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末期的な認知障がいと診断されたCIA捜査官(ニコラス・ケイジ)が、これまた治療法のない遺伝的な病気を患う「中東」の重要犯罪者を追う物語だから、両者の時間切れを軸に、見ていて終始、暗い気持ちになる。ケイジがいつもの涙目で熱演している。「そろそろ年寄りの映画を書く時だ」と脚本も書いたポール・シュレイダーは言っているので、彼は満足したかもしれない。わたし自身、最高点をつけたわけではないが、あらためて「アメリカン・スナイパー」の監督の演出力を知った。
ドングリの実が超高速カメラ撮影により落下してくるのを見たときには、もう感動した。斎藤工のナレーションも感情移入たっぷりなのだが、脚本の流れが弱小な動物に肩入れしているので、トウブシマリスの前にアメリカワシミミズクが立ちはだかったりすると、3D効果でドキリとする。しかも先に生まれたシマリスが弟シマリスの餌を奪おうとするのだ。もう一方の主人公バッタネズミがサソリを捕えて食べるところもスペクタクルで、さすがBBCアースの技術陣だと44分間、楽しんだ。
原作者ジョー・ヒルの父スティーヴン・キングには『スタンド・バイ・ミー』という傑作があるけれども、この映画も子どもの頃を描いた回想シーンはみごとである。だが、肝心の本題に入ると、犯人探しのミステリーとダークファンタジーの幅を広げすぎて、冗漫になっている。魔法の角の前に容疑者たちがたちまち自白してしまうとあっては、映画的サスペンスが消滅するのだ。ただ美術に関してはツリーハウス、ジャズクラブ、貯木場など、燃える主人公の造形とともに、目を見張った。
近未来社会の街の描写から始まるのだが、リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」と同じく、猥雑でアジア的なムードが充満している。宇宙の混沌の光景より、そのアナログな部分のほうが印象深いけれど、ギリアム監督も秋葉原の街にショックを受けたそうだから、当然だろう。老天才プログラマーが教会跡の自宅で一本の電話を待つという、モンティ・パイソン的な話には退屈したけれど、少年が登場したとたん、活気づき、年をとると同じ音楽ばかり聴くという会話が耳に痛い。