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新人監督の初めての長篇映画ということだが、文句なしの力作! 主役二人の表情が、時に気になる所はあるものの、初めから最後まで、サスペンスを持続させる力業に脱帽する。事件が起こり、それを刑事が追っていく物語は、それこそ枚挙に暇がないが、本作が、それら凡百の映画と異なるのは、解き明かそうとする刑事自身が、みずからの思考の罠に囚われていくさまを、切迫した息遣いで描ききっているからである。しかも作者は、最後に至って観客に新たな謎を投げかけるのだ。
なぜか、女性はヴァンパイアがお好きなようで。そこを心理学的に掘り下げれば、いろいろありそうだが、本作に、それを期待するのはお門違いというものだろう。なにしろ、こちらは、アリスのように庭の片隅の穴から別世界に入ったものの、出会うのは、ギターを奏でる少年なのだから。おあとの展開は想像通りだが、そこから話が佳境に入るまでが長すぎるし、肝腎の場面での描写が手薄だ。まあ、ヒロインをはじめ、ヴァンパイアが台湾生まれで、中国語が飛びかうところがご愛敬というべきか。
タイトルから、子どもの話かと思ったが、これは、その世界では知られたミュージシャンのドキュメンタリーであった。すなわち、パンクバンド〝ニューロティカ〟を率いるイノウエアツシの三十年に及ぶ活動を辿っているのだ。彼は音楽活動をやりつつ、実家のお菓子屋を母堂とともに切り盛りしている。その様子や彼の人柄は、仲間から「あっちゃん」と呼ばれて親しまれているように魅力的だが、映画の作りが、やや型通りでインパクトに欠ける。彼のパフォーマンスだけで語りきれなかったのか。
老いてゆく母親を見つめたドキュメンタリー。彼女は、毎朝、病死した長女の写真に手を合わせ、病院で余命をつなぐ夫を見舞う。やがて夫は亡くなり、独りになった彼女は息子に対して時に感情を露わにし、自殺すると訴える。このあたり、「老い」というものの実相に身につまされる思いがするが、妹御が、彼女を生まれ故郷の種子島に移り住まわせるのが新たな一歩となる。そこでの昔馴染みとの交流や、ユーモアをもって姉を励ます妹の存在が大きな助けになるという点が、示唆に富む。
ネタバレ厳禁で書けないことが多くてごめん。脚本家(監督)は韓国犯罪物のファンと推察。一週間前に起きた猟奇殺人、ところがそれは過去の犯罪と因縁があり、当時の被害者が今回の事件を追う刑事の関係者、という構図である。この程度は書いておかないと分かりにくい。親切心。ゴッホで分かるように「耳の欠損」というのは精神病理学的に有意味で、案の定、包帯姿でうろつく刑事さんがちょっとヘン。「チャイナタウン」も意識してるな。副題はさしずめ「偶然の魔術、必然の詐術」か。
吸血鬼というより、もろキャット・ピープルみたいな桐谷嬢の美貌にはうっとりさせられるので、私のようなファンなら楽しめるものの一般的にはどうかな。喜劇なのに笑えないのでは評価しようがない。ジャニーズ系はバック転、という芸能界の基本を確かめられたのは可笑しかったが。多国籍(台韓華日)キャストは有意義だし、それをちゃんと成し遂げた新人監督には敬意を表したい。ここに出てくる吸血鬼の規則というのがちょっと面白いのだが、何か文化的根拠のあるディテールなの?
別に前田敦子のドキュメンタリーではない。主人公はパンクバンド「ニューロティカ」のイノウエアツシ。ボーカルとして卓越した技量もカリスマ性もなく、音楽的リーダーシップも取らない「あっちゃん」だ。どっちも本人の弁で、私は決してそうは思いません。町のお菓子屋さんの若主人でもある彼の日常と関係者インタビューにアーカイブ映像を組み合わせて。地道なこの作りが心地よいリズムを形作る。メンバーが替わってもあんたがいればニューロティカだ、というのは至言であるね。
認知症が進む母親の日々の暮らしを息子さん(監督)が記録。肉親じゃないと絶対に撮らせてもらえない場面続出の私的ドキュメンタリーだ。あっさり書いてしまったが事情はもうちょい複雑。鬱的気質の上に娘を亡くし夫が病気で、と、まずい状態がずっと続いている所に後からカメラが入ったらしい。とっちらかった印象も。そこが面白いのだが。故郷種子島に帰るあたりがかえって「希望の押し売り」になり、残念かも。こうやらないと終われない、という無理矢理感が少しあるんだよね。
大阪芸大出身の無名監督が、兵庫県伊丹市の後援を受けて、かなりしっかりとした規模で作り上げたサイコ・サスペンス。子ども時代のトラウマを抱えた刑事が、ある事件をきっかけに精神的危機に陥る物語だが、一見入り組んでいるわりには、映画に鮮度や衝撃があるわけではない。ただ、本当らしさを出すディテールへのこだわりと、年齢層の広い無名の役者陣をさばき、刑事ドラマとしての硬派な空気を生んでいるところは感心する。職人監督としての腕はあると思うので、今後に期待したい。
まず、この脚本にGOが出たのがとても不思議。ヴァンパイア恋愛もののスリルなど欠片もなく、まるで小さな子どもが思いつきで書いたみたいな展開。そして、その脚本をフォローするでもない稚拙な演出。どのシーンにも突っ込みができてしまう映画を、最近観たことがないのだが。決して手を抜かない桐谷美玲には好感が持てるし、田辺誠一&大塚寧々の夫婦役共演という見どころはあっても、なぜこの映画が作られたのかわからない。これで夢見られるほど女子は愚かでないと思います。
結成30年のパンクバンド〝ニューロティカ〟のボーカルにして、唯一のオリジナルメンバー、イノウエアツシこと、あっちゃん。音楽活動を続けると同時に、実家のお菓子屋の店主でもある。バンド結成時の80年代から辿られる変遷を見ていくだけでも面白いのだが、あっちゃんの独特な人間的魅力に引き込まれる。40歳を過ぎてインディーズ精神を持ち続けることが難しい時代に、彼の生き方はひとつのフロンティア的な挑戦に見える。謙虚に、したたかに。いろんな生き方があっていい。
娘を亡くし、夫が倒れ、精神的に混乱に陥っていく母の試練と回復に、息子がカメラを向けた4年間。老いた母を見つめ続けることによって、極めて私的な母のポートレートを紡ぐ一方で、人間の生命力の源のようなものの在りかを示唆している。夫の死後、母は故郷の種子島へ戻り、妹の献身的な介護を受けるようになる。食べて、寝て、動いて、笑って、塞いで、また笑う。一歩一歩のシンプルな日常。そのなんでもない尊さ。温かく静謐に、かつ決して目をそらさぬ監督のまなざしに圧倒された。