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育てた牡蠣を引き上げる漁師の阿部力の顔がいい。海岸線に14・5メートルの防潮堤を作るという岩手県の防災計画に敢然と反対する「赤浜の復興を考える会」会長・川口博美の年輪を刻んだ顔もいい。そして、あの暴威を振るった津波が嘘だったように美しい海。彼らは、津波で肉親を失いながらも、この海と共に生きることを決め、牡蠣やワカメを育て、定置網を引く。それに対して、面当てのように、拒否された防潮堤の代わりに、11メートルの道路建設計画を持ち出す行政の醜さ!
タイトルそのままに、ズタズタにされボロボロにされる高校生の主人公とその仲間。見るからに痛そうだが、その点だけでも、恋愛やらセックスが幅をきかす高校生ものの陰で、いまや稀少となったケンカに明け暮れる不良高校生ものの復活と期待したのだが……。一緒につるむ仲間も、平田満、木村祐一、佐藤二朗らやくざのキャラも立っているし、南果歩の母親も悪くない。それでいながら、なぜか、いまひとつ弾けないのは、物語を前へ前へと突き動かす駆動力が弱いためではないか。
真木よう子扮する三〇歳の櫻井いちこが、人形のように見えるのが、まずは見どころ。これは、皮肉ではない。彼女の脳内が、ポジティブとネガティブの争いで紛糾し、最初の一歩を踏み出せないのだから、決着がつくまでは、意思表示もままならぬさまを、よく表している!? と。ならば、彼女が人形振りを脱するには、脳内の葛藤など振り切るしかない。そのためにはネガやポジという世故が基準の秤を捨てて、自身に戻るしかないが、最後のいちこの顔には、それが表れていたと見よう。
和風ゾンビ・スプラッター風味とでもいうべき映画で、結構楽しめる。それには、哀川翔に鶴見辰吾という立役者を中心に、窪塚洋介、木村祐一、鈴木砂羽、RED RICEといった、いずれも濃厚味の俳優陣が、マジにゾンビ相手に奮闘するからだ。おまけに風間俊介のやりたがり医者による楽屋落ち的ゾンビ解説や、どうみても警官の制服が似合わない窪塚と、ゾンビの存在を本気にしない漁師の般若とのやりとりや110番への電話など、抜かりなく笑いも仕込むなど、細部もよく工夫している。
東日本大震災以降の、自然と人間のあいだの深い溝を越え得る意識、発想が映し出されていた。岩手県大槌町赤浜は陸地にも海底にも多く湧水があり、そのことがこの地に豊富な海の幸をもたらす。その只中に生きる漁師は津波を恐れず自然を畏れ、郷土を愛する。また、妻と孫を津波で失った人物が復興を考える会の会長として国の押し付ける巨大防潮堤の建設を拒否する。謙虚さと勇気によって生きよ、という話。出てくるひとの顔が見応えある。海産物も底光り。もっと上映の機会を!
「ワルボロ」より悪く怖くなったが、ちょっと厚みが減ったか。映画のモードが変わったというか。「ワルボロ」は仲村トオルがゲスト的オマージュ的に出たりしてもっとジャンル映画に接続してたが、本作は一本どっこでノンジャンル的。脚本が髙橋泉氏ということも関係あるように思う。主演永瀬匡氏は映画「好きっていいなよ。」の脇役のときに非常にいい感じだったので、お、やっぱり出てきたぞ、と嬉しい。不良、ケンカの映画、つくられ続けろ。真似するか眉ひそめるか、世を刺激しろ。
「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」のうちの一章「ミクロの精子圏」の、ある男性がエッチしようというときに、その体内にバート・レイノルズが指揮する水兵みたいな一団がいて、応戦の構えをとれ、とか、大砲を上げろ、とかやるのの、もっとちゃんとした版。キャストが皆いい。脳内のほうのキャラの俳優は儲けたなと思う。西島氏、真木よう子さん、コメディーがキマるときに、あ、ホントにこの人たちは美しいと気づく。
極めて本数の少ない、日本映画におけるゾンビものの成功作にまた一本加わった。これほど生き残り人間サイドのキャラの多彩さと描きこみがあり、規模が大きいものも他にない。またタイトルに入っているアイランドという語句で気づかされたが、ゾンビ映画において島というロケーションも重要なポイント。その地勢的タメもあった。ゾンビとは巨大な病、顕微鏡で見る細胞レベルの感染が等身大レベルで展開するのだが、これを描くには作り手の映画的体力が試される。体力ありまくり。
〝ロックンロール〟という言葉の髄には〝反骨〟が染みついている。タイトルからは国や県が掲げる防潮堤建設計画に、〝視界も海も未来も封じるなんて許せねぇ!〟と異を唱え闘う、赤浜地区の人々の魂の叫びを読み取ったが、登場する地元の人々の地に足がついた日々を見つめる静かな佇まいに、制作者の意図との温度差を感じてしまった。もっと人物に踏み込み、人と人との防壁をも取っ払う気概が見えたら、よりテーマが響いたのに。ロックフェスで母が突き上げる拳に一番のロックを見た。
「ワルボロ」から8年。牧歌的な中坊ヤンキーだったコーちゃんは、高校に入り、血で血を洗う抗争の只中へ。先輩に凹られ、少年ヤクザと敵対し、親友ヤッコは心までズタボロに。同時代やはり三多摩で10代を過ごした者としては、前作に漂っていたあの頃の匂いが消えてしまったことがただ無念。竹脇が愛するオペラ『衣装をつけろ』も原作通りとはいえ、その重厚感に物語が伴わず。「アンタッチャブル」と比較されるだけ損では。乱闘前の太鼓の音、血が滾る若き昂揚をこそ感じたかった。
「空気を読む」ことが何より重視される昨今。己の脳内で日々繰り広げられる5つの思考の大激論、その勢いや熱、辿り着く不毛な決着、何もかもがよくわかる。アラサーちょいズレ女子・いちこ(赤い帽子の真木よう子!)の場合、目の前の気になる男が年下でイケメンでふっわふっわのアート系。こんな未知の生命体を相手に脳内大わらわにならない女がいるだろうか。説得力溢れる開巻から引き込まれ、終幕でいちこの至る境地に胸がすく。根がネガティブゆえ神木君が3人は欲しい(切実)。
ヤクザにゾンビに女子高生、泣きに笑いにカーチェイスと、一見無秩序に何でもかんでも詰め込んで、その実しっかり計算された隙のなさがなんとも憎い。ゾンビだけでも速い方も遅い方も共存させねば気が済まぬ品川ヒロシの映画への貪欲さに脱帽。哀川翔VS鶴見辰吾のガキの喧嘩、女子高生VS島の若造たちの格闘、そして宮川大輔突如のゾンビ化と、同時多発するアクシデントを加速度的に描き出す躍動感と興奮にのっけから摑まれる。アホ警官・窪塚とエロ医者・風間、配役も憎い。