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アイディアが次々繰り出され、テンポがよくて結構面白いので、日本語題名のキワモノ感から敬遠したりせずご覧ください。かなり低俗なネタも含まれているのに、耐えがたいほど下品になる寸前で踏みとどまっているようであるのは、バンド・デシネ作家という設定である主人公の心優しい性格のせいもあるし、この手の映画でおとしめられがちなお年寄りや若い女の子や先住民を、時にかっこよく描いているからかもしれない。同じフォーマットらしいこの監督・主演コンビの前作も気になる。
ラブレー的なもの、またはパゾリーニっぽい映画かと思ったら全然違って、血まみれのシーンさえやりすごせば、小学校高学年以上のお子さんと一緒に観られる(かもしれない)映画になっていた。たぶんかなり脚色されているのだろうけれど、おとぎ話のフォーマットはやっぱり引きが強い。そして観終わってみると、希望を託されているのは若者たちなのだった。怪物の造形を含めた美術、および城周辺のロケーションに魅力あり。撮影はクローネンバーグ作品で知られるピーター・サシツキー。
フローレンス・フォスター・ジェンキンスを主役のモデルにして先般公開された某フランス映画は、芸術に情熱を傾ける人間をなめきっているとしか思えずあんまりだと思ったのだが、こちらの映画は、死と隣り合わせてなお生き抜くために、そして自分と周囲の人々を幸福にするために、彼女は歌を必要としたのだとする解釈なのがとても好ましい。事実と異なる部分も多いが、ベイフィールドやコズメの人物像など「きっとこういう人だったに違いない」と思わせる、上品で気持ちのいい映画。
VFXを駆使した派手なシーンもあるし、スタッフも結構な人数なのだけれど、戦隊ヒーロー物ファンの映画青年がたくさんお金を貯めて撮ったかのような手作りインディペンデント映画感がどことなくある。若年層をターゲットとしたお手軽企画かと思いきや、非常に魅力的なショットがちょいちょい出てきたり、プロット上の重要なサプライズをこの上なく簡潔に演出したりで意外とあなどれない。スティールのデザインと動きがとても可愛いのと、主役の若手男優の感じのよさも高ポイント。
バラエティ・ショーなどで活躍しているという二人が共同監督して、ブラジルのイタカレに遊び半分のロケをして仕上げたおバカさん映画。冒頭、主人公が婚約者に渡すはずの指輪を友人が呑み込んでしまい、お尻から出てくるのを待つというギャグがあって下品な作品になるなと思ったが、それよりも全篇、イージーな手持ち撮影なのが辛くて、笑い損ねたところがある。「ブレア・ウィツチ・プロジェクト」が好きな人もいるので、まあ、いいとしても、いまどき、一般のフランス人が気楽に行ける秘境が存在するのが不思議。
西洋のおとぎ話がもつ怖さがたっぷり。大道芸人の見世物に始まり、古い王城へと不思議な事件が次々に展開していくのだが、画家の出身だというガローネ監督はロケ地の選択も怪物の造形もみごとで、三つの王国の物語は残酷絵の仕上がり。妊娠するために顔を血まみれにして怪物の肉を貪る美しい女王。皺だらけの皮膚を整形して王に気に入られようとする老女。無理に嫁入りさせられた「鬼」から逃亡をはかる王女。いずれも怪奇で、ホラー性も充分だけれど、女性観客の反応はどうか。
映画祭で来日したメリル・ストリープの素顔を近くで見たあと、映画を鑑賞したので、長年、梅毒を病み、髪もなく、皺だらけの顔で音痴の歌を熱唱するマダム・フローレンスの演技にはさすがに驚嘆。彼女のために献身的に「虚偽と詐欺の人生」を生きる夫のヒュー・グラントも実話だとしたら、笑えるというよりは、リッパすぎる。とりわけおかしいのはピアニストとして雇われたサイモン・ヘルバーグのマダムに対する、とぼけた反応で、彼を見ているだけで楽しい。脚本は彼らを全面肯定。
鮮やかな自然の風景から、画面は一転、暗いブルーのトーンになり、疲れるなあと思っていたら、それは主人公のマックス少年が体内から発する電気エネルギーをきわだたせるためのもの。エスパーは、他人から出自を隠すというのはSFの常識だけれど、この作品ではマックス自身がなぜ超能力を持つのかも分からず、ミステリアスで上品なマリア・べロの母親も何かを隠したまま物語が進む。SFというよりは推理ものの構成だが、シリコン製の地球外生命体も参入し、話が散漫になってしまう。
「食人族」と「ハングオーバー!?」をくっつけてみました的な作品で、どこまでもノリは軽い。しかし、物語の構成はけっこう緻密で終盤における収束感もピシッとしていて気持ちがいい。繰り出されるギャグも下品を極めているものから画面の端にしれっとして映っているものまで、どれもがしっかり笑えるもので大満足。また、先住民に追われながらプロペラ機が離陸→燃料ゼロ→落下傘で脱出→島に着地というシークエンスをシームレスで映し出すなど、映像も凝りまくっていて驚かされる。
残酷、背徳、恐怖、不条理、不思議、艶笑、美醜……といったアレコレがギッシリと詰め込まれた、まさにおとぎ話な快作。VFX全開のヴィジュアルがこれでもかと繰り出される大作がファンタジーの主流となっている現在だからこそ、こうした小品(でもないが)にヤラれてしまう。イタリアに実在すると言われても信じられないほど幻惑的な城の数々も、これまた物語と観る者をアゲてくれる。どんな時代、どんな世界が舞台でも破廉恥な役柄を完璧にこなす、∨・カッセルのブレのなさにも感服。
「ジュリー&ジュリア」などで見せた〝陽性アプローチ〟でフローレンスに扮するM・ストリープ。それが作用し、同じく彼女の人生を元にした哀感漂う「偉大なるマルグリット」とはノリがまったく被らない作品になっている。しかし、なにかとさらっていくのは飄々と切々を巧みにスイッチングして夫を演じ切るH・グラントだったりする。各キャラの背景の描き方がそれほど深くないゆえに感動チックな終盤が盛り上がらないのだが、〝何事もやったもん勝ち〟であるというテーマは伝わった。
マテル社の玩具が原作だが、未知の生命体と主人公が一体化したりするのは「寄生獣」、彼らが廃墟で特殊能力の具合を試すのは「アメイジング・スパイダーマン」。話も「強殖装甲ガイバー」みたいで、いろんなもののツギハギ感が強い。おまけにハイテク研究施設に昔ながらの薬瓶が並んでいたりと、なんだかアレなのだが、そこが魅力といえば魅力だし、妙な押し出し感があって最後まで観てしまう。ボディスーツを着たはいいが、パンパンで苦しそうなアンディ・ガルシアが心配になった。