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一に長澤まさみ。二に香港ロケ。三、四がなくて五に消化の良さ――。大風呂敷を広げての騒々しい騙し合いごっこだが、ドラマ版(未見です)ですでに定着しているらしい主要キャラをコマにした展開は、誰がどう騙し騙されようが、痛くも痒くもなく、おまけにスリルもない。で楽しんだのは“変顔”の大盤振舞をする長澤まさみ。スタアならではの自信と余裕がたっぷりあり、特にラストのクレジットのあとのサービス映像(!?)には大爆笑。にしても“溜め”がない脚本、演出の慌ただしさよ。
ここまで正面きって現代の海上自衛隊の任務と権限、その責任を描いた劇映画はないはず。20××年と時代はボカしているが、描き方次第では現政権寄りの映画になりかねない。幸いというか、当然というか、そういう居心地のワルさはなかったが、ただ半端ではない登場人物の、それぞれの持ち場、立場による言動をあれこれ盛り込み過ぎ、逆に緊張感が散漫に。脚本の絞り方が総花的で、演出も喋ってばかりが目立つ。でも一番ヒドいのは本田翼のお邪魔虫的キャラと演技。チェッ!!
悪意とワルふざけの自撮り映像が蔓延するこの時代に相応しい“貞子”の登場である。とは言え、「映画 賭ケグルイ」ほか、女子高生役が多い池田エライザが白衣の心理カウンセラー役で現れたときは、あまりに若すぎて“貞子”が若手女優の露払いに利用されているようでガクッとしたりも。むろん、恐怖映画はヒロインで持つという鉄則(!?)でのキャスティングなのだが、彼女を狂言回しにしての恐怖の演出は、さすが中田監督、巧妙で、子宮めいた海辺の洞窟も不気味。そして井戸!!
高校生バンドの映画はすでに何度も作られているし、ヒット曲をモチーフにした青春ラブストーリーも珍しくない。その両方を取り込んだこの作品は、舞台が沖縄だけにその特殊性にも触れているのだが、その触れ方が何とも時代錯誤的で、いつの時代の話? 米軍基地の少女とフェンス越しの交流。少女はいつも独りぽっちで、親からは厳しく交流を禁じられていて。いや、そもそもバンド仲間をアッサリ死なせる脚本からして無神経で、地元の人々のデモのおざなり的扱いも気になる。
テレビばっかり観てたらバカになる。本欄の短評一作品あたりの字数ならこれを十三回繰り返せる。それだけでいいような気もする。テレビばっか観てたらバカになる。バカになるのは楽しいし悪いことでもないと思うけど、このバカベクトルは結構ヤバイんじゃないだろうか。日本人の物事の面白がり方、捉え方がドメスティックすぎて異なる文化から見たら本当に馬鹿かつスケールが小さく、恥ずかしい。ひとを、世界を、バカにしちゃいかんのが映画だと思う。役者は皆可愛かったです。
02年の「宣戦布告」の興奮(北朝鮮フォビア)ふたたび!と思いきやなんだかもっと抑制された映画。自衛隊員の気を遣った戦闘ぶりがほんとに凄い。原作漫画未読。これから読む。日本領海内に侵攻したのが東亜連邦なる国(数年前に建国された設定)だといい、後半にそこのパイロットが捕虜になり、その人物がアジア人でなくコーカソイドぽいとかすごく気をつかってると思ったけど、もうこれならいままで作られてきた自衛隊の価値顕揚映画のように敵は怪獣とかでいいのでは……。
むちゃくちゃ筋の通ったものを観た充実感。それは映画「リング」シリーズが本来ほとんどメロドラマ的な女系の悲しみと苦痛の継承の物語であり、この二十年のうちにプリクエィルしハリウッド映画になり3Dになり新興ライバルとヴァーサスしたりするなかで、こちらはそれを楽しんできたけれど、若干ブレたところをオリジネーター監督がドン!と原点に戻した感じ。強い。脚本杉原憲明。あと、佐藤仁美さんの出演にはエリシャ・クックJrが「ハメット」に出たくらいの感慨があった。
今年観たなかで一番ヤバい、悪いものを秘めた映画だった。始まったときにはかの東映の栄えある“沖縄映画”「日本女侠伝激斗ひめゆり岬」「沖縄やくざ戦争」「ドーベルマン刑事」に連なるものになるかとも思えたのに、反米軍基地抗議を疎ましいもののように描くあたりから妙な感じが並走しだす。ほらあなたにとって大事な人ほどすぐそばにいるの、の“大事な人”が米軍人の娘(主人公らの友人)とは……難しい。エンドクレジットのオリジナル歌唱でなんとか気を取り直した。
テレビドラマ版の雛型を忠実に踏襲した本作を、純粋に“映画”として評価すべきか?ということに関しては些かの疑問がある。それでも気持ちよく騙されてしまうほど、この“映画”は面白い。奇しくもリンゴ・ラムへの追悼となったオマージュ、細部まで配慮が行き届いた美術、さらには、冒頭のPOVにいつの間にか俯瞰的視点を持たせることで「今あなたが見ているものは本物ですか?」と既に問いかけている仕掛けなど、「楽しめれば御託や突っ込みはいらない!」と思わせるほど痛快だ。
この映画は、観客にとって「面白い」か「面白くない」かではなく、「同意できる」か「同意できない」か、という評価に依るだろう。よって、どちらも間違っていないし、どちらも正しくない。劇中「斯様な状況下、あなたならどう判断するか?」と、何度も問われ続けているからだ。例えば、侵攻してくる相手の顔が見えないこと、あるいは、被弾の瞬間にカットが変わることなどに対しての異論もあるだろう。つまりは、軍事的描写に重きを置いていない。至要たるは〈議論〉することなのだ。
これまで製作された続篇やリメイク、スピンオフ群の幾つかは、観客が既に貞子の仕業だと判っているにも拘らず、そのことに気付かない登場人物たちの右往左往が物語を停滞させていた。その点で本作は、貞子の仕業だと判っているにも拘らず物語の先行きが判らない、という面白さがある。約20年間にわたる〈サーガ〉としての物語構築、過去20年間における映像メディアの変遷、そして中田秀夫監督の刻印を確認できる演出。姫嶋ひめかの〈まなざし〉は、その刻印を刻印たらしめている。
今はもう“この世にいない誰か”のことを想い、思い出を語り始めると「つらかったね」とか「大変だったね」と、相手に気を遣わせてしまうことがある。そうなると次第に“この世にいない誰か”のことを口にし難くなるもの。しかし、歌として声に出すのであれば周囲に気兼ねなく、気を遣われることもなく、言葉を伴いながら何度でも “この世にいない誰か”のことを想うことができるのだ。そして本作には、観客の固定観念を利用することで物語をある方向へと舵を切らせる意外性もある。