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社会主義体制が崩壊して20年ほど経ち、当時のことを距離をとって振り返ることがそろそろ可能となって、さまざまな角度、さまざまなタッチの映画が各国で製作されているわけで、ここでも教師と子どもたちのふれあいドラマかと思って観ていると、それとなくほのめかされていた子どもたちの境遇が明らかになった瞬間、胸を衝かれる思いがする。秘密警察に追われる状況と、1秒で形勢が逆転するものであるフェンシングの試合とを重ねた演出が、スリルを高めていてなかなかのアイディア。
ドキュメンタリーかと見まがうオープニングのあと、ここがクライマックスなんじゃないかと思える迫力のシーンが早くも登場。しかしそれですら序の口で、次々登場するレースシーンの凄さはもう観てもらうしかない。猛烈なスピード感と、その運動にともなって空間が開けていく圧倒的な爽快さ。レースシーンの一貫したリアリティに比べ、のどかな三角関係は最初箸休めみたいに思えるが、思っていたほど単純明快な物語ではないとやがてわかってくる。主人公と母親の関係の描き方も鮮烈。
日本の某ロボットアニメの主題歌を含めた音楽の遊びにいちいち反応し、ハンサムでダンディな特別出演のツイ・ハークに見とれ、序盤はサービス精神旺盛すぎて話が頭に入ってこないくらい。ところがそのあと徐々にシリアス度が増してくる。その移行に無理がなく、人魚捕獲シーンも本格アクション映画として演出。お定まりの展開のロマンスにもしっかり感情移入させられ、冷静に考えたらとんでもないヴィジュアルのキャラクターばかりなのに気にならなくなるのもすごい、華やかな楽しさ。
とびきりヤバいファム・ファタルが登場し、セックスとバイオレンスが物語を駆動する、フィルムノワールのエッセンスが詰まった映画。その一方、穴だらけでぎくしゃくした変な構成なのだが、ほんとうに面白いのは、この監督が明らかにハリウッドのメインストリームとは違う映画にしようとしているところ。意識的なフレーム使いや窓越しのショット、外連味たっぷりのキャメラの回転など、あの監督やこの監督を思い出す。殺し屋イ・ビョンホンが肺病病みだったりの妙な細部も気になる。
フェンシングの騎士道精神をもってスターリニズムに対決する物語だが、主人公は「灰とダイヤモンド」のマチェックのように黒メガネを掛けてヒロイックな行動をとるわけではなく、ただ体制の変わったエストニアの小さい町に逃げてきて、平凡に暮したいと思っている青年だ。脚本と配役のキメが細かく演出も端正。それだけに淡々と剣術を教え、過去、ドイツ軍の許でソ連と闘わざるを得なかった青年のもつ日常生活の不安はよく伝わってくる。実話だとすれば、政治的視点も入れてほしかった。
世界的に自転車ロードレースのファンは多いらしく、日本のテレビでもツール・ド・フランスの実況などを楽しめるようになった。その大会で連覇を果たしたランス・アームストロングがドーピングをしていたという「疑惑のチャンピオン」も最近公開されたばかり。そこへ台湾各地で連戦し、世界をめざすロードレーサーの物語の登場だが、苛烈なライバル競争とともに資金をめぐる裏話がシリアス。俳優が命がけで迫力はあるものの、けが人続出という宣伝用の記事を読むと、切なくなった。
ブルース・リー映画の音楽ではじまり、ツイ・ハークがカメオ出演したりして、香港映画の伝統を受け継いだアクション・コメディのムード満載。環境汚染で海に住めなくなった人魚たちが悪の根源たる大企業の社長の暗殺を謀るなどという話は、日本ではできないので、さすがチャウ・シンチー監督だと思う。ギャグもしつこく、タコ兄の扮装と演技が笑えた。人魚姫の新人リン・ユンより憎まれ役の投資家キティ・チャンの熟女ぶりが魅力的なので、ダン・チャオが忍耐の芝居を強いられる。
9・11以後、文学も映画も内面の怯えを表現するものが多いけれど、日系アメリカ人監督のデビュー長篇もまた娯楽作品ながら、登場人物のすべてが影を持って生きている。ホプキンス、パチーノ、ビョンホンが脇を固めると、主演のデュアメルの二枚目ぶりが損な役どころになってしまい、実はこうだったという謎解きも鼻につくのだが、クスリと銃と突然のテロがあり、弁護士と医者の夫婦でさえ、平穏無事には生活できないという現実がよく描かれていたので、次回作を期待、高点をつける。
監督はフィンランド人、舞台はエストニア、題材はフェンシング。個人的に馴染みの薄い要素が並ぶが、杞憂に終わった。秘密警察の追跡、子供たちとの絆、ナチスとスターリンに虐げられた者たちの憤怒と誇り、そして強豪チームに挑む子供たちと、いやが上でも燃える要素を盛り込み、それをきっちりと脚本と演出が機能させている。こうなってくると、主人子と教え子らが剣を一突きするごとにこちらの感情スイッチもいちいちオンになって最後は涙。地味な印象が強いが、激アツな逸品!
男女問わず出てくる者たちが、どこまでも熱くて爽やかで正々堂々としている。そこにただでさえスピーディーなロードレースの描写が乗っかるので、スイスイと観てしまう。さらに、舞台も台湾南部の高雄や武嶺峠、マッターホルン、韓国の競輪場と、風光明媚な場所から欲望ギラつく場所までグルグルと巡るうえに、主人公にマディソン競技までやらせたりと、飽きさせない。ただし、各キャラの設定や造形がお決まりな感じだし、展開も予定調和ゆえにグイグイとこないのも正直なところ。
チャウ・シンチーの前作「西遊記~はじまりのはじまり~」では寒いギャグの応酬に耐えられなかったが、今回は打って変わってベタなギャグがベルトコンベア。〝シンチーらしさ〟みたいなアクは薄れてはいるが、汚ッサンになって改めてわかりやすいものが好きになったコチラとしては有り難いし、実際に笑えるから良しとしたい。半人半魚たちの生態や生活様式がバッチリと反映された、大掛かりで独創的な彼らのアジトのセット、それがガッチリと活きてくる終盤の立ち回りもお見事!
グッドルッキングガイであるのは間違いないが、なんとも個性がないというか響くものがないJ・デュアメルが主演。心配になったものの、A・ホプキンスとA・パチーノ扮する怪物キャラに翻弄されまくる役柄を演じるという点では、そのペラペラ感が功を奏してなかなかのハマりぶりを見せる。ストーリーも「ザ・ファーム/法律事務所」に「ゴーン・ガール」を掛け合わせてみましたな感じで真新しくもないが、前述の御大ふたりがやたらと引っ張るし、さらっていくので最後まで観てしまう。