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コーヒーについて何かを語るとすれば、その歴史とかグローバリズムとの関係とか南北間格差とかさまざまな切り口が考えられるのだけれど、この映画は基本「ファン目線」であって、キレイキレイなスローモーション映像が多用されたり、ドキュメンタリーというよりは、コーヒーとコーヒーを作る人々をとにかく美しく描くことを目的としているようだ。そのなかにあって、大坊珈琲店(現在は閉店)の大坊さんの仕事ぶりを撮影した長回しのショットが、映画的にもずば抜けてすぐれている。
日本のテレビでもよく放映されている、海外の奇怪な事件を再現ドラマや関係者の証言を交えて紹介する番組みたいなものが出てくるんじゃないかと思ったら、画面に多少お金がかかっているだけで、ほんとにそれ以上でも以下でもない映画だった。知っている人はみな知っているカート・コバーン謀殺説を、丁寧に説明する内容。建前としては一応「さらなる検証が望まれる」という結論に落としこんではいるけれど、「こんな一方的な語り方をされても……」という気持ちがやはりぬぐえない。
悪役ボンボンの極悪非道ぶりも、香港映画のように賑やかな刑事チームによって相殺され、映画全体は決して重くならない。アクションがフィジカルなギャグにつながっているのも楽しい。その楽しさのせいで(たぶん意図的に)わかりにくくされているけれど、主人公も悪役も「暴力を愛する男」という点で変わらない。無駄に思えたシーンがあとですべて効いてくるかっちりした脚本。クライマックスは、監視映像のない密室で行われた暴力に端を発する事件の結着として、まさにふさわしい。
コメディー演出の「間」の難しさを痛感。この脚本だったらもっと面白くできるのに、せめてアップビートかオフビートか、どちらかに演出を寄せてくれればよかったのにと思う。だからなかなかノリ方がわからないのだけれど、意外な人物がヒロインの相手役として浮上してからは結構盛り上がる。何より日本のカルチャーを吸収したことが、このような想像力の表われにつながるというのがいちばん面白い。トミー谷役には及川光博という俳優がぴったりだよと、監督に教えて差し上げたかった。
サードウェーブ・コーヒーの虜だという監督が撮っただけに、その素晴らしさを謳っただけのPR的内容に。豆だけぶん取らずに赤貧だったコーヒー農家の方々も幸せにしているのもわかるが、功績だけなく功罪だってあるだろうし、そっちも追わないと。両方を見せてこそ、その世界が摑めるもの。しかし、なぜに第3波コーヒー界の住人の多くが、髭+ツー・ブロック+ウェリントン眼鏡+ニット帽になるのか(監督もすべて該当)。第2弾を撮るのなら、そのあたりを踏み込んで欲しい。
他殺説を唱える探偵が録音したコートニーの音声の内容はたしかにファム・ファタールしているが、それっぽいのを厳選という感じ。カートは自殺する奴じゃないと証言する連中は、彼の故郷に暮らす古すぎる友人・知人たち。なんとも微妙だが、再現ドラマはしっかりと撮られていて、それにコートニー音声を被せることで生々しさとスリルが醸し出されている。陰謀はともかく、〝なにか〟があったのは伝わった。しかし、カリスマと呼ばれる人物は死んだ後も、こうして飽きさせないから凄い。
悪役はどこまでも悪く、熱血刑事もひたすら熱い。妙なヒネリなど入れないシンプルを極めた人物設定と対立構図によって、観る者のハートを燃やす熱伝導率がエライことに。おかげで、序盤からクライマックス並みのアゲ感が押し寄せてくる。庶民の野次馬根性と必携アイテムであるスマホが巨悪を追い詰める決定打になるのも痛快だ。ただし、ファン・ジョンミンとオ・ダルスをのぞく捜査チーム各メンバーの個性と活躍を打ち出せていないのが残念。オ・ダルスは主人公以上に輝く瞬間がある。
中盤までは「幽霊と未亡人」ならぬ〝幽霊とアラサー処女〟的なノリなのかと思っていたが、意外としっかり不気味で怖い話。そこに、あえて日本×デンマークのハーフ演じるトミー谷と彼が熱唱する日本曲を筆頭とする〝ズレていて上等〟ともいわんばかりのジャポネスクが上手く絡み、かなりインパクトある仕上がりに。間の取り方や全体を包み込むユーモアも、よくあるといえばよくあるが悪くない。本作が初長篇というウッイ・メーサーロシュ・カーロイ(名前もイイ)の今後に期待したい。
コーヒーの歴史、流通、バリスタと言われる人たちの技術などがよく判り、たまには丹念にいれたおいしい珈琲を飲みたくなる映像だ。大坊珈琲店主の真剣な眼差しと手つき、眼をつむって一杯7ドルの高級エスプレッソを飲む生産者のアフリカの農夫たちの表情など印象深い。しかし、情報番組的な内容と一時間強という上映時間は観客の足を映画館に運ばせるにはいささか魅力に欠ける気もする。居心地のいいカフェでカップ片手に大モニターで観た方が似合うような映画だ。
ニルヴァーナのカート・コバーンの衝撃的な死は自殺か他殺か? 悪女の典型のような妻コートニー・ラヴに雇われるが、いつしか彼女に疑惑を抱き最後まで真相究明につとめる私立探偵が面白い。元警官の実在した人物で、ぶっきらぼうで頑固な中年男だが、ボガートの演じたマーローやスペードの原型はこんな人物かと思わせるリアリティがある。ドキュメンタリーと称しているが、アーカイブ映像以外は役者が演じている。完全なフィクションにした方が面白かったような気もする。
大韓航空のナッツ姫事件を始め続出する大企業の世襲による腐敗は韓国民の怨嗟の的だ。それを思い切り戯画化、笑いと憎悪の対象に仕立てあげて粉砕してみせる。大ヒットも頷ける。サディストで異常者としか思えない大企業御曹司、その不始末の尻ぬぐいが仕事の常務、想像を絶する悪役コンビをユ・アインとユ・ヘンジが面白おかしく演じている。対するファン・ジョンミンたち広域捜査隊も紅一点を交え、破天荒な人物揃いで、アクション、笑い、スピーディな展開もなかなか快調。
大阪の映画祭で観た友人が、ポップでオフビートな傑作と絶賛していたが、公開されないのかと諦めていた。トミー谷という日本の昭和歌謡ふうの歌を歌いまくる歌手の幽霊が、ヒロインの恋する相手を次々に殺していくという奇想天外な傑作コメディー。自由奔放に撮っているように見えるが、古典的幽霊映画の伝統や喜劇のセオリーをキチンと踏まえているので、安心して観ていられる。原案は那須に伝わる九尾の狐伝説とか。この監督の日本びいきは本物だ。下手な日本語も御愛嬌。