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つい先日、息子の試合の話題がネットのニュースで流れたが、こっちは親父の方、辰𠮷𠀋一郎の記録である。この二十年間、彼の取材を続けてきた阪本が、その秘蔵インタビュー映像をここに公開。語られるのは当然ボクシングのこと、と思いきや、結構、家族の話題が多い。子供のことよりも自分の父親の件が面白い。昭和の親子って感じがするのだ。事実そうなんだけど、昭和の裏街道とでもいいましょうか。タイトルを失っている時期に父が亡くなったのがどこかでしこりになっているようだ。
このところ裸になってなかったなあ、と松山くんは出演を決意したそうだ。偉い。たまには頭も剃らなきゃ、とカナも出演を決意。かどうかは知らないが女優が三蔵法師というのは夏目雅子以来日本の伝統だ。笑えるギャグが少ないので星は減らしたが、原作ファンなら楽しめるはず。笑えなくても許せる、というタイプの映画である。溝端のゆるいブタ鼻メイクも悪くない。マツケンは「ユメ十夜」でも雄大さんと組んでおり、あっちではブタに舐められていた。雄大で『夢十夜』全篇映画化とか見たい。
私の世代の映画ファンはラストの主題歌だけでじーんと来てしまうだろう。脇を固める俳優陣が相米がらみなのもうれしい。撮影はもちろん長回し主体だが、無理している感じが全くないのに驚いた。相米の方がよっぽど無理していたね。室内のバトル場面の照明が凝っているのも高評価。ただ老人搾取なんて物語じゃなく、もっと荒唐無稽な方がありがたかったが、ばったばったと人が死んでいくあたりは楽しめる。そしてもちろん映画初主演、橋本環奈ちゃんの弾けっぷりを大いに寿ぎたい。
きわめてオリジナリティの高い脚本で星が伸びた。どうやって撮ったか分からないような垂直俯瞰も含め、撮影が抜群で、車内に雪が降る場面も良い。ウェルズ的かつトランボ的なスノードームも脚本家の映画的趣味の確かさを証明するものだ。小さな駅の遺失物係が主人公で、どこか市川準とかのセンスを継承している気もする。ゴージャスなキャストをわざと地味に使うという手法もその印象を助長する。メインのミステリーは弱いが、むしろ、いちゃもんつける傘おばさんがミステリー。
劇映画の主人公としてもドキュメンタリーでも、プロボクサーは実にドラマチックな存在だ。リングの上で勝っても負けても〝画〟になるし、黙々とトレーニングに励む姿も目が離せない。とは言え、正直なところ、かつてチャンプだった辰𠮷𠀋一郎のことはほとんど忘れていた。それだけに、辰𠮷がいまも、ボクサー辰𠮷という自分に自負と誇りを持って現役で居続けようとする姿勢は大したものだと思う。そして家族の結びつき。辰𠮷夫人るみさんの取材をもう少し盛り込んでほしかった。
まず不真面目度が足りない。エロ度もグロ度も湿気っている。笑いの演出も全て不発弾。俳優陣はそれなりに揃っているのに、全員がその場限りのコントふう演技で、これでギャグ漫画の実写化とは、鼻先で笑う気力すら起きない。セットや衣裳、メイクも田舎芝居以下のチープさで、俳優サンたち、それに引きずられて笑えないゴッコ演技に? ジジ、ババのババ役を笹野高史にキャスティングするなど、けっこう遊んでいるのにさして効果がないのももったいない。ああ、つらい映画だった。
ショボい設定と強引、ムリヤリ的な敵集団の描き方に、ゲンナリ、ガックリしながら観ていたせいか、2時間も付き合ったのにセーラー服女優の顔が浮かばない。小柄だったことは覚えているが。冒頭は夢オチふうの派手なシーンで、一瞬ワクワクしたのに、話が進むにつれボルテージが下がり、前田作品のサ・イ・ア・ク。女子高生を食いものにするモデル事務所、軽薄な市長候補者、ヤクザがらみの都市開発企業の薄っぺらさは、こちらまでバカにされている気分。角川映画40周年記念の悪夢。
何人もの人物が登場、いろいろな場面があるのに、観終っての印象は口がモゴモゴ、何が言いたいのか、何を言ってるのか、実に掴みどころがない。さしずめイメージが先行、そのイメージに沿ったエピソードを作り、それをつなぎ合わせて一本の映画に仕立てたような。雪道に子どもを残して去っていく赤いコートの母親は、いったい何だ? そして20年、成長した子どもは母親が死んだと知る。駅の忘れ物を巡るエピソードも妙に大袈裟で、閉園となる遊園地はビジュアル効果狙い? 困っちゃう。
辰𠮷もしつこいが、阪本順治も然り。「BOXER JOE」への不満を20年かけて払拭してくれた。引退の境界に立ち続けるボクサーを主体にしつつ、阪本の問いに反射して彼の研ぎ澄まされた感性を通じて発せられる言葉が実に刺激的だ。16ミリフィルムゆえの撮影時間制限が両者の対決を盛り上げ、一筋縄ではいかない相手から言葉を引き出す阪本の対戦記録でもある。酒鬼薔薇事件を通じて子どもの世界への鋭い考察や、幼い息子たちへの撮影中の叱責が終盤に結びつく構成も素晴らしい。
原作のイメージに合おうが合うまいが、なんとなく成り立って実写化の中心にいるのが松ケンの凄さだが、今回も終始頭カラッポの山田太郎を演じきっていることに感嘆。自分のキャリアや小雪に怒られるのではないか、なとど一切考えてなさそうな吹っ切れた芝居ながら、それでいて下品になっていないことに驚く。意外に実写ベースだったので、VFXを駆使した下品極まりない過剰なまでの猥雑な活劇を期待すると大人しい印象だが、笹野高史、温水洋一の演劇出身勢は意図をくんで大怪演。
自主映画時代から前田×高田の監督脚本コンビを追ってきた者としては躍進を喜ぶ。今どきこの話で往年の角川映画を真似たところで……という視点を明確に持ち、小ぶりながらもカ・イ・カ・ンを伴う良質なジュブナイルに仕立てた力量は見事。相米への目配せをした凝った撮影はラストで最大限に発揮されるが凝り過ぎの面もあり、殴りこみは切れ味に欠く。〈80年代日本映画の武田鉄矢〉の復活は好きな方にはいいだろうが、そうではない者にはクライマックスのダメ押しも含めて悪夢的。
映像先行型の監督が脚本を完成させることができずに絵コンテで描き、プロデューサーが脚本を差し込みで書いて撮影という内情を聞くまでもなく、観ると話はガタガタ。ミステリー要素が入っているので余計に種明かし部分で白けるが、PV、CM出身の映像至上主義監督の作品は、安易なお話と凡庸な映像だけの作品よりも遥かに好意的に観られるので、美しい映像を眺めている分には文句なし。主人公があまりにもナイーブで善人と思わせるが、平気で職権乱用するから、よく分からない奴だが。