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「ある少年の告白」でN・キッドマンの息子を演じたL・ヘッジズ(本作の脚本、監督を務めたP・ヘッジズの息子)がJ・ロバーツの強い希望から息子ベン役に。薬物依存に苦しむも、諦めない母に感化されて、生きることを受け容れる息子を好演。パワフルな母子の物語だが、継父との関係性等、物語の途中で明らかになった一家の問題は深刻で、タイトル通りのラストを迎えた時、この家族のその後を想像すると、希望よりも絶望が上回った。愛犬ポンスの扱い(特にラスト)にも若干不満あり。
台北にあるデザイン事務所(デザインを意味する中国語「設計」には、罠を仕掛ける意味もあるのだとか!)を舞台に、男女7人が繰り広げる愛の物語。冒頭のタクシー運転手の話がエンドロールと呼応する等、7つのエピソードが絡み合う妙味。想像力と腕を要しそうでいて、実は見かけ倒しの高級日仏創作料理よりも、断然そそられる素朴な台湾料理をはじめふんだんに挿入される食事シーンや、街が開発されていくCG描写もユニークだ。チェン・ホンイー監督の大胆不敵かつ創意工夫作。
「ハイスクール・ミュージカル」のゾンビ版といった感。ロディー・ハートとトミー・ライリーのパワフルな音楽が愉しい。目にも楽しいヒロイン・アナを演じたエラ・ハントをはじめ、ジョン役のマルコム・カミング、ステフ役のサラ・スワイヤー(振付けも担当)らの本格的な歌やダンスも見応えあり。若者に負けじとばかりに、クレイジーなパフォーマンスを披露するサヴェージ校長(ポール・ケイ)にも注目されたい。無粋を承知で言えば、やはりクリスマス・シーズンに観たかったなあ!
雨の街・マンチェスターで、学校でも職場でも、ライブハウスでも馴染めず、鬱々と暮らす17歳のスティーヴンのナイーヴさ。後にザ・スミスのフロントマン、モリッシーとなる主人公の魅力を「ダンケルク」(17)のジャック・ロウデンが繊細に表現する。遂にジョニー・マーと出会うシーンがドラマチック。無人の世界の静けさに呑まれることなく、自分のリズムでマーの家の扉をノックするスティーヴン。モリッシー家の玄関の飾り窓もさりげなく美しかった。美術はヘレン・ワトソン。
「ある少年の告白」の時は★3つに留めたが、ルーカス・ヘッジズが絶好調だ。今回はドラッグ依存のどら息子を演じ、家族を散々悩ませる。そしてその家族が連れ子夫婦による人工的構造なのが巧みだ。母親役ジュリア・ロバーツは、出来事にたじろぎ、苦しみ、対処するリアクション演技で素晴らしい成果を得た。母と息子の地獄巡りに、観客は事態が解決に向かうのか悪化しているのか摑みかねたまま、手に汗握るしかない。部分的にはカサヴェテス映画のテンションにさえ達している。
グローバル化とファストファッション化の波に飲まれ、かつての新興国もフラットな悪戦苦闘を強いられる。舞台となる台北の建築デザイン事務所は、恋愛と陰謀の果てしないゲーム性に打ち興じるほかはない。建築事務所といえば何と言っても楊徳昌の傑作「台北ストーリー」(85)だ。あれもやはり経済成長に飲みこまれる人間の断末魔だったが、映画それ自体がすべてを併呑していた。ところが今作では、登場人物の生のフラットさと、作品のPV的遊戯性が同じ水位にあるのだ。
ハイスクールミュージカルに「~・オブ・ザ・デッド」と接ぎ木してあげるだけで新ジャンル誕生という世の中だ。どうせ人類文明はそろそろ終わる。ならばナンセンスと戯れつつ踊り続けよう。そんなニヒリズムが画面を貫く。演出の境界は明確だ。世界が終わろうと、人物の動線は自宅・高校・ショッピングセンターだけで形成される。世界滅亡をB級ジャンルとして捉える史観だ。ヒロインの彼氏のセーターが、ゾンビ化してもなおクリスマスの電飾できらきら明滅する情緒にほろりとする。
80年代前半、ザ・スミスがマンチェスターから登場した時のことはよく覚えている。高校生の私は“これでポストパンク=ニューウェイヴはメランコリックなギターロックに収束したな”と観念し、その分の愛情も映画に注ぐことにした。本作はその前史だ。モリッシーはNME紙で音楽評論を書き、ザ・スミスは結成さえされず。このアンチカタルシスはのちの「ボヘミアン・ラプソディ」へのアンチテーゼたり得る。だとしても雌伏に終始するにせよ、映画としての肉が物足りない。
この前、薬物依存の息子と向かい合う父親の映画を観たばかり。今回は母親が息子を守ろうと奮闘。J・ロバーツが久しぶりに芝居どころがある役を熱演。最近、問題児を続投のL・ヘッジスが静かな好演。一見、穏やかなこの青年が、またクスリに手を出すんじゃないか。そのはらはらで物語を引っ張る。「ギルバート・グレイプ」の原作・脚本者が監督。そのせいか、演出は冷静的確。大人の感覚があるが、丁寧に描きすぎて少し間のびした印象も。母親映画だけど義父の存在が薄いのが気になる。
デザイン事務所のスタッフが、いかにして大プロジェクトの企画を通すかがお話の軸。けど、働く様子より、それぞれの恋愛描写が主眼で。CM&MV監督らしく、映像はオシャレ。台北の街を原色の幾何学模様で彩るあたりカッコいい。ダサい画面は一瞬たりとも出てこない。けど中身は、富豪の御曹司と幼馴染の同僚に迫られ、うっとおしさを感じる美女の挿話をはじめ、“愛って何”的展開。それがちと表面さらりで軽すぎる。とはいえ台北市の状況や若者の動向がうかがえ、結構楽しめた。
いまや食傷を通り越して食中毒を起こしそうなゾンビ物も、味付けを変えるとまだまだいける。出だしがハイスクール・ミュージカルのセンス。歌曲がロック&ポップ調ということもあってけっこう胸躍る。いざゾンビ登場となると、おやおやまたかいなの展開となるが、随所に歌が入るので、いつもの陰々滅々ムードが和らぎ助かる。ただ結末になるにつれ、ヒヤヒヤドキドキに重点が移るのが残念。ミュージカルなんだから、もう少し飛躍した趣向がほしく。ゾンビ諸君の集団舞踏てな場面とか。
ザ・スミスのモリッシー。そのデビュー以前の時代を描いて。売り込みに成功してメデタシみたいなロック映画になってないところが面白く。音楽への想いとか表現力はあるのに、それをどうやって実現していいか分からない。その悶々鬱々の日常。就職しても場違いだったり、ライブが好評でも後が続かなかったりの挿話の数々が、普遍の青春像を感じさせて。彼を揺さぶる3人の女たちも上手く性格の色分けをされ、よきアクセントに。意外に地味な展開だけど、じわじわ沁みてくる青春映画の佳作。