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ジニーの家のなかで展開される各シーンは、人物の動かし方も台詞の書き方も、まるで舞台劇を観ているかのようだ。実際、演劇の意匠や約束事がそこにはちりばめられているし、観覧車のイルミネーションは舞台照明のような効果を上げる。けれどもほかの場所で展開されるシーンには演劇性がまったく感じられない。このアンバランスさは意図してのことだろうか。一方で、ジニーが若さへの嫉妬と焦りをむき出しにするシーンでは、映画ならではの武器であるクロースアップが断然効果を発揮。
諜報員は感情的であってはならないという戒めが呪いのように全篇を貫き、やがて、復讐のために組織を利用する双子のような男ふたりが対決する。説明台詞を最少限に抑え、あくまで行動で物語を語っていく点も、物語のスケール感も、「メイズ・ランナー」よりもさらに魅力あふれる主演男優の目ヂカラもとてもいい。見事に演出された長いクライマックスのなかで、「家族に会いたい」という台詞が不意に放たれる瞬間の素晴らしさ(およびその台詞の意味)は、ぜひとも劇場で目撃されたい。
この映画において「亡霊の存在を認めること」は、「恐怖を克服して物事を直視すること」「目をそらさずに過去と向き合うこと」に等しいのだと、観ているうちにやがてわかってくるのだが、「そんなことわたしは最初からわかってたわよ、いまごろ気づいたの?」と言わんばかりの微笑みを見せるヘレン・ミレンが魅力的だ。小道具を使った演出のタイミングの絶妙さも、クライマックスに西部劇の要素が入ってくるのも面白い。アヘン依存やサンフランシスコ大地震とからめてあるのもミソ。
状況説明もそこそこに始まる大活劇。明らかに第一次世界大戦映画を模している戦場シーンをはじめ、特に前半は、娯楽映画名場面集が超高速で展開されているかのよう。特撮にアナログ感を残しているのが嬉しく、虐げられた人々の闘いの物語になっているのもアツいけど、H・フォードじゃない人が演じていることを受け入れられるかどうか次第であるとはいえ、ハン・ソロが初めてミレニアム・ファルコン号の操縦席に座り、あの音楽が流れはじめたところから、やはり猛烈に感動してしまう。
小説や映画を通じていまや我々にも懐かしい50年代のコニーアイランドが舞台。「ミッドナイト・イン・パリ」の郷愁はなく、冷たい現実が前面に。遊園地のレストランで働くケイト・ウィンスレットや回転木馬の操縦士を勤める夫のジム・ベルーシ、ビーチのアルバイト監視員で劇作家志望の恋人ジャスティン・ティンバーレイクたちがそろって挫折感を抱えた人間で、それがウディ・アレン独特のリアルさで執拗に表現されているからだ。とりわけウィンスレットは適役で、男が引いてしまう熱演。
スペインのイビサ島でテロリストたちが観光客を無差別に乱射するところから映画は派手に始まり、ディラン・オブライエンは恋人を殺されてしまう。その復讐のために彼は、アラビア語を習い、武闘の訓練に励み、イスラム過激派へのコンタクトを計る。それがCIAに眼をつけられ、大活躍する話だから、荒唐無稽すぎるが、マイケル・キートンやサナ・レイサンが脇を固め、ローマなどロケ地が効果的で、アメリカ艦隊の核爆破まで用意されているので、スパイ・アクション好きにはお薦め。
ヘレン・ミレンが演じるサラ・ウィンチエスターは有名な銃器の発明により莫大な遺産をのこした男の未亡人。彼女が38年にわたり、昼夜、つくり続けた建物には銃により殺害された男たちの亡霊がとりつき、精神医(ジェイソン・クラーク)まで派遣される始末。事実に基づくというタイトルを見ただけで、わくわくしたのだが、隠し部屋や秘密通路などの美術に凝り、ホラー仕立てに話が進むと、黒衣を身にまとい、亡霊が見えるという、謎めいたサラ夫人の伝記映画が見たいような気がした。
ジョージ・ルーカス監督の「アメリカン・グラフィティ」に高校生として出演していたロン・ハワードがハン・ソロの青春物語を監督するというのだから感無量。オールデン・エアエンライク演じるハン・ソロはパイロット志望で銀河系を飛び廻っているが、恋人との間には第三の男が邪魔に入り、屈折も多い。チューバッカが支えてくれて、両者のやりとりがおかしい。映像と音楽、音響、美術が派手でスピード感のある演出だけれど、挿入される宴会や賭博の場面が銀河系の新風俗として楽しい。
キャラクター別に色味を変えていくヴィットリオ・ストラーロのカメラ、W・アレンならではのヒリッとしてニヤッとする台詞の応酬、そこで用いられる長回しにも魅せられるが、なにはともあれK・ウィンスレットである。「レボリューショナリー・ロード~」での彼女にも重なる役柄なのだが、たるんだというか、熟し切ったというか、くたびれたというか、年相応の迫力を醸す体つきと顔つきがキャラの凄みをも増幅。まさにヒロインとして物語を引っ張り、観ている者の心を持っていく。
「シャドー・チェイサー」や「ミッシングID」など、新進俳優主演の米製スパイ映画は陽性ものが目立つ。核爆発が絡むクライマックスのイージーぶりはいかにもアメリカンといった感じで呆れるものの殺伐とした空気に満ちており、D・オブライエンも終始死んだ目をしていてその濃度をグンと高める。だが、それによって悪役を嬉々として演じるT・キッチュのほうがまぶしく見えてしまったりするのだが。「オンリー・ザ・ブレイブ」でも光っていたキッチュだが、二番手俳優に回って正解。
ウィンチェスター・ハウス(CG製か)を空撮で捉えた的オープニングには燃えるが、〝地の利〟ならぬ〝家の利〟を活かしていないのがもったいない。隠し部屋&通路が無数にあった迷宮でもあったわけで、幽霊うんぬんの前に屋敷の異様さを恐怖のベースにするべきだがそれがない。従って単に幽霊が驚かせて暴れるだけになっており、さらに言ってしまえば24時間増築していて職人や業者がウロウロしているのも怖さを和らげている。ホラーを撮るには絶好の場所なのにピントがずれている。
出だしが監督の初期傑作「バニシング IN TURBO」していてアガるし、シリーズの西部劇精神を担う存在でもあるソロが主人公ゆえウエスタン的ムードも濃厚で◎。スピンオフこそ良い意味で壊れたものが観たいのだが、本線の「~最後のジェダイ」が本気で壊れていたので、そつなく仕上げるR・ハワードの起用は結果的に正解か。ただ、ヒロインが3年という空白に味わったらしい壮絶な日々、組織から足抜けできぬ状況などの描きが薄く、彼女をめぐるドラマが盛り上がらないのが残念。