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こういうテレビドラマ的としか言い様の無い映画ってどうにも乗れない(テレビドラマを差別してるわけではありません)。ひたすらわかりやすさと観客誘導に傾注したカット割りとカメラワーク、安っぽいセットと照明だけで引いてしまう。ヒネクレた詐欺師の兄と試合中の事故で失明した純粋な弟の関係も、観客の期待と予想通りに推移する。とはいえ兄のチョ・ジョンソクの演技は実に達者だし、弟を演じるEXOのD.O.とのバディぶりも悪くない。ラストはつい貰い泣きしてしまいました。
テッド・チャンの原作『あなたの人生の物語』はSF史上に残る傑作短篇だが、脚本のエリック・ハイセラーと監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは物語の核心と骨子を残しつつ大胆な映画的アレンジを施している。その結果、この作品は原作に劣らぬ傑作となった。SFとしての道具立てはかなり簡略化されており、展開は淡々としていて派手さは皆無だが、ラストに待ち受ける驚きと感動は格別。目線の高い作品だと思う。主演エイミー・アダムスがとても良い。ヨハン・ヨハンソンの音楽も素晴らしい。
ベン・アフレックの映画職人ぶりが遺憾なく発揮された佳作。一本筋の通ったギャングの一代記で、製作総指揮にも名を連ねるデニス・ルヘインの原作は渋めなのだが、監督アフレックはテンポの良さと演出のメリハリで見せ場の多い作品に仕上げている。主人公のライバル(?)となるエル・ファニングが印象的だが、彼女のルックスを逆手に取ったキャスティングの勝利だろう。だがこの映画を真に支えているのはファニングの父親を演じるクリス・クーパーをはじめとするオジサンの脇役陣だ。
イタリアの笑いのツボって、ニッポンとは随分違ってる。細かいくすぐりに満ちたこのコメディーを観ていると、そのことばかり考えてしまう。笑ってしまうこと、笑ってはいけないこと、笑っていけないから笑えること、等々の線引きが、わが国とは相当に異なっており、道徳観と言語の違いなんだろうな、と思う。要するにニッポン人の私には笑えないが、これはイタリアではすごく可笑しいんだろうなと思える場面が目白押しで、笑えはしないが考えさせられた。その意味で興味深い作品だと言える。
昨年の韓国公開時に観たときは、落ちこぼれの兄と優秀なスポーツマンの弟によるドタバタコメディーといった風情の予告篇とビジュアルで宣伝イメージが管理されており、そのような映画だと思い込んでいたら驚いた。本篇でも弟の失明という深刻な事態がわりと軽妙に扱われており、後半の展開から目をくらませる描写トリックになっている。一本に複数のジャンルを詰め込んで意外性をねらった作りは昨今の韓国映画に多く見られるが、その分大きなまとまりには欠けがちなのが惜しい。
脚本の構成と編集がまずすごい。それに連動したテーマとなる概念をビジュアル化した文字とその形態、無重力空間の撮り方、音の使い方。いろいろとつっこみどころはあるがそれも含めて新しい映像体験であることに変わりはない。また、ドラマの行方を左右する局面での中国のポジションが、今の国際社会における中国のそれと多分に関係しており、政治的にも映画を含む産業的にも如実に反映されている(作品に込められたメッセージというより現実問題として)ところに強い時代性を感じる。
監督・脚本家としてのアフレックの手腕が冴え渡る。ギャング稼業の非情な世界を彩るアクション、1920~30年代のアメリカのクラシカルな色みや町並みの撮り方には品があり、痺れるほどかっこいい。特筆すべきは役者のアップの多用。顔面の力で活劇を見せられるのは、やはり俳優出身の監督ならではの実力か。聖女とも魔女ともつかないエル・ファニングの特異な芝居も必見だ。劇中でアフレックが発する「高くついた」というセリフに仕掛けられた伏線の重みといったら!
公務員の職に固執する男というだけで映画全体を引っぱれるケッコのキャラクター造形と、演じるザローネの存在感が強烈。彼の人間性からくる規格外の行動、スラップスティックなドラマの展開、それを見せる映像テンポの連携プレーでとてもよくできたイタリアンコメディーとなっている。行く先々でケッコを取り巻く人々も負けず劣らずクセ者揃いだがギャグの処理もスマート。ケッコの赴任先の各国各地が舞台となっているため、フィールドワークムービーとしても楽しめる。
前科十犯の詐欺師の兄と失明した柔道家の弟が再会し共同生活を始めるという企画の面白さがほとんど生かされていない。設定がご都合主義で、二人のキャラクターの造型が曖昧なので肝心の兄弟の反発、葛藤、和解がドラマになっていない。なんとなく理解しあったとしか思えない。チョ・ジョンソク、D.O.ともに複雑でアンビバレントな内面の感情が表現出来ていないのは演技力以前に平板な演出のせいもある。せめて最後のパラリンピックの決勝戦などはもう少し上手く見せて欲しい。
言語学者のヒロインが国家の要請を受けて宇宙人とのコミュニケーションに協力するというアイディアが秀逸。突如現われた異様な宇宙船とペプタポッドと名づけられた宇宙人の姿は、猟奇的扇情的ではないが、印象的なイメージを残す。「プリズナーズ」「ボーダーライン」で見せたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の優れた映像センスである。頻繁にフラッシュバックされるヒロインの過去の私生活が最後に意味を持ってくる。「未知との遭遇」を発展させた新しいSF映画の誕生と言える。
往年のアメリカ映画で、ポール・ムニ、E・G・ロビンソン、ハンフリー・ボガートたちが演じてきたギャング像を、ベン・アフレックは敬意を込めて演じている。ノワール映画のヒーローに宛てたラブレターのようで嬉しくなる。監督脚本主演作の連打でポスト・イーストウッドの地位を確実に手に収めたアフレックの今がまさに旬といった作品だ。シエナ・ミラーのファムファタールぶりも新鮮。原作は人気作家デニス・ルヘインが書き続けているボストンを舞台にした連作のひとつ。
気楽な稼業と公務員を選んだ主人公。行革のあおりをくらって世界の果てまで左遷されるが、あくまでマイペースを貫く奮闘ぶりが愉快。植木等の無責任男・平均や西田敏行の釣り馬鹿ハマちゃんの兄弟分のような男だ。陽気なラテン気質の極楽とんぼの中にある五分の魂、硬骨ぶりをケッコ・ザローネが好演している。かなり強烈な社会批判やジェンダー論が笑いの中に込められている。彼を首にするため僻地まで追っかけ回す女上司がおかしい。これこそ税金の無駄遣いと思うけど……。