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設定は純然たるSFだが、やりたいことは別にSFではない、という最近ありがちといえばありがちな作品。では何がやりたいのかといえば、三十年離れた同じ人物を演じるキム・ユンソクとピョン・ヨハンの〝シンクロ〟だろう。二人の男優のルックスはかなり違うので、演技というか動作で似せるしかない、とも言えるが。原作者ギヨーム・ミュッソは他にも映画化作品があるフランスの人気作家だが、アイデアとしてはSFでも、やりたいことは別にSFではない、というタイプの作家です。
シャーリーズ・セロン、カッコ良過ぎ! 策謀渦巻くドンデン返し連続の物語よりも、次から次へと過激極まりないアクション場面が続くのに瞳孔が開きっぱなし。ノリとしてはちょっと「フリー・ファイヤー」を思い出しました。相当に血塗れだが「ハードコア」ほどグロくはないのが救い。回想形式を取っているのに語りの速度が停滞しないのが良い。ジェームズ・マカヴォイは彼としてはまあまあかな。それよりジョン・グッドマンがすごく良い。この人は脇役でもいつも何かしら仕掛けてる。
ジェシカ・チャステインが演じる女主人公の闘いのテーマが銃規制で、期せずして重要な意味を持つことになってしまった。こういう作品が作れるところがアメリカの良いところだ(ニッポンでは絶対に不可能。少なくともこんな規模とキャストでは無理)。題材は社会的だが、映画としては広義のコンゲームものであり、その意味でも良く出来ている。元弁護士の女性のシナリオ一作目が映画化というサクセスストーリーも興味深い。チャステインは「ゼロ・ダーク・サーティ」の時を彷彿とさせる。
一種のディストピアSFなのだが、基本的なアイデアが面白い。厳格な「一人っ子政策」が施行された未来で、偶々生まれてしまった七つ子が、自分の名前と同じ曜日にだけ外出し、ひとりの娘を演じることで生き残りを図る。とにかくノオミ・ラパスが無茶苦茶頑張っている。というかこれは彼女を見るための映画だ。まったく異なる7人のキャラを巧みに演じ分けてることだけでなく、ド派手なアクションが売り。ストーリーの展開には無理やご都合主義が目立つが、まあそこはそれということで。
黙っていればイケメンに見えるのに性格俳優の道をひた走るピョン・ヨハン。本作では比較的等身大の青年らしさを好演しているが、そもそも論で、この物語で現在の自分が過去の自分と接触する意味がよくわからない。せっかく一人の人間を二人に分けたのにほぼ独り相撲。ヒロインの人格や人生を無視した選択や決定も自己満足の疑いを濃くする。他人のために自分を犠牲にする行為には、必ずしも美談だけでは済まされないエゴイスティックな側面がつきまとうことを、忘れるべきではない。
東西冷戦下のドイツに漂うアンダーグラウンドなムードがたまらない。各国スパイが暗躍する恰好の舞台。その時代と街の申し子のように胡散臭い雰囲気をまとった、そこはかとなくチャラいマカヴォイの悪ノリも絶好調だ。そんな中で孤軍奮闘するセロンは常に傷だらけ。ピンヒールに家具やフライパンまで手近にあるものは何でも武器にして闘うアクションは、華麗というよりも妙に生活感にあふれ、死が日常の一部となっているスパイのドラマを痛々しくもハードボイルドに彩るのだ。
ジェシカ・チャステインの演じるロビイストがほとんど歩く凶器。通り過ぎるだけで赤い口紅とハイヒールが文字通り威嚇する。上司にも部下にも同僚にも友達にもなりたくないタイプ。そんなキャラクターの裏表を敢えてか否か掘り下げず、とことんアクの強い人物として貫き通した見せ方は潔い。彼女の豪腕による勝ちっぷりが勇ましい反面、目的が正義にすり替わりそのためには手段を選ばぬやり口さえも正当化されていく彼女の生き方にきまりの悪さを感じるのもまた一興。
シャマランの「スプリット」を思い出させる一人多役もの。ドラゴン・タトゥーの女ことノオミ・ラパスがマカヴォイの偉業に迫る。が、あまりにもマッチョなキャラクターが板につきすぎて、人格のバリエーションがマッチョ枠内のそれに偏りがちな様子。よって混乱しがち。姉妹全員で力を合わせるという大義がドラマ上でも映像表現においても実現していないのも喰い足りない。かつ敵の攻撃が非情かつ大胆すぎてひいてしまいそうになるけれど、ラパスのアクションは楽しめる。
過去に戻って昔の自分を殺したら、果たして現在の自分は存在するか? タイム・トラベルものの永遠のテーマで、この映画をはじめ、ほとんどがそのバリエーションだ。特撮やCGに頼らず、30年の時空を超えた、ノスタルジックなメロドラマだ。過去を変えれば現在の大切なものを失うと知る主人公の切なさをキム・ユンソクは好演している。現在の自分と過去の自分が対面する芝居が見所だが、観客はすべての事情を知っているからサスペンス、緊張感が発生しない。一工夫欲しいところだ。
冷戦下のベルリンが舞台だがジョン・ル・カレ風のシリアスなものではなく、まさにジェイムズ・ボンドの女性版で、シャーリーズ・セロンの肉体演技を徹底的に見せるアクション映画だ。ベルリン脱出の7分強をワンカットで撮ったハードなアクション・シーンはこの映画の白眉だ。一発勝負の撮影現場で、最も精神的肉体的に負担の大きいのは俳優で、それを見事にこなしたセロンに拍手したい。最後まで、ひねりを利かせたストーリー展開はサービス過剰気味だがとにかく楽しい。
オリジナル・シナリオの処女作というから、何の制約も受けずに自由に書いたのであろう、そんな魅力が十分に伝わってくる映画だ。睡眠時間を削り、クスリをポリポリ囓りながら、勝ち目のあるビジネスにひたすら邁進していくロビイスト。面倒な異性関係はコール・ボーイを呼んで金銭で処理するという鼻持ちならない女をJ・チャステインはチャーミングで迫力ある新しいヒロインに作り上げている。銃規制法賛成の彼女の姿勢がビジネスなのか信念なのか?最後まで引っ張るのもうまい。
ノオミ・パラスが1人7役というアクロバティックな設定の未来アクション。一人っ子政策を推進するディストピアで、七姉妹が一人の人物であるかの如く装って生き延びていくというお伽話的設定は面白い。ただし悪役が完全武装の軍隊だけというのはアクション映画としてもいささか単調。折角グレン・クローズを使っているのだから、人類の未来を憂いているなどという人格設定は裏話にして、殺戮集団を率いて直接姉妹たちに迫る極悪ぶりをたっぷり見せてくれなきゃ面白くならない。