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ジョン・ウーってこんなだったかと戸惑うくらい、カットつなぎが落ち着かないわ、アフレコや音響がいびつだわ(特に序盤)で、なかなか映画に入っていけなくて困るのだが、そもそも下敷きになっている「君よ憤怒の河を渉れ」自体、ウェルメイドな正統派娯楽映画というよりも、いま観ると豪快さが魅力なのだから、その作品に対する愛と敬意の表現として、このやり方は正解なのだろう。チャン・ハンユーが舟から橋に飛びつく瞬間と、福山が日本刀を抜くまでの一連のアクションに感動。
息子が怪物的な父親と血塗れで激闘する話かと思ったら、開巻その父親が骨折したと言っていきなり泣き喚いているし、一家の悪事の全貌はまるでわからないし、アクション演出もほぼ皆無で、奇妙な穏やかさが全体を覆う。犯罪映画だと思ったわたしが間違っていたのであって、これは、父親であることの厄介さなどを描いた家族劇なのだ。ある意味、モーテンセン主演の「はじまりへの旅」のアナザーバージョンのようでもある。主題を展開しきれていないもどかしさもあるが、味わいは面白い。
凄い。この字数では凄さを説明しきれないので「とにかく観て!」で済ませたいが、一端だけでも説明を試みるなら、アクションの凄さは言うまでもなく、ファーストシークエンスで視点が切り替わる瞬間は魔法のようであり、バイクバトルのシーンでもやはり視点転換の瞬間がめざましく、そもそも時制の行き来の見事さからして、これは素晴らしい「スイッチング」の映画だと言える。ピグマリオンやスヴェンガリの物語の系譜(「マイ・フェア・レディ」等)の複雑かつ感動的な変奏でもある。
実写と見まがうリアルなCGアニメーションで描かれるSF活劇。長期的な視座に立った判断や、理念や大義などではなく、ただ支持率の上昇だけを目標として外部に敵を捏造する自己愛モンスターの女性司令官が何よりコワい。彼女との対決を最後まで引っぱったりせず、残り3分の1の時点でほぼ決着させ、あとはバグとのバトルに注力するという構成は爽快。まるきりぽんこつだった小隊が、いきなりの実戦のなかで成長していくのは、既視感ありありの展開だけどやはり悪くないものです。
ジョン・ウーの日本映画への造詣と西村寿行の原作にあるアクの強さが出ていて、中国と日本のスタッフ・キャストが協力して作っただけの価値はある。チャン・ハンユーと福山雅治のコンビは、監督が得意とするハトの群れが舞うなかの派手なアクションなどをしっかり演じている。倉田保昭から斎藤工まで脇にも配慮した演出もさすが。女の殺し屋たちがサイドスートリーとして効果をあげているのだが、しつこく主人公たちをつけ狙う、太った体でコミックな女優が監督の愛娘で、一家総出だ。
草原を子どもの運転する車が野兎を追いかける迫力たっぷりの場面で始まり、着いた先はトレイラーハウス。犯罪を生業とする、三代の家族とその周辺がテンポよく紹介される。舞台が現代イギリスの一画であるということにまず驚く。以下に続くマイケル・ファスベンダーと父ブレンダン・グリーソンのやりとりがいい。知的なせりふで学校無用論を唱える父と自分は学校へ行きたかったと言う息子。妻リンゼイ・マーシャルと共に子どもの教育を願い、家族愛は人一倍。配役が絶妙で脚本は文明論。
チョン・ビョンギル監督はスタントマン出身というだけあって、冒頭のキム・オクビンが敵陣に襲いかかる、ワンショットの長回しに見えるアクション撮影は工夫が行き届いている。以下に続くヒロインの復讐物語も最近の韓国映画らしく、過激さを競うようで、その荒唐無稽な展開に少々あきれる。その中で全てを上から仕切る国家情報院幹部キム・ソヒョンの知的な佇まいが目立つ。最後は意外な事態となり、オクビンの美しい肢体はもはや人間かゾンビか、分からないくらい不死身の動きに。
ヴァーホーヴェンの第1作では数量が多く個性のない外敵と戦うシーンが無気味だった。荒巻、松本両監督もその原点にかえり、トゥルーパーズが火星の砂漠をやってくるバグの大群と死闘を演じるシーンを見せ場にしている。火星が地球の植民地になっていて、歴戦の戦士ジョニー・リコはそこに左遷。一方、支持率を背景に地球ファーストを唱える女性司令官エイミー・スナップが地球をバグから守るために火星の破壊を主張するところなど、日米の政治家像を反映していて笑いをとるのだが。
車が激突して大破した鳩小屋から白い鳩が一斉に飛び立つなんてのを筆頭に、どこを切っても〝あの頃〟のジョン・ウー節が炸裂している。30年前と変わらぬタッチや筋運びを繰り出してくれるのはファンにとっては嬉しい限りだが、現在の感覚からするとハチャメチャな映画にしか思えなくなるのではという気も。オリジナル版もなかなかの破天荒さを誇っているので、監督にウーというのは間違ってはいない。彼の愛娘アンジェルスが凄腕の殺し屋を演じているが、体型に説得力がない。
クライム・ムービーに毒親というテーマを絡めて、とりあえずドラマ寄りにしました。という感じだがよく絡んでおらず、どちらかのジャンルに絞って観てみようとしても中途半端になるだけ。かといって、父親と息子の愛憎、家族のしがらみをしっかりと描いているわけでもなく、カー・チェイスも英南西部の田舎をただ突っ走るだけなので燃えるわけもでない。バブアーらしきオイルドジャケット、チェック柄のボタンダウンシャツ、チノパンというファスビンダーの英オヤジ全開な格好は◎。
ヒロインによる大殺戮が彼女の主観で捉えられ、鏡張りのジムに入ると視点が客観へシフト。ワンカットなうえ、当然だが鏡には撮影クルーは映り込まず。この冒頭を含め、「どう撮っている?」と驚愕しつつもあれこれ推測したくなるアクションが詰まった124分。青年諜報員との韓流チックな恋模様に面食らうも、それが後半で物語と観る者を熱くする燃料としてキッチリ作用する。任務をこなす悪女、恋する乙女、復讐に燃える狂女と、ヒロインの変化を熱演するK・オクビンも素晴らしい。
権力者の政治的取捨選択によって火星が見捨てられるという展開には前作「~インベイジョン」には皆無だったテーマ性やシニカルさを感じるものの、別にガツンと響くわけでもない。SFアクションと割り切って観てしまえば、「スターシップ・トゥルーパーズ」ミーツ「エイリアン2」チックな作品として楽しむことができるが、その程度は88分が88分に感じられるくらい。まぁ、ウリは実写版オリジナル・キャストのキャスパー・ヴァン・ディーンとディナ・メイヤーの声優参加くらいか。