内戦を描く物語は毛沢東側から見るものが多かったので、敗者の視点から見るこの作品には期待。ジョン・ウーの演出だけあって、戦争スペクタクルの表現は充分だが、三組の男女のメロドラマの方は映像の美しさに頼りすぎて、内容的にはもの足りない。まずメインのホアン・シャオミンが演じる国民党の将校と銀行の礼嬢ソン・ヘギョとの上海の舞踏会でのめぐり合いはいいとして、彼女が台湾へ逃げていく過程は上流階級の物欲や要領のよさがきれい事すぎる。岩代太郎の音楽が効果的だ。
ノルウェーの監督モランドがアメリカで自作品をリメイクするという試み。全篇、寒々とした雪景色の中でリーアム・ニーソンが運転する除雪車が迫力満点。息子を麻薬ギャングに殺されたニーソンの復讐物語だが、最終のターゲットになるトム・ベイトマンがこれ以上いやなキャラクターはないという人物を演じて話をもたせる。いつも陽気な先住民族のギャング団もトム・ジャクソン以下、作品に味をそえる。婦人警官役エミー・ロッサムなど描きたりないが、スタイリッシュな娯楽作品だ。
視点がグルグルと動き回る開幕早々の火災救助場面にア然としていると舞台は冥界へ。裁判のルールやら各地獄の特徴、専門用語の数々が一気呵成に語られるのには面食らうが、冥界の使者に連れ回されて戸惑う消防士と気持ちをリンクさせれば良いと気づけばスゥッと入り込める。地獄巡りのみならず、苦労の多かったオモニをめぐる泣かせのドラマに軍での事故死隠蔽をめぐる“恨”のドラマもじっくりと描かれてゲップが出そうになるが、カオスな雰囲気に飲まれて一気に観てしまう。
さすがに異星人ではないが怪獣を操って世界を滅ぼそうとする悪人の存在、重要キャラの少女を“怪獣たちの気持ちがわかります!”みたいな子供にしないなど、大人向きにしつつも怪獣映画の定石をしかと踏んだ姿勢が良い。前作では眉間に皺を寄せているだけだった芹沢博士にも大活躍の場を用意し、しかもオリジナル第一作への泣かせるオマージュとなっている点は本気で震えた。モナークの面々が乗るのが事故の多いオスプレイで、怪獣同士の対決よりも墜落が気になったのが残念。
悪く言えば何から何まで大仰、よく言えばとめどなくクラシカル。そしてメロメロを極めたメロドラマなのだが、それがジョン・ウーならではの語り口にビシッとハマっている。彼の作品に夢中になった身としては「マンハント」でも感じたことだが、スロー&ストップモーション、子供の合唱、ヒネった形で登場する鳩といったウーのイズムが健在なのが嬉しい限り。ただし、前篇は戦闘シーンをクライマックスに持ってきているが物語に盛り上がりはなく、キャラ群と相関の紹介に終わっている。
オリジナル版「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」と同じ監督が手掛けているわけだがハリウッド的味付けを一切することなく、復讐の連鎖や拡散、先住民と先住民面をする移民の対立といったテーマをこちらでもガツンと打ち出している。ただし主人公がリーアム・ニーソンであるため、はなから無双なオヤジにしか見えないという欠点が生じてしまっている。オリジナル版はステラン・スカルスガルドゆえに実直なオヤジが復讐鬼になる凄みと笑いがあったのだが……そこが少し残念。