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天才の才能は誰のものか等、さまざまな論点を考えさせる物語。視線を合わせるか否かに気を配った繊細な演出が印象的で、登場人物が背負ってきたものを想像させる奥行きがあり、柔らかな画面も美しい。重大なネタバレを回避するためぼんやりした言い方になるが、数学の問題の証明は、発表後に相当長い検証期間があり、そのあいだ提起される疑義にすべて打ち勝ってようやく認められる(期間中に欠陥を指摘され、証明を取り下げた例もある)ということを、鑑賞前に知っておくとたぶん吉。
悪霊からオカルト的側面や宗教的側面を取り払い、ごく合理的に「実体を持たない寄生体」と呼ぶ主人公。「インセプション」的風味を加えた以外は、われわれの現実の延長のような科学的アプローチで悪霊祓いに取り組むのが面白い。ワイルドな風貌とこざっぱりした風貌の両方のA・エッカートが楽しめるほか、特に背景が語られることのない端役である若い助手ふたりまでもが外見だけで内面的魅力を発散しているのをはじめとして、男女ともども魅力的な演者がそろい、画面を活気づける。
ごくごく短いものである原作小説を大胆に拡張。その結果、ある種のパンク好き文化系少年が妄想をこじらせてノートに書きがちな話みたいになっている。なのに、というよりもそれゆえにか、知らない人も興味をそそられるぐらい当時のパンク・カルチャーを魅力的に活写する、ということにはさほど関心がなさそう。しかしその一方で、異星人のさまざまな文化や行動が、当時の(アートシーンを含めた)想像力の産物に見えるのが面白い。エピローグ部分はありきたりながらちょっとほろり。
家族や忠誠心を人質にされて忍従を強いられていた者がついに爆発し、勝ち目のない殴りこみをかけるという任侠映画形式。とはいえ実際の歴史どおりそのあとちゃんとカタルシスがあって、ここに至ると、あまりの盛り上がりにもはや涙で画面が見えない。権利が制限されていた時代を記憶している国が持つ強さというものも考えさせられる。登場人物はおおむねステレオタイプ気味だが、たたずまいからして圧倒的な主演男優をはじめとして、親友の記者役、後輩刑事役の俳優も強い印象を残す。
数学の才能は遺伝するものという想定のもとに、三代続いた天才一家の家族の物語を着想したトム・フリンの脚本がいい。天才少女をみごとに演じるマッケナ・グレイスの異様な才能を見ているうちに、「普通」の子に育てたいと願う叔父のクリス・エヴァンスの「健全な」行動がじれったく見えてくるように作劇されている。そこへリンゼイ・ダンカンの貫録充分な教育バアさんが登場してきて、てんやわんやとなる構成も巧い。天才教育、是か非か。トム・フリンはハリウッド調の結末をつけた。
アーロン・エッカートがアル中で車椅子のエクソシストを力演。フリードキンの古典からは、はずれようとする意図があり、宗教的祈禱師も登場しない。ドクターは悪霊に憑依された少年を、彼の潜在意識に入り込んで、いわば「科学的に」除霊しようとする。助手の男女が喜劇的でコンピューターの画面を見ながら、秒数を計り、「もう間に合わない」と叫んで、悪霊との闘いのサスペンスを盛り上げる。エクソシストものらしい瞬間的な恐怖映像もあるが、笑ってしまうところも多いホラー。
和泉聖治監督「魔女卵」の脚本で、セックス・ピストルズとナンシー・スパンゲルのことをセリフに書き、いろんなことを言われてしまったが、これは77年イギリスのパンクロックを正面から取り上げ、選曲、ファッション、風景、アニメに至るまで、好きなひとにはたまらない部分が、ごったに詰め込まれた作品である。エイリアンの女の子エル・ファニングが地球に来て、アレックス・シャープと愛し合う喜劇のなかに、ニコール・キッドマンがパンクの精神的支柱として堂々と登場するのがいい。
『釜山港に帰れ』の歌が日本でもヒットして、その映画化の脚本を書くために八四年初頭、韓国に行った。結局、日韓合作はまだ無理な時代で、この映画の雰囲気は分かる。冒頭の学生たちが逮捕されていく場面から、ヒョンジュ熱演の刑事が年老いて、裁判される場面まで、ボンハン監督の時代の切りとり方には感動した。ベトナム戦争の影響や階級的視点も物語に組み込み、新聞記者と公安警察関係の配役、街の雰囲気、すべてに現実感とサスペンスがある。ラストシーンのデモ行進も泣かせる。
大作を手掛けるのは「アメイジング・スパイダーマン」2作で充分だとマーク・ウェブは思ったのか、たまにはキャプテン・アメリカの衣裳を脱ぎたいとクリス・エヴァンスは思ったのか。本心は定かでないが、そんな両者の気持ちを反映したかのような小品ドラマではある。テーマも悪くはないし、いい按配で人情味を利かしてはいるが、甘からず、辛からず、かといってとりたてて美味からずといったところ。子役の顔が作り物のような美しさで、このへんものめり込めなかった原因か。
十字架、聖水、聖書を使わず、憑依された者の意識下に潜り込んで悪魔を追い出す主人公。POVスタイルや法廷劇の要素を取り入れるなど、趣向を凝らした悪魔祓いホラーは多くなったと思うが、これはかなりの新鮮さを感じた。とはいえ、そのメカニズムは劇中の説明を聞いてもデタラメ感が甚だしく、主人公と悪魔の因縁の根源もいまいち説明不足。しかし、そこはノリ勝負の快作「カリフォルニア・ダウン」を放ったブラッド・ペイトン。あの勢いで突き進むので、スルッと頂けてしまう。
パンク・ムーブメント華やかなりし77年が舞台だが、同年は「未知との遭遇」の製作年でもある。とすれば、これは宇宙人が初めて愛というものに触れる姿を描いた彼ら側の「未知との遭遇」になるのでは(だが、英での公開は78年)。などと勝手な想いをめぐらせて軽く興奮したものの、パンクのファッショナブルな部分だけを抽出した姿勢がなんだか鼻についてのめり込めず。はなからそれを狙っているのはわかるが。ゲロしまくるもガーリーな魅力が消えない、E・ファニングはたいしたもの。
華城連続殺人事件をモデルにした事件を登場させ、そこに軍事政権下に悪名を馳せた国家安全企画部の暗躍を絡めていく。そんな物語にハートの導火線にはバチバチと火が点き、さんざん酷い目に遭わされた主人公が拳銃を手に立ち上がる頃には完全燃焼or大爆発……になるはずだったが、突如として〝泣き〟を重視したドラマへと舵を切り出すので面食らってしまった。それも韓国映画では定石の展開ではあるが。「アシュラ」的ノリが大好物の者にとっては、すさまじい寸止めを喰らわされた感じ。