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韓国映画並みにサービス精神旺盛、謎が全部解けてしまったあともエピローグ部分まできっちり面白い。いくら何でも殺しすぎだとは思うが、主人公の正確無比な戦い方はすこぶるかっこよく、学生時代明らかにイケてない側だったろう女性会計士補とのあいだに情が通っていく過程もイイ。脚本に恵まれたことで監督が本来の演出力を発揮した感じで、主人公の本業である会計士の仕事を面白く見せる工夫も素晴らしい。ハンディキャップを乗り越えた人々の物語である点も、感動的で励まされる。
苛烈さと魅惑とが共存するこの途轍もない映画体験を、いったいどんな言葉で表現したらいいのか。単純化へと逃げないこと、対象への距離の取り方など、原作の精神に非常に忠実な映画であり、原作に存在しない謎の第三のナレーターの登場もまた、原作が持つ不透明性を最後まで保障する。ボイスオーバーの人・スコセッシの面目躍如たる、ささやくようなナレーションの声の途方もない美しさ。「沈黙」と「隠れ」の主題を具現する数々の仕掛け。ロングショットと素早いパンの見事な効果。
「シチズンフォー」に登場していた監督や記者の再現性が高いのと、JGLがスノーデンの話し方までコピーしているのはおおっと思ったが、あちらのドキュメンタリーにあった刺激的な曖昧さは消え失せて、O・ストーンは最悪の場合そうしてしまうだろうと危惧したとおり、画面や細部の演出の魅力を著しく欠いたまま、すべてを平坦な一方向に整理してしまう。ただ後半、コービンとスノーデンが会議室で対峙するシーンに目を惹く演出があり、その先しばらくはサスペンス的面白さが。
村に危機→七人雇う→村人を訓練→最終決戦、という形式さえ守れば、状況とキャラクターを替えていくことで、「七人の侍」は面白いバリエーションを無限に作れるのだなあ。黒澤版とスタージェス版にあった、村人の両義性やトリックスターの存在は省き、アクション映画としての面白さを追求。最終決戦をスペクタクル性豊かにたっぷり時間をかけて見せる。いかにも現代の映画らしい民族構成の七人はみなかっこいいが、とりわけネイティブ・アメリカンの若者が弓を引く姿の美しさに感動。
瞬時に敵を倒すマーシャル・アーツの達人ベン・アフレックが会計コンサルタントだという設定。物語に深味を与えているのは、彼が数学の天才ながら、自閉症児だったという回想シーンが随時、挿入されることだ。彼の性癖もよく分かり、居住環境の異様さも美術の巧妙さとともに説得力がある。登場人物のすべてにひねりが効いていて、恋人のアナ・ケンドリックは数字オタクでおかしく、主人公の闇の部分を追う財務省の捜査官J・K・シモンズは怖いなかにも優しさのある人物を好演した。
17世紀、幕府のキリシタン弾圧下にある長崎を宣教師の目で見た作品。長時間、高いテンションのまま画面に見入った。外国人監督の描く日本の風俗や芝居はとかく不自然さが目立つのに、スタッフ陣の調査が行き届いていて、キャスティングも的確。現代の日本人の合理性からすれば、浅野忠信の通辞が言うように踏絵くらい何でもないことかもしれない。しかしスコセッシは隠れキリシタンの貧困な境遇をあぶり出し、彼らが死後、「天国」に行くことを希求する状況をみごとに映像化した。
ローラ・ポイトラス監督の強力なドキュメンタリー「シチズンフォー」を見たあとで、ゴードン=レヴィットがスノーデンそっくりに演じる劇映画が、オリヴァー・ストーン監督の手で作られたことがまず興味深い。国家に対する裏切り者か、ノーベル平和賞を与えるべきかという議論もさることながら、二本の映画が堂々と製作公開されるアメリカ文化に希望をもちたい。劇版ではモスクワへとスノーデンを追っていった恋人リンゼイの物語がていねいに付加され、作品のテーマに厚みを持たせていた。
ご存じの物語構成なので、細部に工夫が凝らされている。まず七人の勇者たちが多人種であることを強調しているのが現代に通じ、そのことで個々の挿話も面白くなっていく。デンゼル・ワシントンが「荒野の七人」のユル・ブリンナーと違った風格をみせ、スタッフ、キャストともに気合の入った仕事ぶりで、終始、あきさせない。それにしても、悪の権化たるピーター・サースガードの命令で虫けらのごとく人がばたばた殺されていくのを何度も見せられると、アメリカという国まで怖くなる。
盟友M・デイモンがジェイソン・ボーンとして活躍するのを、指を咥えて眺めていたB・アフレックが「俺もあーゆーのやりたい!」と主演。そういった気持ちをひしひしと感じられるが、話は破天荒の極み。それでいて、殺し屋、傭兵、切れ者捜査官が入り乱れるわりには、肝心の悪玉とそいつが進める陰謀がショボすぎる。だが、主人公の抱える〝ある障害〟が狙撃を含む超人的戦闘力の習得に繋がっている設定は巧いし、納得もできる。シリーズ化を念頭に置いた主人公紹介篇として観れば◎。
キリスト教徒でもなく、そうなる予定もなく、なったとしても躊躇なく踏絵を踏めます。そんな自分としては、「王になろうとした男」的異境冒険記「日本で司教になれなかった男たち」として鑑賞。拷問と処刑の描写は抜かりなく、我が国では主演級の男優の首がはねられ、女優が簀巻にされて海に落とされるさまには、けっこう驚かされた。マーティン・スコセッシ御大には、彼らの事務所もさすがに沈黙といったところか。評判のイッセー尾形は、形態模写が過ぎるゆえに目立つだけの気も。
ドキュメント「シチズンフォー~」は、劇中にも登場するホテルでの記者たちとの接触と彼らからの取材がメイン。それゆえに彼の経歴、暴露までの経緯にしっかりと触れることもなく、国家による監視の恐ろしさも伝わってくるとは言い難かった。こちらはスノーデン一代記としての側面も持っており、それらをくまなく拾っている。ただ、電脳っぽい空間にさまざまな者の写真と文字データが飛び交うみたいな個人情報収集のイメージ描写に、年寄りが撮っている映画だなぁと感じることしきり。
イーサン・ホークの役がロバート・ヴォーンに当たるのかなど、途中までいろいろ考えながら鑑賞。だが、ムードとしては「荒野の七人」だけでなく、「続~」「新~」「~荒野の決闘」のシリーズ全作をひっくるめてのリブートといった感じ。とにかく個性ある7人を集め、各々の得意技が発揮される見せ場をきっちり用意、ドンパチはド派手を極めてという娯楽至上主義な作りで最後まで飽きることはなし。とどめとばかりにエルマー・バーンスタインのあの曲もかかり、なんだかんだ燃えてしまう。