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下ネタありのお下劣コメディ映画の系譜というのが確かにフランスにはあるのだが、語りのアイディアや間合い、編集のリズム等が笑いを引き出す要素になっていれば、笑いの感覚がフランスと異なる日本でも、結構喜ばれたりする。でも、この映画の前半のように、役者たちのくどい演技にもっぱら頼るのでは、生理的にまったく受けつけない人もたくさん出てきそう。ばかキャラばかりが出てくるせいで余計にそう思うのかもしれないけれど、主人公の恋の相手になる女性整備工がかっこいい。
続篇製作が前提になっているのか、主人公の設定も組織の設定も、いきなり「全部載せ」の過剰な状態で提示される。盛り沢山なこと自体は別に悪いことではないのだが、カット割りが滅茶苦茶せわしないのも手伝って、面白い要素しか出てこないのに全部消化不良、という印象を受けてしまう。あと、ボゴタを東南アジアに見立てて撮影しているけれど、やっぱり南米にしか見えないのはどうしたものか。最高にかっこいい儲け役はイコ・ウワイスで、特に医務室での素晴らしい格闘シーンは必見。
作品世界の構築もそこそこに、上っ面をつるつる滑るように話が進むので、「この映画を観に来る人はこれで満足な人のはず」と言われているような気分になって早々に疎外感。ハッカー二人と美女のトライアングルには、魅力的な青春映画にできる要素もあるのにまるで開拓されず、アクションシーンが始まってようやくこちらも刮目する始末。でも山下智久は、この役をやるには見た目が若すぎるのがかえって面白く、英語の台詞回しも明晰で、走り回って画面を活気づけるのも含めて悪くない。
怖さではなく異常心理を経験させる映画。常軌を逸したカットつなぎが連打され、しかもカット尻が全部少しずつ短い感じがあって、それだけでまず観る側の神経をおかしくする趣向。一方、題材への思い入れはわかるけど、この内容でこの上映時間は長すぎるし、70年代後半のベルリンの特殊性と話の本筋もいまいち上手くかみ合わない。ダンスの振付けが本格的で見ごたえあり。「母はあらゆる者の代わりになれるが何者も母の代わりにはなれない」って、3役を怪演するティルダ様のことかな?
オリヴィエ・プリオルの『美女と拳銃』(中条省平、志穂訳)によると、リュック・ベッソンは後輩に対し面倒見がいい人物だが、この作品も「TAXi」シリーズを少年時代に見たF・ガスタンビドとM・ベンタルハのコンビがベッソンの協力のもとに仕上げた作品らしく、アクションの仕掛けや、いささか下品なギャグまで含めてベッソン流である。舞台をマルセーユにしたところが効果的で、おなじみベルナール・ファルシーが名物署長から市長に転じて、いきいきと演じているのも笑わせる。
マーク・ウォールバーグひきいるCIA機密特殊部隊がアメリカ東海岸の町でロシア諜報部を相手に秘密作戦を敢行するところから始まるのだが、構成はいつのまにか複雑化し、架空の国インドカーが舞台になって、盗まれたセシウムをめぐり、当地の警官イコ・ウワイスを無事アメリカへ亡命させるミッションへと物語が切りかわる。二つの話はつながっているのだけれど、その間に様々な武器を使った銃撃戦やイコの格闘技が入り、カメラも多面的にショットを重ねるので、筋を追うのがたいへん。
最先端のインターネットの世界をアジアの映画人が協力して娯楽作品に仕上げた。ハッキング場面では、スピードが要求されるので、強力なシステムに端末としてアクセスできれば、こんなムチャクチャなこともできるのだろうかと考えているうちに映画はどんどん進んでいく。山下智久が日本の俳優を代表してお茶を点てたりするのだが、ブラックハッカーの表の顔が能面師とはねえ、と思っているうちに、最後はスマホで交通信号まで自由に操作し、体技によるアクションの大サビースとなる。
知的で妖しいティルダ・スウィントン指導の舞踊団に憧れてダコタ・ジョンソンがアメリカからベルリンへやってくる。バーダー=マインホフのテロの時代で、ダンサー失踪事件やホロコーストの傷痕、指導者が魔女たちではないかという恐怖など、舞踊はみごとながら物語は錯綜する。アルジェントの映画を敬愛して、リメイクしたらしいが、グァダニーノ作品はアート的なアンダーグラウンド劇風で、赤い紐を裸体に巻いたダンサーたちの群舞を見ても、エロチックというよりはグロテスク美だ。
リブートだと思い込んでいた10年ぶりの新作だが、主人公コンビの片方にダニエルの甥を引っ張り出すことでかろうじて本線維持。彼が叔父とは真逆のダメ男で、旧4作におけるエミリアンの役割を担うのが面白い。とはいえギャグはベタベタ、奇人変人揃いのキャラを活かし切れていないのは相変わらず。あのプジョー改造タクシーも登場、インパネのタッチパネル化などの今風のバージョンアップを期待したがタブレットを付けた程度でガッカリ。新主人公の片方、F・ガスタンビドゥは◎。
やはり、ピーター・バーグも「ガントレット」「16ブロック」みたいな〝護送もの〟を撮りたかったのだなと当初はホクホク。大使館、市街地、店舗など場所をめまぐるしく移動、刺客たちとの攻防も銃撃、爆破、格闘、爆撃と多種多彩で飽きさせないのは立派だが、最も戦いが派手に行われるのが高層アパート。で、イコ・ウワイスも出演なわけで「ザ・レイド」を撮りたかったのかと気づいた。そこで留めればいいのに、色気を出してさほど仰天しないどんでん返しを入れ込んだせいでちょい醒め。
難攻不落のセキュリティ突破の決め手が適当で、キーボードをカチャカチャやっているだけでとりあえず解決。ハッカーを題材にした作品でよく見る風景がここでも登場するわけだが、ハッカー映画というよりは「冒険者たち」風活劇を目指しており、肉体を使ったアクションを重視した内容なので、そちらのほうはそんな感じでも問題はない。気になるのが山下智久だが、シャープな美貌を活かしたなかなかの悪役ぶりを発揮。台詞も登場も少ないが、出るたびにビシッと引き締めてくれる。
オリジナルより53分も長いことに一抹の不安を抱いたが、そこに意味がある。舞踊団が乙女たちを取り込んでいき、混乱した果てに崩壊へと突き進むさまを、〝ドイツの秋〟を巻き起こしていたバーダー=マインホフと重ねてじっくりと描き、それがナチスやホロコーストにまで及ばせる。別にそこまで深くしなくてもいいかとも思うが、重厚で鬱蒼とした画作りも相まって引き込まれる。ダンス映画としても秀逸で発表会の演舞シーンは圧倒的、それでいて終盤のゴア描写も手抜き無しでお見事。