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予算たっぷり、キャストもゴージャスなゾンビ物。カルトムービー目指してます、といった野心が好ましい。確かに熱狂する人は現れそうだ。ゾンビの群れがそれぞれ生前の記憶に囚われた存在であるという設定が新しく、非ゾンビ集団への迫り方に個性が出る。立てこもった人々の方に陰湿な権力構造が出来、そっちの方がよっぽど怖いというのもありがちだが面白い。でも一番上出来なのはゾンビと非ゾンビの中間的存在の有村嬢だろう。もっと活かせたんじゃないかと思えるキャラなのだ。
中東カタールの支援により水産業の町、女川(おながわ)復興のシンボルともいえる巨大冷蔵庫マスカーが作られた、というのがタイトルの由来。だが同時に市民レベルでの努力と成果の紹介が何より強調されているのに注目してもらいたい。東日本大震災記録映画は本欄でも数多く取り上げてきた。見て支援しようね、というのが私の立場なので星も足した。ただし興味深いのはこれが明らかに原発支持のもとに企画され、製作されていることで、その件に批判的な意見は当然あり得るだろう。
弱者がヒーローになり、強者になって悪者になる。そりゃそうだろう、と客観視するしかない物語。原作のキャラと映画の配役のイメージにギャップがあり、どうも乗れない。こんなイケメンと美少女俳優のための企画じゃないな。自警団がゴロツキと化す展開も好きになれない。正確には好き嫌いじゃなくそんなもんだよ、としか言えないのだ。もっとみみっちい暴力でいいし、その分、妄想ばかりが肥大化するというコンセプトじゃないと私みたいな単なる一般人は納得させられないだろう。
私の周囲でこれを褒めている人は少数派。原作をはしょったのを皆非難している。でもはしょり方に味があればそれでいいと思う。昭和最後の一週間に起きた誘拐殺人。その時効が近づき事態が再び動き出す。どうも弱いのは事件一つで二時間持たせる構成にあり、次の事件は後編をどうぞと言われてる感じ。事実そうなのだが。中間管理職は辛いよ、という話になっちゃう前編、フラストレーションがたまるのもやむなしか。また、これを見ても犯人を何故取り逃がしたのか今一つ分からない。
スター級の俳優による本格的なゾンビ映画という狙いはワルくない。それも本気になればなるほど軽さが際立つ大泉洋主演。ロケ場所やエキストラの数にも作り手側の意気込みが感じられ、血の量や死者の数もハンパじゃない。ま、このゾンビ映画のミソは、頼りになりそうもない主人公が、火事場の馬鹿力でヒーローもどきの活躍をすることにあるようで、主人公が唯一の宝物の猟銃を撃ちまくるシーンなど、大泉洋の引きつり演技はおかしい。でも主人公の口ぐせをマネれば、全部、ウソだろっ。
ドキュメンタリーというよりも、東日本大震災から数年後の宮城県女川のニュース・レポートに近い。建物や行事、復旧工事の実情、その他、あれやこれやの映像レポート。いや、あれやこれやの前向きな変化は、女川の方たちの努力や成果で、地元の方たちにとっては喜ばしいことに違いないが、どうもこの作品の作り手たちは、現地情報とドキュメンタリーの違いの認識が甘いようで、現地を映し、地元の方に取材すればドキュメンタリーで通用すると思っている節も。何だかなあ……。
見て見ぬふり。触らぬ神に祟りなし。この映画に限って、そういう態度で接したいと思う。世間で迷惑行為をする連中を、そのときは放っといて、あとでこっそり制裁を加えている自称・自警団。実は自警団の面々も、たたけば埃の出る体なのだが、マジメなような、パロディーのような演出の足元がグラグラしているのも気になり、途中で逃げ出したくなった。街でカラス(若者たち)が好き勝手をするのは、荒鷲(叱る大人)がいなくなったからだというが、自警団の面々こそ勘違いのカラス。
チャラチャラした吹けば飛ぶような映画が多い中で、こういう骨太なヒューマン・サスペンスが作られると嬉しくなる。舞台が県警ということで男性社会特有の力関係やエゴも描かれるが、ほぼ原作通りの展開で、むろん、原作を読んでいてもスリリング。この原作は昨年、NHKでドラマ化され、これもみごとだったが、前後2部作の今回の方が、緊張感が途切れない。多数の登場人物を有名俳優たちが演じているのも、その立場の違いが分かって面白い。佐藤浩市の深みのある主役演技にも感動。
和製ゾンビ映画としては画期的な残虐&大パニック描写をメジャーでやってのけた点は評価。地のままになりがちな大泉を希薄な存在感で後半まで引っ張り、ようやく立ち上がらせる焦らしも上手く、ちょっとした呟きに彼らしいユーモアを混ぜるのも絶妙。韓国ロケによる高速道路のカーアクションも迫力あり。ただし、ドラマ部分は凡庸。殊にアウトレットモール屋上の生存者がカルト集団的になっている設定が活かしきれていない。続篇を意識してか多くの謎を残したままの2時間強は長い。
津波の被害を映像ではなく写真で見せるところから安易な震災後ドキュメンタリーとは違うことが分かる。映像で映すのはそこにあった営みを想像させる広大な空き地だ。新たな町を作ることは今の日本では無個性な町になってしまうことでもある。町びらきに喜ぶ声の一方で「女川じゃないみたい」という声が重く響く。しかし、津波から逃げることを伝承するレースを新たに始めるなど、暮らす人々によって伝統と町の個性が生まれることを映し出す。女川原発にも触れる手堅い作りに好感。
「キック・アス」より「スーパー!」に近い小さな町の日常系お手製ヒーローものだが、主人公の生活も日常も見えてこない。荒廃した町も主人公が働くコンビニのレジから見える程度でしか提示されないので、この世界には終始なじめず。日本で作ると「ザ・ハングマン」的になってしまうが、ヒーローを会社化する設定は面白いものの、なぜ主人公だけがそこから外れてしまい、周囲も急に冷たくなるのか。怪演に不慣れな顔ぶれなので鶴太郎が金槌を振り回すところだけハツラツとしている。
昭和天皇崩御の年にデビューした瀬々にとって原初の風景だけにメジャーの監督作としてはこれまでにない緊迫感が漲る。身代金受け渡し場所が刻々と変化する誘拐事件を最少の台詞で見せる冒頭から乗せられるが、14年後に軸を移してからも昭和の亡霊がつきまとうのが実感を伴うのは、かい人21面相、天皇などをピンク映画に取り入れてきた瀬々だからこそ。記者クラブの役者達は束になっても佐藤に軽くいなされ、対立が作劇ほど盛り上がらないが、瑛太と綾野の配役が逆ならどうだったか?