パスワードを忘れた方はこちら
※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。
メールアドレスをご入力ください。 入力されたメールアドレス宛にパスワードの再設定のお知らせメールが送信されます。
パスワードを再設定いただくためのお知らせメールをお送りしております。
メールをご覧いただきましてパスワードの再設定を行ってください。 本設定は72時間以内にお願い致します。
戻る
公開年:
現在の文字数:0文字
氏名(任意)
オリエント急行でも釜山行きの超特急でもない、ごく日常的で平凡な通勤列車が、スリル満点のミステリーアクションの舞台に。このストーリーだと、謎の女が主人公をミッションに引きこむシーンを説得的かつ魅力的に描けるかどうかがまず第一の難所だが、そこをクリアしてからはもう一気呵成。ちりばめられたミスリードも嫌みなくて気持ちよくだまされ、列車の特徴を活かしたあれやこれやのアクションにも大満足。乗客一人ひとりの人生を垣間見る各瞬間のニーソンの表情も味わい深い。
意表を突く導入部からしてもう非凡なのだが、さらに、シーン相互のメリハリ、画面内の人物の配置、人物のちょっとした仕草や小道具、この内容をこの時間内で語りきること等々、すべてが天才の仕業としか思えない。アメリカ映画伝統の新聞記者映画の系譜に輝く傑作(全然「トム・ハンクス」に見えないハンクス!)であるのみならず、政治やビジネスから女が閉め出されていた時代に一介の主婦が経営者として自立する物語でもあり、彼女のさらなる戦いをほのめかすラストも洒落ている。
扇情的なシーンの連続にドギマギ(ワクワク?)する観客と、物語内の養成係の思惑とを鼻で笑うかのごとく、国家の望む娼婦になど決してなるまいとする誇り高きJ・ローレンス。でも露骨な嗜虐性もあるこの映画は、やはり一種の搾取映画なのだろう。スパイはそもそも自分の意図を隠して行動するものだからある意味仕方ないとはいえ、10センチ先も見えない濃霧のなかを、泥に足を取られながら進むかのような展開。ヒロインが米側に協力するところまでやってくれば、それなり面白くなる。
「セントラル・インテリジェンス」に続き、10代の子たちにぜひ観てほしいと思える映画にまたも出演しているロック様である(今回はプロデュースにも参加)。というのも、これは実質的にジュヴナイル映画なのだ。もちろん10代でなくても楽しめるわけで、ゲームの知識も、ドラクエ程度がイメージできれば充分。現実世界では友人になるはずなどなかった女子ふたりが、ゲーム世界のなかでお互いを理解し、尊敬し合うくだりにぐっと来る。中身女子高生のJ・ブラックの愛おしさときたら!
保険会社をリストラされたばかりのリーアム・ニーソンが家族のためによれよれになるまで大暴れするのが切ないサスペンス。ニューヨークの通勤列車が舞台で、職業も人種も雑多な人たちが乗り合わせていて、誰もが怪しい人物に見えるのが面白い。悪の張本人は今ではお決まりの官僚組織だが、その巨大勢力を背景にしないと、列車内の仕掛けやクライマックスの転覆事故に説得力が生まれないのだろう。ニューヨーク・ロケはしていないのにセット撮影で臨場感はあり、演出の切れ味もいい。
トランプ大統領とジャーナリズムの対決を反映してか、「ザ・シークレットマン」に続き、またもニクソン時代を舞台にした作品。ニール・シーハンという日本でも有名なニューヨークタイムズ記者を相手に地方紙ワシントンポストの女社長メリル・ストリープの苦闘する姿が、さすがスピルバーグの演出だけに明確に浮き上がる。彼女を支えるトム・ハンクスも敏腕な編集者を熱演し、観客は「憲法修正第1条」の勉強になる。ベトナム戦争とそれに続く70年代はスピルバーグ登場の時期だった。
冒頭、ジェニファー・ローレンスがボリショイ・バレエ団で踊りまくる場面と夜の闇に怪しげに浮かぶジョエル・エドガートンの姿が交互に映し出されて、わくわくする。直後、舞台で大ケガしたヒロインは叔父の勧めで、ロシア諜報部の女スパイとして生き抜こうとするのだが、その養成学校の教官として登場するシャーロット・ランプリングがハニー・トラップの技術を徹底的に教え込み、見ていて怖い。原作者が元CIAだけに、事実告白のために加えるサディスティックな行為が妙にリアル。
ゲームオタクが映画ファンと重なるかどうかはともかく、男女高校生4人が呪われたテレビゲームの中に吸い込まれるというSF仕立てが、アメリカではヒットしたそうだけれど、日本の観客動員はどうなるか。ジェイク・カスダン監督の父、ローレンスは「白いドレスの女」など、起承転結の布石のある娯楽の作り手だったが、こちらは一瞬後にはどうなるか分からない事件の連続に終始する。ゲーム感覚だからキャラクターは単純で、密林の風景と襲いかかる野獣やオートバイ軍団も明快だ。
〝見知らぬ乗客〟から〝見知らぬ乗客探し〟を持ち掛けられるのをはじめ、ヒッチコック映画における列車の絡んだアレコレを詰め込んでいることにまずはニヤリ。車内でL・ニーソンが繰り広げる活躍はS・セガールの「暴走特急」レベル並で結構とんでもなかったりするのだが、いかなる状況でも通勤カバンを肩掛けしている〝お父さん感〟がそれらをいい塩梅で相殺している。輝ける場所を失った壮年期男性の切なさが物語に効いているのも◎。とにかく、この監督&主演コンビに外れなし。
庭では優雅なパーティーが開かれ、窓を挟んだ部屋では神妙な会話が。そんなシーンを筆頭に、ドアや窓、空間の奥行きを活かしまくった、レイヤー感全開の画面構成と演出が炸裂しており、改めてS・スピルバーグと撮影J・カミンスキーの鉄板コンビネーションを震えながら堪能。スクープ掲載をめぐり、内線と外線を交差させて数名が繰り広げる喧々諤々かつスリリングな議論は、これまたスピルバーグとは長い名編集者M・カーンがその腕を遺憾なく発揮。テーマ的にもタイムリーすぎる一本。
ジェニファー・ローレンスのドタドタしまくったバレエ・シーンには軽く面食らったが、それ以外は満点。ゴージャスな肢体とそれを惜しげもなく披露する姿はハニートラップ専門工作員という役柄に説得力を持たせており、あの恨めしそうで負けず嫌いそうにも程がある顔は後半の展開に抜群の効果をもたらしていく。エスピオナージュと復讐に重きを置いた話なので派手なドンパチはないが、その代わりとばかりに刃物を駆使した立ち回りを用意。これが観る者の痛点を刺激しまくって◎。
居残りを命じられた高校生たちが、怪しげなゲームを発見。『ブレックファスト・クラブ』を想わせる取っ掛かりとキャラ設定ゆえに、ジョン・ヒューズ的世界とVFXアドベンチャーの幸せな融合になるのかと期待したがツルッと観られる程度の仕上がりに。難関の数々もことごとく軽くクリア、個々が抱えるコンプレックスも励まし合う程度で解消といった感じでドラマはシリーズ前2本よりも薄いというよりも皆無。とりあえず、J・カスダンの快活な演出とD・ジョンソンの快演は楽しめる。