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ロシアの大統領と国防相が、例によってなぜ英語で会話しているのかとかあるけれど、潜水艦内のシーンも、地上の特殊部隊のシーンも、ディテールからちょっとした言動まで「なるほど!」と思わせるリアリティがあり、それが全篇の緊迫感を支える。勝手なイメージかもしれないが、頭脳戦やクライマックスのまさかの決着方法は、イギリス映画ならではの面白さだと思える。ジェラルド・バトラーを筆頭に、この人の下で働きたいと心底思わせてくれるリーダーが、複数登場するのもうれしい。
「IT」が思い出されるのは、同じ子役がいるからだけではないだろう。学年もばらばらな子どもたちが、主人公を心配してわちゃわちゃとついていくのだった。グループホームという設定が効いていて、家族を家族たらしめるのは血縁ではないというテーマが明確に打ち出される。基本的に明朗ファミリー路線だが、それでは作っていて物足りないとでも思ったのか、序盤から中盤にかけ、「死霊館」みたいに本気で怖がらせにかかる場面があるので、ご家族でご覧になる際はあらかじめご用心を。
原題の「スタン&オリー」を日本語題名にも入れておいてほしかった気がするが、客入りがよくなる過程、芸の見せ方など王道を行く作りで、バックステージ物愛好者(つまりわたし)にとって宝石のような一本。鑑賞するのに実物のローレル&ハーディの出演映画を観ておく必要はなく、見事に演出された衆人環視の口論シーンのあとは、あらゆる言動に最後までさめざめと泣かされる。持ち芸と現実を絶妙に混濁させているのも伝記映画として面白い。タイプの違う妻ふたりの珍コンビも最高。
老いを前提にした役が近年増えていたとはいえ、ここまでしょぼくれて平凡な初老男になりきっているジャッキーに、冒頭でまず驚かされる。だがやがて、彼がただ者ではないことが明らかになっていくのだった。とはいえ話の重心はむしろP・ブロスナン側にあって、本格スパイスリラーを思わせる、結構複雑な物語。いくらでもハードボイルドなタッチにできそうなのに、明朗な雰囲気が時々どことなくただようのは、ジャッキーの身体が生得的に持つ、隠そうにも隠しきれない個性のせいか。
国防省のクーデターで人質になったロシア大統領を第3次大戦の恐れがあるとしてアメリカの攻撃型原潜ハンターキラーが救出に向かうという途方もないストーリー。久しぶりの潜水艦もので、技術的には進歩している。だが、この一見、派手なサスペンス・アクションの核はジェラルド・バトラーが演じる、海軍兵学校も出ていないジョー・グラス艦長の言動である。原作者の一人が元原潜の艦長で、世界の破滅が個人の力量にかかっているという設定。それはさておき、彼は理想の上司だ。
ザッカリー・リーヴァイが笑いをとろうとして演じるスーパーヒーロー、シャザムの誕生物語のまえに、仇敵ドクター・シヴァナ(マーク・ストロング怪演)がいかにして悪の魔術を使うようになったかを不幸な少年時代から描いているのには一興。作品全体が孤独な少年少女の物語を基本にしているのだ。日本と同様、学校でのいじめや親の養育放棄の問題はアメリカでも深刻らしい。里親と子どもたちの関係がリアル。スーパーヒーローや魔術を願望する気分も作品中で描かれるのがおかしい。
ローレル&ハーデイにそっくりの雰囲気をもったスティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーがハリウッドのスタジオに登場し、6分間1カットで喜劇的な芝居をするオープニングには感動した。ケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」などで、この時代の俳優たちの物語を知ってきたわけだが、舞台はイギリスに移り、すでに過去の人となりかけた二人の感情を追っていくので、興味深く、新鮮だ。その妻たちをシャーリー・ヘンダーソンとニナ・アリアンダが闘志むき出しに競演する。
ロンドンで中華料理店を営み、平凡に暮らしていたジャッキー・チェンが娘を爆弾テロの巻き添えで死なせたことから、徐々に復讐の鬼と化すありさまが見どころ。ターゲットになる、北アイルランド副首相役のピアース・ブロスナンが過激な政治行動をしたという過去を引きずる人物を陰影のある風格で演じるので、チェンの役が引き立つ。人間関係は相当に複雑になっているが、「007」シリーズを手がけた監督だけに狭い部屋のアクションや爆弾テロの場面に手がこんでいて、迫力充分。
潜水艦だけを舞台にした話になっておらず、米特殊部隊による露大統領救出作戦がガッツリ絡んでくる。ラフでイージーなノリだが、潜水艦映画とコマンドもの両ジャンルの醍醐味を味わえるお得感があるし、スリルの配分もどちらかに偏っていない。まさかジェラルド・バトラーの艦長が、銃を手に陸に上がってしまうんじゃないかとも危惧したがそれはなし。米露の海の男たち、露大統領とその警護、特殊部隊の隊員たちと、それぞれに仁義、忠義、敬意のドラマを配しているのも悪くない。
ヒーローもヴィランも家族には恵まれなかった境遇。そこで拗ねるか、前を向くかで、得られるパワーもなにもかもが変わる。そんな誰でも共感しうるテーマを盛り込んだ物語に加え、ベタ気味だが“外見は大人で中身は子供”にまつわるギャグも笑えるし、出てくるのが子供ばかりであることから生じる『往時のアンブリンがアメコミを作ったらこんなんだろうなぁ』みたいなムードにはシミジミしてしまった。ジャイモン・フンスーが繰り出す、“演ってる本人大真面目”な老魔術師ぶりも◎。
ヴォードヴィルから羽ばたいたふたりが、舞台で最後の輝きを放つ。その大筋に文句はないが、けっこうな距離を移動し、あちこち回るのだから、もっとロードムービー然とさせてもいいのではないか。おまけに駅が舞台のコントも登場するし、そこで旅を絡められるのではないかという想いが頭をよぎる。だが、それは主演ふたりが織りなす絶妙なコンビぶりを眺めているうちに途中から霧消、舞台や主演映画よろしくホテル・フロントのベルを取り合うシーンには本気でニンマリしてしまった。
さすがに見た目では60歳超を感じるのに、いまだ年齢不詳の役柄の多いジャッキー。それだけに、この作品での年相応の枯れぶりにはホッとした。ブービートラップを用いたゲリラ戦を仕掛けたり、コツコツと爆弾を作る姿にはショックを受けるが新鮮でもあるし、アパート室内で繰り広げられるリアル志向の銃撃戦との馴染みも悪くない。ただ、IRA的組織内のゴタゴタが非常にワチャワチャと描かれ、追うのがしんどくなってくる。ジャッキーの使い方も布陣も悪くないのに惜しい出来。