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最近、女の子に生まれたかったと思うことが多い。フィンランドの夏休み、親友同士のオンネリとアンネリは、白夜で長い長い一日を好きなものに囲まれて過ごす。かわいらしい夏のワンピースに帽子やリボン。未亡人の店で、ブタの貯金箱ひとつを買うのも冒険だ。おばあさんから提供される「おうち」は、北欧のおしゃれな家具や小物、お人形やおもちゃであふれている。たとえ家庭に複雑な事情があっても、女の子には身近な楽しみがたくさんあるよね。と、うらやましくなる一本でした。
実話ではないが、10歳のオギーは遺伝子疾患で、顔面に異常のある姿で生まれてきた。そのせいで人前に出ることを嫌い、自宅学習をしている。そんな彼が小学校に初登校すると、案の定みんなの好奇の的に。アメリカ社会は弱者に冷たいが、一方で本作の両親やオギーの友人たちのように力強くサポートしようとする公正な人間もいる。心を動かされる場面が数多くある作品だ。また家族が弟のケアで忙しく、「いい子」に育つしかなかった姉のエピソードも物語に深みを与えている。
高校で「世界史」をとらなかったので損ばかりしてきた。中国史は「敦煌」と「ラスト・エンペラー」を観て、勉強した気になった口だ。この映画を観ると、漢民族中心の明や、満州族の清と政治的なバランスをとりつつ生き抜いた、17世紀前半の李氏朝鮮の姿が見えてくる。清の皇帝が送った軍勢に対して、朝鮮王と大臣たちが籠城した南漢山城はソウル近郊だから、こんな南まで攻めこまれたのかと驚く。本作のおかげで「丙子の乱」は頭に叩きこまれた。しばらく忘れないと思う。
ツボにはまるSF映画だっただけに、惜しかった点を列挙したい。世界が放射能に汚染され、映画の舞台となる谷だけが奇跡的に助かったのなら、一瞬だけ外の世界を見せたほうが説得力があったのでは。信仰心の篤い白人女性と科学者の黒人男性が生き残り、対立しつつ惹かれあう設定がいい。ベルイマンやタルコフスキーみたいに魂や精神の問題へと掘り下げられなかったか。三人目の闖入者が現れて、男女の三角関係の心理劇になるのは残念。設定をいかしたプロットにできたのでは。
事情は違うが両親に十分にかまってもらえない二人の少女が自分たちだけの家を買い、暮らすという奇想天外なストーリーに相応しく、主人公のオンネリとアンネリを含め、登場人物のキャラクターがバラエティーに富んで面白い。これらのキャラがひと通り出揃うと話の行方は見えてしまうが、カラフルなヴィジュアルとマジカルな仕掛けで楽しませてくれる。中年の恋あり、(アイスクリーム屋の)親子関係の問題あり。少女の夢の世界に大人の事情もちりばめられ、家族で安心して見られる。
なんて素敵な家族だろう。自身の魅力で人の心をつかむ主人公は、まさに太陽。内心では構って欲しいのに、両親の負担を忖度して良い子にしている姉。自分の夢を封印しながら、不満がましい態度は見せない母(ロバーツ◎)。どんな時もユーモアを失わない父。難病の子供を抱えた家族は、実際こうはいくまい。でもこんな映画もあっていいのでは?と、素直に見ていられる。当の少年、家族、学校、級友、保護者のそれぞれを、感傷に引きずられず終始抑制的に描ききったのがその要因だ。
よどみないストーリーの展開。人気と実力を兼備した俳優陣。安定した映像。これらの要素が絶妙に嚙み合った端正なスペクタクルである。対立する二人の大臣と王との政治的な緊迫を描く主筋に加え、鍛冶屋や孤児の少女を登場させ、観客の情感のツボを刺激する術を心得た緩急よろしき展開に、残酷な場面は辛いが、感心する。世界情勢が目まぐるしく動く中、惨状を極める日本の政治。テーマが発するメッセージはリアリティをもつ。歴史は過去でなく現代への道であり、無論未来に繋がる。
チェルノブイリか福島第一原発の事故後のような、人気が絶え荒廃した風景で始まったこの映画、放射能汚染の末に生き残った人間のディストピア系SFと思いきや、女性一人が犬と暮らす谷間にやって来た男性二人、三人のベタな恋愛劇だった。そうか原作で男女二人だった登場人物を三人にした理由はここにあったか。三人の俳優の役柄への誠実な取り組みは評価できる反面、プロットには隔靴掻痒の憾があり、原作を読んでみたくなった。ところで途中で消えた犬はどうなったのだろうか。
児童文学の良質な映像化。現実と非現実の境目が曖昧で理屈にとらわれない子供独特の世界を、大人の文法に当てはめることなく描いている。名前も髪型もそっくりで、色違いや柄違いの双子コーデで共に行動する二人は、自分の存在を肯定するもう一人の自分の姿だ。リアリティとは別の方向性で作り込まれた植物やインテリアはハイクオリティなままごとアートで女の子の夢。もちろん男の子が憧れてもいい。子供たちがラップ調で歌うエンディングテーマもかっこいい。子供の頃に観たかった。
特殊メイクとはいえそういう人にしか見えないジェイコブ・トレンブレイがまずすごい。誤解を恐れずに言えば一種の奇形だが完全に役と同化。その顔を初めて目にした三人の子供たちの反応も完璧だ。オギーが受け入れられていく様はE.T.がポップに見えるようになる感覚にも似ている。その上でこれは彼と彼を取り巻く全員の物語であり、学校や思春期、家族における人間関係の移ろいやすさや危うさを実に粋なやり方で細やかに描き出す。キャストは大人から子供までみんな素晴らしい。
国王を頂点に大勢の家臣同士が意見を闘わせる政治ドラマ。といっても一方向を向き「畏れながら申し上げる」的な会話劇が基本で、王の前では面を上げられないのだろう、常に俯き加減の伏し目がち。さらにイ・ビョンホンの役は朝鮮王朝時代の服装文化ゆえ室内でも帽子のようなものをかぶっている。ただ、それがメッシュ素材でその下の顔が透けて見えるのがポイント。一枚フィルターを被せたような影が出て演出的にも映像的にも面白い。大規模な戦闘シーンの映像はとにかく美しくて圧巻。
人里離れた場所にマーゴット・ロビー(ハーレイ・クイン!)のような美女が一人で住んでいて、そこに老人でも子供でもない成人男性が現れたら、何も起きないわけがない。それなのに男が言い訳ばかりしていつまでも煮え切らない態度なのは何とも不可解だ。そんな状態で第三の男(最初の男よりも若くて体格もいい)が登場すればもう悲劇は約束されたようなもの。クリス・パインが気の毒でならない。木材を水車にして発電装置を作ったりするのでDIYが好きなら楽しめるかもしれない。