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俳優たちの顔のクロースアップがどれもほんとうに素晴らしい。そのうえミステリーとしての構成が非常に巧み。「母であること」の気高さと恐ろしさが生々しく描かれる。だからみなさん観てくださいと熱烈推薦したいのに、素直にそうは言いづらい。自分の子どもの遺体を、しかもあのような人柄の主人公が、あんなふうに扱うだろうか? いかに後半の展開が見事でも、最後までこの一点が納得できないという観客は多いはず。あそこは何としても別のアイディアを捻出してほしかったのだが。
朝鮮戦争以後を描くこの映画は、韓国の人たちにとってほんとうに特別な映画だろうと思う。もちろん他の人々にも訴えかける、普遍的な物語でもある。第二次世界大戦後の日本にも、無数のドクスがいたはずだ。映画自体は、「このシーンはこういうことが起きるだろう」「このシーンはこう撮るだろう」と、すべて予想したとおりに進んでいく王道展開。だがこの場合、そのベタさが正解なのだと思う。「国民的映画」として記憶の共有と継承をうながす使命を、おのずと帯びる映画なのだから。
ドニー・イェンは工夫を凝らして孫悟空を熱演しているし、残り40分というところから映画自体もようやく面白くなってくるけれど、セットを組んだりロケしたりして撮影した場面のほうが希少だと思われる、しかもいまどき珍しいくらいにCG感丸出しのこのヴァーチャル世界に、イェンの個性が合っているとは最後まで思えず。カット割りの混乱ぶりはいちいちあげつらうのも申し訳なくなるレベルで、空間の連続性を分断し、この映画の語りの奇妙な「ダイジェスト感」に拍車をかけている。
お父さんが子どもと仲よく遊んでいるだけのシーンまでせわしなくカットを割っていることには、そんなに四六時中緊迫感を出そうとしなくても、というかちょっとは落ち着いたらどうかとさすがに言いたくなったが、眠らない街・NYをもうひとりの主人公として、カーチェイスから銃撃戦、さらには巨大団地の火災シーンまで盛りだくさん。なかなかスリリングに盛り上がる。リーアム・ニーソンのみすぼらしさにびっくり(褒めてます)。息子の家で彼が家族写真を見るシーンが胸に迫る。
堅実で誰にも迷惑をかけていないのに生まれて間もない子を亡くす夫婦、自堕落で誰からも疎まれる存在なのに育児放棄しても元気一杯の子を持つ男女。ただでさえ、子供をめぐる不公平の公平みたいなものを描いた内容にズーンとなるが、中盤で待ち受けるトンでもない秘密の暴露に今度はドーンとなる。ドラマとしてもサスペンスとしても、とにかく重たく観た後にしこりが残る作品。曇天、闇夜、雷雨、薄陽と、物語と事件の推移、各人物の心境を天気とクロスオーバーさせる演出も◯。
韓国の歴史と家族の歩みを重ね描いた作品だが、甘くて郷愁バンバンなものにしていないのがいい。題材として取り上げられる時代のエピック群は、ことごとくエモーショナルでヘヴィネスでエキサイティング。そんなわけで、主要キャラや脇キャラのみならず、モブ・キャラまで哀号しまくるのだが、その涙もとことんしょっぱくて苦そうだ。正直、そんなノリに戸惑うところもあるし、ふいにアクション調になったりパニック調になったりと盛り込みすぎなのだが、不思議と胃もたれはしない。
大物俳優を結集し、誰もが知る『西遊記』を映画化。どう考えたって、期待に胸を膨らませてしまう。しかし、舞台として映し出される天界は『進め!電波少年』のCG製オープニングや背景とさほど変わらぬクオリティ。さらに、とどめとばかりに着ぐるみ感甚だしいパンダ、アルマジロ、カメレオンが、猿たちと戯れる姿に啞然とする。『西遊記』をテーマにした、中国のどこかにある狂ったアミューズメント・パークを覗いてみた。そんな風に考えれば、いろいろと筋が合うし、そこを楽しむべき。
面構えの良すぎる輩を揃え、男の矜持や絆、家族の愛をめぐるドラマを流し込み、マンハッタンの夜陰で染め上げる。L・ニーソンとの前2作はヒネることを重視していた感のあるJ・コレット=セラ監督だが、本作では奇をてらわぬタッチを繰り出す。で、それが大正解の大成功。話でも画でもアクションでも震わせてくれる逸品に。リボルバーとウインチェスター銃しか使わぬ主人公だが、その武器の選択が殺し屋としての彼のストイックさやプロフェッショナルぶりを際立たせていて巧い。
赤ん坊の「取替え」がテーマのサスペンス・ドラマだが、基本となる設定に素直に乗れなかったので、喉に刺さったトゲのように最後まで違和感が残った。サスペンス映画風な撮り方をしているが、この女流監督が描こうとしているのは、サスペンス映画でないことは明らかだ。二組の対照的な夫婦、片や警官、片やジャンキー。彼らが落ちこむ悲劇的な陥穽が、美しいデンマークの自然を背景に描かれてはいるが、「未来を生きる君たちへ」などの前作品の方が、はるかに完成度は高い。
一代記の大河ドラマである。ビルドゥングスロマン、戦争を背景にしたメロドラマでもある。そんな題材の必然からか、映画はコンヴェンショナルで、情緒的だが、スケールは雄大、映像は美しく、我国より更に過酷な戦後の歴史を生抜いてきた隣国の同世代人の生涯が心を打つ。残念なのは韓国の現代史が背景であるにもかかわらず、政治的な状況とそれと主人公との関わりがほとんど描かれていないことだ。そこが描かれていれば更に骨太な大作になっていただろう。
マキノ雅弘が宴席でみせる猿の真似は役者も舌を巻くほどの絶品だったという。人間の猿芝居は面白い。エノケン、のり平、はじめ日中で多くの役者が悟空を演じてきたが、今回のドニー・イェンは演技、アクション、メイキャップあいまって最高の悟空の一つだ。チョウ・ユンファ、アーロン・クォックなど共演に演技力のあるアクション俳優が集められているのもいい。おおらかな中国風CGと監督の豪腕もあって、「西遊記映画の決定版」というコピーも誇大広告とは言えない。
リーアム・ニーソンが初老の殺し屋に扮する上出来のハードボイルド・アクションだ。エド・ハリスも良いが、ご贔屓ニック・ノルティの出番がワン・シーンなのが残念。ファッキン・ガンで子供が殺され、テロが起きている……というニーソンの発言に怒った銃器メイカーが彼の映画に銃器の提供を拒否しているというが、銃規制の主張と映画でバンバン撃ちまくるのはなんら矛盾しない。この映画の、銃撃シーンも迫力十分で銃社会の恐ろしさを十分に伝えて効果的だ。極上のエンタメ。