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「タワーリング・インフェルノ」みたいな話だが、オールスター映画ではないので群像劇にはならない。事故が起きるまでのクロスカッティング・シークエンスが異様に長いから異様に怖さがつのり、いざ事故が起きると、待たされただけのことはある猛烈なスペクタクルがこれでもかとつるべ打ち。正直、どこで誰が何をやっているのかわからないショットも多いのだが、巨大セットを実際に建設した迫力は相当のもので、闇を引き裂いて次々ほとばしる炎のエネルギーを鑑賞しているかのよう。
21世紀の今になって、これだけ堂々たる歌ものミュージカル映画が出てくるとは驚きだ。出演者の歌唱も申しぶんなく、往年のオペレッタ映画の基本を踏まえて楽曲と画面が連動。ガストンの踊りのナンバーも魅力あり。アニメ版同様ワーナーのバズビー・バークリー振付けやMGMミュージカル等の引用も出てくるのだが、アステアやケリーやガーランドの不在を嘆きたくなるどころか、現在だからこそ可能な映画の魔法がある。「ウォールフラワー」の監督であるS・チョボスキーが脚本に参加。
イップ・マンとマイク・タイソンが、時空を超えて夢の対決!(しかもタイソンが見事なスポーツマンシップを見せる!)強敵二人との対決に向けて全体が構成されている映画。最大のライバルを演じるマックス・チャンは、かつてドニー・イェンのスタントだったというのだから、イップ・マンの影のような役にまさにふさわしい。他のアクションシーンには、キャメラ位置とカット割りが疑問な箇所もいくつかあるが、エレベータから階段を舞台にした場面の撮り方は文句なしに素晴らしい。
天才ハッカーが出てきてサイバー空間でいろいろなことが起きるのだけど、観ているうちに結局、こっちの脳みそが全部筋肉になっていく感じがするのはそれはそれで快感である。かつての東映のシリーズ映画を観るようなつもりで、なじみのキャラクターの掛け合いにニコニコし、大見得を切る様子に喝采を送るのがよろしいかと。シャーリーズ・セロン姐さんとヘレン・ミレン姐さんは、凄いカリスマで惹きつける。あと、コワモテのおじさんが赤ちゃんを守って戦う姿というのはイイものです。
2010年、メキシコ湾に流出した環境汚染の映像はいろいろ見たけれども、ピーター・バーグ監督の狙いは、その事故発生の原因と具体的経過を劇化することにある。個々のエピソードに重点を置いているので、ドキュメンタリーの映画時間とは一致していないと思うが、美術スタッフが造形したディープウォータ・ホライゾンが緻密なので、観客は火災の現場を見ている気分になる。カネのために、作業する人間を追い詰め、人災事故をつくる資本家側の代表者マルコヴィッチが悪夢のように怖い。
コクトー作品で初めてこの物語に接したときは、いろいろ考えこんだ気がするけれど、ビル・コンドンの演出はディズニー映画らしく、実に分かりやすい。高台の城と狼の巣食う森と庶民たちの住む村の地理関係も明快で、野獣のメイクも目にやさしさがあって怖くない。俳優たちと共演する置時計や燭台、ティーポットなどの擬人化もみごと。本を読むことで村人たちから疎外されていたベル(エマ・ワトソン)が野獣ながら教養を持つ王子に愛を感じ、ダンスするところは色彩もよく名場面だ。
イップ・マン(ドニー・イェン)とブルース・リー(チャン・クォックワン)が出会うところから始まり、師であるイップの静かな佇まいが印象的だ。やがて悪役として登場する巨漢マイク・タイソンとの闘いは、どうなるのかという恐怖も芽生える。演出は期待を裏切ることのないもので、建造中の船での集団体当たり戦や狭いエレベーターでのタイ武闘家との闘い、最後にマックス・チャン相手の棒術を含めた格闘技まで芸が細かいけれど、あらためてブルース・リーは偉大だと思ったことも確か。
シリーズも8作目となると、評判のいい4作目あたりを乗り越えようとエスカレートし、タイトルからして、最後は氷の世界のカーアクションだと予想はつくのだが、その対比として、冒頭が熱気のあるカラフルなキューバとは巧い構成と演出だ。ヴィジュアル・エフェクトを使っているにしても、スタントマンのテクニックのすごさには相変わらず驚く。次々に登場する高性能車も車好きにはたまらない魅力だろう。怪物みたいな俳優たちがニューヨークの街で車を疾走させる場面は、もはや狂気。
あくまで実録ドラマに徹しており、それゆえに嫌な奴が酷い死に様を見せるみたいな因果応報な盛り付けはしていない。かといって、事故を起こした企業を強く批判するわけでもなし。死屍累々なパニック映画好きからするとちょっとアレなのだが、その不満を吹っ飛ばすのが事故描写の数々。泥水、原油、火炎、爆風が一緒くたになった果てに石油掘削施設が崩落するさまは実際の事故映像よりもエグめにした点は買いたい。実録ものが続くP・バーグだが、この路線で今後も行くつもりなのか。
アニメ版は84分、今回の実写版は130分。その差分で各キャラの背景をしっかりと描き、ドラマの重みと深さは増し、テーマやメッセージも明確に。偏狭な概念に抗って自由を求めるベラ役を、それを実践しているE・ワトソンに任せる配役も見事で、人々の無理解を嘆く台詞などは彼女自身の胸中と重なっているように思えてくる。城の舞踏室をはじめとするセット、呪いを解かれて人間に戻った家来の顔触れなど、すべてが目眩必至の豪華絢爛ぶり。44歳の汚ッサンでもときめいた至極作!
葉問は初老に、演じるドニー自身も50代に。役と本人の円熟味が重なってきて、全身から醸される〝師傳〟ムードはさらにいい塩梅に。対タイソン戦やエレベーター内と階段を舞台にした対ムエタイ野郎戦と、アクションも多種多彩。それでも、棒、刀、そして拳と徐々に間合いを縮めていくM・チャンを相手にした王道的ファイトが燃えるし、それをクライマックスに配置するW・イップはやっぱりわかっている。C・クォックワン演じるブルース・リーは、眼鏡を外した宮川大輔にしか見えず。
今回はドミニクが仲間と対立。強引だが、キャラの配置や相関をグルグル変えては話のスケールを拡大し、シリーズを延命させる姿勢には心から敬服する。原潜に追われ、魚雷と並走と、破天荒を極めた車絡みの見せ場を連打しつつ、ステイサムが暴れる囚人や看守を飛び越え潜り抜ける〝人間パルクール〟など、フィジカルな見せ場も趣向を凝らしている点にも敬服。フランスパンの飛び出た買い物袋を手にしたおつかい帰りのドミニクという画が出てくるが、個人的にはそこが最大の見せ場。