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監督の名前以外予備知識ゼロで試写に行ってしまい、勝手にチャン・イーモウが「万里の長城」のドキュメンタリーを撮ったのだと思い込んでたら、全然違ってました(笑)。舞台は古代中国だが、これは明らかに『進撃の巨人』だよね(パクリという意味ではない)。基本的なアイデアは似ていても、そこはハリウッドと中国の合作、とにかくスケールがケタ違い、映るもの全ての圧倒的な巨大さと物量作戦に茫然とさせられる(CGですが)。若き女将軍役のジン・ティエンがキレイ過ぎ!
これはもうヒロインのネイディーンを演じるヘイリー・スタインフェルドの好演に尽きる。キュートというよりファニーな顔立ち。頬と唇のアンバランスさと、いつも何か文句を言いたげな瞳。あと蓮っ葉なのにIQ高そうな喋り方も面白い。こじらせ女子の通過儀礼を描いたストーリーそのものは、まあありがちといえばありがちだけど、演技も含めて「こんなもんでしょ」的な誤魔化しをしてないところに好感が持てる。何かとネイディーンを気に懸ける教師役のウディ・ハレルソンも良い。
監督はドアノーの実の孫娘で、これが初作品。当然ではあるが、血縁という最大の強みをフルに活用している。その結果、貴重な映像や写真、証言などを見る/聞くことが出来るわけだが、造りとしてはオーソドックスな人物ドキュメンタリー。日本での展覧会の成功が製作のきっかけになったということで、パリ留学中にドアノー宅の近くに住んでいたという堀江敏幸氏も姿を見せる(その語りは彼のエッセイそのものだ)。フランス=オシャレという紋切型を越える部分と肯定する部分が半々。
初期タランティーノのラスト数分を90分間に引き延ばしたかのような、完全にタガの外れた銃撃戦映画。とにかくひたすら血塗れの撃ち合い殺し合いが延々と続き、セリフにもあるのだが誰が誰を撃ってるのか、誰が死んでて誰がまだ生きてるのかも判然としなくなってゆく。クールな人工美の「ハイ・ライズ」の次がコレだなんて、監督ベン・ウィートリーには今後要注目。めまぐるしいカット割りはかなり計算されており、単なるノリだけではない。あとはジョン・デンヴァー!
実在の世界遺産である万里の長城をモチーフにした歴史ファンタジーの構想にワクワクしたものの、ファンタジー面での飛躍が思ったより小さく、モンスターの造形にはもうちょっと凝って欲しかった。「ブラインド・マッサージ」のホアン・シュアンはセリフのない中でも妙な存在感を示しているが、ルハンはやはり演技よりキャラクター頼みの部分が大きく、ヒロインのジン・ティエンはほとんどアニメといっていいヴィジュアルで、いっそアニメでも……という心の声も頭をもたげた。
自意識に振り回される少女をモンスターと表した邦題は言い得て妙。きわどいけれど乙女心に刺さりまくる主演のヘイリーが見事すぎる。劇中で自主映画少年が披露し、彼に惹かれるヘイリーが絶賛するアニメ映画は、シンプソンズや「モンスターズ・インク」のD・シルヴァーマンが手がけているが、その絶妙に凡庸なクオリティのリアルさまで完璧。音楽プロデューサーはハンス・ジマーという布陣で、これが監督デビュー作になる脚本家出身のK・F・クレイグは演出の手腕も確かだ。
ドアノーの写真は写っている瞬間の外側にあるドラマを感じさせる。その前後に広がる彼ら、彼女ら、街の人生と時間。一般の人はもちろん、ある程度背景を知ることのできる著名人が被写体の場合でも変わらない。ときには演出によってその瞬間を作り出すこともあるが、それをヤラセと言えるだろうか。自然には存在しなかったはずの一枚の光景が逆に真実を作る。ドアノーの軌跡は、動かしようのない真実を写すとされている写真というメディアの、虚構における可能性をより豊かに提示する。
なぜこの脚本でいけると思ったのか理解に苦しむ。仮にも闇取引に手を染めようという輩にしては全員頭が悪すぎるし(そもそもまともな頭があればこんな事態にはならないけれど)、その頭の悪さが何の人間性にも結びつかない不毛な人物描写。幼稚園男児の悪ノリを現実の長篇にしても面白くないのが致命的。重低音を効かせた銃声の仕上げは迫力あるがこれが実に心臓に悪い。爽快感はなくただただ体に負担。書いていて自分でもひどいと思うけどどうしても筆の暴走を止められない。
「ジュラシック・パーク」の恐竜のような怪獣が何千何万匹も襲ってくるという壮大なスペクタクル映画だ。長城を舞台に古式兵器を使っての闘いは文句なしに面白い。スピルバーグをしのぐ大作にもかかわらず、米国メディアの批評が大変悪いのは不思議。マット・デイモン主演の米中合作ながら、チャン・イーモウの世界、アメリカン・ファーストになっていないヒガミと思うのは穿ち過ぎか? 脚本の瑕疵や史実云々などどうでもいい、白髪三千丈のファンタジーを楽しめばいい。CG、特撮も見事。
過剰な自意識と精神と肉体のアンバランスからくる恥辱の日々、それが誰しも思い当たる思春期の特徴だろう。そんな少女の日常をひとひねりして面白い映画に作りあげている。ヘイリー・スタインフェルドは、瞬間瞬間で、明るく魅力的だったり歪んで醜くかったり、不安定な心情を見事に表現している。ホールデン・コールフィールドの少女版、現代版と言っていいだろう。母親、兄、教師の造型もユニーク、アッパーミドル階級の風俗も面白い。思春期ものかと敬遠なさらぬよう。
「パリ市庁舎前のキス」で世界に知られるカメラマン、ロベール・ドアノーのドキュメンタリーである。監督はドアノーの孫娘だが、祖父の作品を羅列して偉業を称えるのではなく、控えめだが心を込めて、一人の人間と彼の生きた時代と彼が愛した街を再現することに成功している。気持ちのいい映画だ。昔のフランス映画に親しんだものなら、ジャン・ルノワール、マルセル・カルネ、ジュリアン・デュヴィヴィエなどが描いたパリの街とパリっ子の心意気のようなものを感じるだろう。
スターも出ていないし、鳴り物入りのキャンペーンもないが、映画は活劇だと信じるファンが快哉を叫ぶB級アクション映画の快作だ。全篇が銃撃戦、場所は郊外の廃屋に限定されている。紅一点のブリー・ラーソン以外はアウトローの悪党ばかり十数人、次々にワイズクラックを吐きながら死んでいく。血と泥と火薬にまみれ最後は誰が誰だか判りにくくなっていくが、それもまたこの映画の魅力。初期の村川透や長谷部安春、野田幸男のアクション映画などを思いながら90分を楽しんだ。