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おばと二人暮らしの少年が、複数の父親的存在(敵であるトゥームスも含む)に鍛えられ成長する物語。青春コメディとして出色の楽しさで、派手なアクションもその流れに無理なく組みこまれる。T・ホランド演じるピーターは人の心をたちどころにつかむ魅力を発散、親友ネッドとのオタク秀才コンビも最高。端役にまで味のある演者が配されていて贅沢。現実のNYの名門校の実情を反映してか、生徒の民族構成の多様性も面白く、「グランド・ブダペスト・ホテル」のT・レヴォロリも出演。
あまりお金を使わずに面白い映画を作る上手い企画を考えたものだと思うし、ずいぶん意地悪な話を考えたものだとも思う。でも気になるのは、遭難後の姉妹がいわゆる「心の声がダダ漏れ」な勢いでずっとしゃべっていることで、ボンベの酸素がなくなるんじゃないかと、映画が用意したサスペンスとは関係ないところではらはらしてしまう。台詞がないと観客に状況が伝わらないと考えてそうしたのだろうけど、画面でわかることをわざわざ口にしている台詞も多く、何とかできなかったものか。
すごいことを考えたものだと思うが、それを具現化できているのがなおすごい。「ミュージカルみたいな映画」ではなく「ミュージカル映画」だと断言したい。カーチェイスや銃撃戦が音楽に合わせて振り付けられているのもゴキゲンだが、歩いていくベイビーを移動撮影で追いかけるタイトルバックがすでに見事なミュージカルナンバー。そして数々の男女逃避行映画の名作の記憶を喚起しつつフィナーレへ。物語面でも「名前」や「逃避」の主題がちりばめられ、読解への欲望をかきたてられる。
ヒロインは強く賢く美しく、クリス・パインとのコンビはもう可愛すぎていかん。仲間たちの設定も魅力的で、印象的な場面もあり。でも素材のポテンシャルが充分引き出されておらず、期待したほどフェミニズム方向に振れてもいない恨めしさ。「愛」で済まさずもっと悩んでほしかった(作り手が)。アクションシーンで特に顕著だが、つなぎ間違いに見える箇所が多いのも気になる。ところで、大詰めでヒロインと女化学者が対峙する場面には、厄介な問題が含まれていて考えこんでしまった。
興味の焦点はスパイダーマンとして戦うピーター・パーカーが青春真っ盛りの高校生だということ。演じるトム・ホランドの爽やかさと動きがよく、彼を取り巻く多様な人種からなる人間関係も目配りがきき、知的な演出だ。冒頭、アベンジャーズの戦いにより崩壊したニューヨークのビルで、エイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)たちが廃墟の残骸回収をしている。だがその仕事を政府系の会社に奪われ、恨みに思うという布石も現代的。マーベルの多彩なヒーローは期待がもてる。
陽気で軽い感じのクレア・ホルトが失恋して陰気な姉のマンディ・ムーアを慰めるためにメキシコ旅行に連れ出すまではまともな話だが、サメ見物のために一見してワイヤが老朽化し、危なっかしいケージに乗り込むあたりから、予想通り、無思慮な娘たちに災難が襲いかかる。監督はダイビングに詳しいらしく、酸素の温存や急な浮上が潜水病を招くことなど、次々に危険な課題を映像化してみせ、それにこたえてヒロインのホルトも頑張る。だが広い海が密室となり、観客は疲れはてる。
カーアクションのみごとさもさることながら、まず選曲が抜群なことに感動。耳に障害をもつアンセル・エルゴートがプレイリストの好きな音楽を聴きながら、ギャングの逃走専門のドライバーをするというキャラクターもいい。ワンショットで逃げまくり、頑固そうな表情の一方で、美しいウェイトレスのリリー・ジェームズには純情を捧げるあたりの、動から静への演技も巧い。フィルム・ノワールに必須の悪の脇役にケヴィン・スペイシーを配したところなど、エドガー・ライトの演出の確かさ。
奇妙なコスチュームをまとい、正面から堂々と立ち向かってくる大柄なガル・ガドットのポスターを見ただけで、わくわくした。期待通り、女性が主人公の古いコミックに女性監督が本気で取り組み、見応え充分。冒頭、女性だけが住むパラダイス島の場面が長いので、どうなることかと思ったが、この美しいアマゾネスの国をていねいに描くことにより、あとに続く、第一次大戦下のロンドンのごみごみした雑踏に驚き、戦争に夢中な人間たちにあきれるワンダーウーマンの気持ちがよく分かる。
悲痛を極めたS・ライミ版、哀感の漂うM・ウェブ版を通過し、スパイダーマンはそういうものという概念が形成。さらにJ・ワッツは殺伐としたタッチがウリ。それゆえに今回もダウナーなものを覚悟&期待したが、カラッとした青春劇に。アメコミ映画がシリアス一辺倒になっているだけに、一巡してこのタッチが新鮮に感じられた。蜘蛛に嚙まれて云々とか、ベンおじさんの存在などを「説明いらないだろ」とばかりにスパッと切り落とし、メイおばさんをイケている美熟女に変更という解釈も◎。
気合いを入れて泳げば助かるかも。そんな希望を観ている者にも抱かせる〝海底47m〟という状況設定は秀逸。加えて、ダイビング業者を装備的にも人格的も信用できないように描くことでもスリルを盛り上げており、無線だけのやりとりで表情が窺えないこいつらの動きにはサメ以上にハラハラする。スタジオのプールも使ってはいるだろうが、ほぼ全篇にわたって水中シーンという根性にも敬礼したくなる。だが、気弱な姉の成長を見せつけておいて、それを完全に活かせず終わったのは残念。
ハンドルを握る時はカーナビの音声よりも音楽をガンガン流したい。ペーパードライバー歴20年だが、そう考える自分にとって音楽に乗せて派手なチェイスを見せつける監督の主義には大共感(エンジン&ブレーキ音だけのもの好物だ)。あれこれ元ネタを探りたくなる従来のタッチに、王道的なボーイ・ミーツ・ガールとビルドゥングスロマンの要素を巧みに融合させてマニア層以外も楽しめるようにしたハイブリッド感も心地良し。「太陽を盗んだ男」の文太と並ぶ不死身ぶりを誇るJ・ハムも最高!
女性たちの活躍を阻んでいる紳士を自称する男どもを、ダイアナが腕っ節の強さ、頭の切れ、凛々とした勇気をもってコテンパンにするのを大いに期待。だが、台詞で男社会を揶揄するくらいでそっち方面のカタルシスはガツンと得られず。一緒に戦地に赴く仲間たちの辛い出自を匂わせるも、それをキャラ造形や展開に活かし切れていないのが残念だ。ただ、男性市場全開のエンタメ映画界に後続の道をブチ開けた監督&主演の快挙というか功績に関しては★5。ロビン・ライトには眼福至極。